【2次対策】中小企業診断士試験のオレ流解答方法(H26年事例Ⅰ)~前編~

【2次対策】中小企業診断士試験H26年事例Ⅰ
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 ど~も! 事例Ⅳと企画担当のソーイチです。ここ最近、地方へ長期出張をしていたのですが、外で過ごすことが多く、真っ黒に焼けてしまいました。久しぶりに出社したら、どこを遊び歩いてたんだとイジられてタジタジでした(笑)。

 さて、唐突に始まりましたこの企画。中小企業診断士試験・2次筆記試験の過去問を実際に解きながら、解答の組み立て方をご紹介したいと思います。

 今はまだ、1次試験対策がメインの時期ですが、2次試験対策もイメトレぐらいはしておくと他の受験生よりリードできるはずです。

ラフに書くので、移動中や休憩時間にスマホで気軽に読んでもらえればです!


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ふぞろい16メンバーのブログは2月20日スタート!

どうぞお楽しみに!

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はじめに

 今回、平成26年度の事例Ⅰを実際に解いてみました。この記事では、その解答プロセスや解答案、そして『ふぞろいな合格答案10年データブック』で自己採点した結果をご紹介して、2次筆記試験のイメージづくりに役立ててもらいたいと思います。

 私は受験当時、確か12年分ぐらいの過去問を1回転だけ回してますが、ほとんど覚えていません(笑)。なので、初見のような解答ができていると思います。

 ちなみに、自己採点に使用した『10年データブック』はとっても有用! 私はいつも鞄に入れて持ち歩いていました。少し重いですが、たくさんの解答ノウハウが詰まった貴重な参考書です。

2次試験直前は品薄になるので、早めの入手がおススメですよ~。

自己採点結果

 まず先に、今回の企画で第1問から第5問まで作成した解答案を、『10年データブック』を使って自己採点した結果をご紹介します。

~平成26年度・事例Ⅰ解答案の自己採点結果~

  • 第1問=18点(配点20点)
  • 第2問=16点(配点20点)
  • 第3問=16点(配点20点)
  • 第4問=9点(配点20点)
  • 第5問=20点(配点20点)
  • 合計=79点(100点満点中)

 まぁ、そこそこの点数が取れたかなと思います。仮に低い点数でも、NG解答例として自己評価と共にご紹介するつもりでしたが、なんとかご参考になりそうな情報提供ができそうです。

第4問で少しやらかしたので、これやっちゃダメ!な解答例をご紹介します。

解答紹介(前編)

 第5問まで一気に書くとかなり長くなってしまうので、本記事は前編として、第1問から第2問までを書きたいと思います。後編は、また次の回にご紹介しますので、お楽しみにしていてください!

 それでは早速、与件文チェックからスタート~!

与件文チェックの心得

 私は2色のペンを使用します。SWOT分析のために4色を駆使する方もいるようですが、私は【ポジティブ要素】と【ネガティブ要素】に区別してチェックしていました。

 会社の究極の目標は収益の拡大・持続的な発展です。事例Ⅰは人事・組織の問題ですが、会社の究極目標を目指して、組織が正しい方向に向かっているか、きちんと人材が能力を発揮できているかが重要ですよね。その視点で、会社にとってのプラス面、マイナス面を整理していきます。

 与件文は、実際にコンサルする際の、社長さんへのヒアリング結果と思って読んでください。たくさんの改善ヒントが詰まっています。

 では、いきます! 別ウィンドウで過去問ページを合わせてご覧ください。

どうも。平成26年度のA社長です。よろしく~。

A社長
A社長

~1段落目~

A社長一代での築き上げで、自ら陣頭指揮をとっているのか……経営理念は組織に伝えやすいけど、社長自身がマネジメントに専念できていない可能性があるな。あとは、OEM事業と自社事業が半々っと。

~2段落目~

営業担当が1名ってのは少なくないか。研究開発部門は体制が充実してるみたいだけど、一部販売業務も担当してて、研究開発に集中できてるのかな。生産部門は中途採用者が課長ね。即戦力を生かせててよさそうだけど、新卒人材は育っているのかな。

~3段落目~

ほぅほぅ、精密ガラス加工技術は高度なんだ。

~4段落目~

はい、重要ポイントきた! A社長が会社員時代に培った人脈や技術・経験がA社の経営基盤ね。この経営基盤をどうやって高めながら継承していくかが、A社が持続的な発展を実現するための課題になるね。

この会社には、私の職業人としての全てが詰まってるんよ。

A社長
A社長

~5段落目~

こんなに高度な技術なのに、製品サイクルは短いのか……顧客を離さないために、企画提案力を磨き続ける必要があるんだな。

~6・7段落目~

顧客から頼まれる仕事は単発になりやすい。逆にこちらから提案できれば高付加価値化に繋がるってことね。相手の要望を的確に把握するための接点確保や、きめこまかい対応による関係性強化も大事になりそう。事例Ⅱでもよく問われるポイントだ!

