ネガティブ思考を利用して勉強力を高める方法

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こんにちは!若手合格ナビゲーターのだいちです!
1次試験が翌月に迫ってきましたね。今年受験される方はいよいよ勉強も大詰めという段階かと思います。

この段階にくると、人によっては自分の勉強の完成度に不安を感じてストレスを抱えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
私も1次試験の前月はとにかく不安を感じていました。予備校の先生に相談して「絶対大丈夫だから心配するな」と声をかけてもらっても、「試験日に熱を出して試験に行けなかったらどうしよう」など、どうしようもない不安を感じて悶々としていた記憶があります。

不安の対処法などをネットで調べてみると「ネガティブなのはよくない。とにかくポジティブであれ!」だとか「成功を具体的にイメージしよう!」というようなポジティブ至上主義を謳う記事がちらほら見受けられます。

もちろん、ポジティブ思考そのものは悪いものではなく、有効に作用する場合もありますが、必ずしも万能ではありません。むしろ、ネガティブな思考とうまく向き合うことで、目標達成を手助けしてくれる場合もあるのです。

今回の記事では、巷で流行しているポジティブ思考の罠について解説するとともに、ネガティブ思考のメリットについて触れていきたいと思います。

今回の記事は、ハイディ・グラント・ハルバーソン著『やってのける 意思力を使わずに自分を動かす』を参照しています。今回のトピックに限らず、過去にご紹介したif-thenプランニングやマインドセットについて言及しつつ、個々人のタイプごとに様々な目標設定の方法が掲載されている良書です。よろしければ書籍もチェックしてみてください!

 

ポジティブ思考の罠 楽観的すぎるとかえって失敗する 

 

タイトルが若干「ポジティブ思考やめよう」的なニュアンスにも見えるので、バランスをとるためにポジティブ思考のメリットにも触れておきたいと思います。

 ポジティブ思考の人は、日常生活のあらゆる面で、目標達成の家庭でぶつかる障害物に積極的かつ直接的な方法で対処し、問題に正面から向き合おうとすることもわかっています。また、物事は最後にはうまくいくと信じているので、粘り強く努力を続けます。その結果、目標を達成する確率も高まります。

『やってのける 意思力を使わずに自分を動かす』ハイディ・グラント・ハルバーソン

このように、困難な出来事を「自分が成長できるチャンスである」など、ポジティブに捉え直すことによって、その障害を乗り越える確率が高まることが示唆されています。
では、このポジティブ思考のデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。著書ではこのように述べられています。

 ポジティブ思考の人は、物事がうまくいくと信じているために、起こり得るさまざまな問題を十分に検討しようとしません。そのため準備を怠ったり、危険な行動を取ろうとします。ギャンブルで負けが続いても、次こそは勝てると信じているために、さらに賭け金を増やします。ご存知の通り、ギャンブルというものは、最終的には胴元が儲かる仕組みになっています。つまり、このような状況では、ポジティブ思考が悪い結果を生じさせることになるのです。

『やってのける 意思力を使わずに自分を動かす』ハイディ・グラント・ハルバーソン

上記の例はギャンブルなのでやや極端ですが、受験勉強に当てはめるとすれば、例えば、模試の点数の結果が予想よりも悪かったことを受けて「これはたまたま自分と相性が悪かったからだ。本番では勝てる!」といった根拠のないポジティブ思考が湧くような状況をイメージして頂くと良いかと思います。当然のことながら、これでは模試の結果から何も学んでいないため、本番でも失敗するリスクが高くなります。では、どうすればよいのでしょうか。ここでネガティブ思考の登場です。

 

ネガティブ思考のメリット ネガティブだからうまくいく

 

ネガティブ思考というと、一般的にはあまり良い印象をもたれないかもしれません。確かに、行き過ぎたネガティブ思考はメンタルに悪影響を及ぼし「うつ病」などの疾病を引き起こすリスクを高めてしまいます。

ですが、著書の中ではネガティブ思考も目標の達成において必要な要素であると述べます。先ほどのギャンブルの例では、ポジティブ思考と対比する形で次のように触れられています。

一方、ネガティブ思考の人は、つねに最悪の状況を想定します。物事がうまくいかなくなる状況も含め、さまざまな可能性に備えようとします。ギャンブルで負けが続けば、勝つチャンスはないと早めに見切りつけます(そもそも本当にネガティブ思考の人なら、初めからカジノには足を踏み入れないかもしれません)。

『やってのける 意思力を使わずに自分を動かす』ハイディ・グラント・ハルバーソン

ネガティブ思考の有効性については他の書籍も参考にしてみましょう。以下は、アダム・グラント著『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』で紹介されている心理学者のジュリー・ノレムの実験を参照しております。

 ノレムの研究チームはある実験で被験者にダーツ投げをしてもらった。ダーツを投げる前に、大成功する様子を思い描いてもらう被験者と、失敗する様子を思い描いてもらう被験者と、リラックスしてもらう被験者を無作為に割り当てた。

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』アダム・グラント

この「失敗する様子を思い描いてもらう被験者」を著書では「防衛的悲観主義者」と言っています。

 その結果、防衛的悲観主義者のグループは、悪い結果を思い描いたときのほうが、よい結果をイメージしたときやリラックスしたときよりもダーツの命中度が三十パーセント高かった。

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』アダム・グラント

このように、ネガティブな思考をうまく活用することによって、失敗を回避する能力が高まり、結果として成功する可能性が高まるということが示唆された研究になります。

 

ネガティブ思考を勉強に活用する

 

ここまで、ポジティブ思考とネガティブ思考のそれぞれのメリット・デメリットについて見てきました。いずれの思考も全部が良い、又は悪いといった一括りで捉えられるものではないため、それぞれバランスをもって勉強に取り入れていくのが有効ですね。

ですが、ネガティブ思考をどのように取り入れれば良いのかわからない、といった感想をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。ここからは、具体的にネガティブな出来事が発生したときにどのように対応していくかについて述べていきます。

よくネガティブな出来事に遭遇した際に、「自分はもうだめだ」と思って何もできなくなるようなことがあるかもしれません。これは前回お話ししたマインドセットとも繋がるのですが、「自分にはその問題に対処できない」と感じたときに人はやる気を失ってしまいます。

このときに有効になるのが、以前お話ししたif-thenプランニングです。次のような例でプランニングしてみます。

  • (if) もし、自信の喪失や不安を感じるといった状況に陥ったら
  • (then) 要因を特定し、それを解消するために必要な行動をとる

このブログの冒頭をみてみましょう。