研究開発分野は待ちの姿勢ではダメなんよ。常にお客さんの要望を越える提案をしないといかん。

A社長
A社長

~8段落目~

きた、ターニングポイント! A社長の経営戦略が当たった瞬間。技術力と企画提案力を高めることは正しい方向性なんだ。この方針に沿った現状分析や提案を解答として組み立てることを心がけよう。

~9段落目~

もう1つのターニングポイントはOEMの受注。売上の半分を占めるから依存リスクが少し気になるけど、利益貢献度が大きいのは何より。毎年、単発業務の受注のために必死に営業しなくても、継続的に仕事が入ってくる安心感は絶大だね。市場拡大のポテンシャルを見極めて、良品率を高めるための技術開発や先行投資をしたA社長は凄い!

まさに、我が社の経営が軌道に乗った瞬間だったな。

A社長
A社長

~10段落目~

出た、「社長の思い」はテッパンキーワード! 「研究開発力の強化なくして事業の成長も存続もない」に濃い目にチェック! 専門性を高めるための組織強化や人材育成にも積極的な様子。この方達が社内に溶け込んで、しっかり能力を発揮できる環境が整えば、鬼に金棒だね。

~11段落目~

逆説で始まる段落も重要キーワードが必ずあるね。研究開発費用の助成金獲得が経営課題か……そういえば日本って、先進的な技術開発に対する助成金は充実してるイメージあるな。中小企業にとっては、是が非でも生かしたい資金調達手段だよね。

キーワードを整理

 技術や製品は知らない分野だったけど、A社の特徴やあゆみは比較的掴みやすい与件文だったという印象です。

 次は、チェックしたキーワードを、冒頭に書いた【ポジティブ要素】と【ネガティブ要素】に分けて書き出してみます。(実際は、色で区別してマーカー引いてあるので、わざわざ書き出さなくてもOKです)

~ポジティブ要素~

  • 社長が会社員時代に培った知識・経験・人脈
  • 社長の思い(研究開発なくして成長なし)
  • 経営戦略が当たっている
  • OEMの大口取引(ターニングポイントとなる)
  • 高度な技術・企画提案力
  • 高度な製造技術・良品率
  • 研究開発を担当する専門人材
  • 専門家や大学などの外部連携先
  • 中途採用者の即戦力を活用できている

~ネガティブ要素~

  • 社長が経営に専念できていない
  • 売上の半分がOEM(依存?)
  • 営業体制が脆弱
  • 研究開発部門が一部販売業務も担当(専門性を生かしきれてる?)
  • 技術革新のスピードが速い
  • 製品ライフサイクルが短い
  • 先方の要望に応えるだけだと単発業務になりがち
  • 社長ひとりに依存しがち(体制整備、技術力・企画力の継承)
  • 外注の製造設備
  • 新卒人材の定着・育成が少々不安

第1問の設問解釈

 いよいよ、第1問を解いていきます。

A社は、小規模ながら大学や企業の研究機関と共同開発した独創的な技術を武器に事業を展開しようとする研究開発型中小企業である。わが国でも、近年、そうしたタイプの企業が増えつつあるが、その背景には、どのような経営環境の変化があると考えられるか。120 字以内で答えよ。

A社長
A社長

 

 第1問によくある分析系の設問ですね。解答は、「理由は~である。」の組み立てで対応可能だと思います。

経営環境の分析だから、抽出したキーワードから、「機会」と「脅威」に該当するものを抜き出して書けば良さそう!

 1つ注意してほしい点があります。私だけかもしれませんが、最初この問題文を読んだ時、「そうしたタイプの企業が増えつつある背景に、どんな経営環境の変化があるか」という一般論を問われていると解釈してしまったんです。

 いや、問題文としてはその通りなんですが……そのまま解答すると、中小企業白書的な雰囲気で与件文に無いキーワードてんこ盛りのポエム解答になってしまうので、これはいかんと踏みとどまりました。

 そんな時は一旦冷静になって、問題文をもう一度よく読んでみれば、「A社が研究開発に特化してきた背景に、どんな経営環境の変化があるか」と置き換えられることが分かりますね。これなら、ちゃんと与件文でチェックしたキーワードが使えそうで、一安心です。

120文字なので、だいたい3~4つの要素を30~40文字程度で書けば良さそうかな。

第1問の解答構成

 与件文でチェックしたキーワード近辺から、経営環境に関する以下の要素で解答を組み立てることにしました。

~機会~

  • 助成金が使える
  • 高精度な分析が可能な商品の需要
  • 高度な技術や知識、企画提案力を持つ企業に継続取引獲得のチャンス

~脅威~

  • 技術革新のスピードが速く、製品サイクルが短い
  • 顧客の要望に応えるだけでは単発業務しか得られない

あとは、与件文で使われている語句を正確に拾って組み合わせればOK! 接続詞や助詞はコンパクトにして、余計な文字数を消費しないように注意っと。

第1問の解答案

A社長! 解答案ができました。

理由は、精密ガラス加工分野では高精度な分析が可能な商品需要が増え、技術革新スピードも速くなっており、高度な専門知識や製造技術に加え、新技術・新製品の企画提案力が継続取引獲得に必要であるため。また、研究開発に活用可能な助成金も豊富にあるため。(120文字)

どうでしょう!?

ふむ……ソーイチ君の解答はふぞ流採点で、18点ですな。(配点20点)

よしよし。第1問は大体みんなができているはずだから、失点せずに済んで良かった~。

第2問の設問解釈

 お次は第2問!

A社は、創業期、大学や企業の研究機関の依頼に応じて製品を提供してきた。しかし、当時の製品の多くが A社の主力製品に育たなかったのは、精密加工技術を用いた取引先の製品自体のライフサイクルが短かったこと以外に、どのような理由が考えられるか。100 字以内で答えよ。

A社長
A社長

 第2問も分析系の設問ですね。これも、解答は「理由は~である。」の組み立てでOKだと思います。2つのターニングポイントがあったはずだから、その直前まで実現できていなかったことを問われてそうな雰囲気です。

主力製品を育てられなかった理由の分析だから、抽出したキーワードから、A社の「生かせなかった強み」と「克服できなかった弱み」を抜き出して書けば良さそう!

 お気づきでしょうか。第1問と第2問の解答を組み立てることで、A社のSWOT分析ができてしまうんです。ほんと、事例問題ってよくできてますよね。

第2問の解答構成

 与件文でチェックしたキーワード近辺から、A社の経営資源に関する以下の要素で解答を組み立てることにしました。

~(生かせなかった)強み~

  • ニーズを把握し、要望を越える技術・新商品提案ができなかった

~(克服できなかった)弱み~

  • 社長ひとりだけで業務対応する体制が続いた
  • 製品製造技術の改良が進まず良品率が低いままだった

第1問と違って、今回は100文字以内だから、さっきより少しコンパクトにまとめよう。

第2問の解答案

A社長! 解答案ができました。

理由は、A社長ひとりだけで客先の依頼に応えて単発的な業務をこなす体制が続き、自らのアイデアによる自社製品開発や新商品の企画提案ができず、また、外注製造設備の改良が進まず、良品率を改善できなかったため。(100文字)

どうでしょう!?

ふむ……ソーイチ君の解答はふぞ流採点で、16点ですな。(配点20点)

合格点だけど、第1問より少し失点が多いな。何か1つ見落としがありそうな雰囲気。

前編まとめ

 かなり長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただき有難うございました。大半の方が得点できていた第1問と第2問を無難に解答でき、なんとか格好が付いたかなと思います。

 自己採点に使った『10年データブック』で第2問の採点基準を確認すると、6段落目の「成長スピードは決して速いとはいえない」の記述から、「技術の獲得や蓄積に時間を要す」ことを読み取れていませんでした。高得点なキーワードのようだったので、もったいなかったです。

 たった数点と侮るなかれ。その間に、何百人という受験生がひしめき合っているのです! 一問・一句をしっかりものにしていきましょう。一問一生です!

 さて、後編は第3問の設問解釈から始まります。乞うご期待!

第1問と第2問で行ったSWOT分析を踏まえ、第3問以降で経営課題の定義や改善施策の提案を行っていきま~す。

さいごに

 いかがでしたでしょうか。与件文チェックから設問解釈、そして解答の組み立てまでのイメージがなんとなくでも伝われば嬉しいです。

 解答の導き出し方は人それぞれ。今回は私流の解法をご紹介しましたが、他にも様々な方法が存在します。是非いろいろ試してみて、自分に合ったスタイルを見つけてみてください!

果たしてこの企画は今後も続くのか……下の「合格祈願」をクリックして、企画継続のパワーを僕にください!

 明日は「とも」の登場です! 前回の記事(演奏家に学ぶ本番でミスをしない練習・心得)は、受験生でなくても非常に参考になる内容でした。明日の記事も楽しみです。ではまた(^^)/

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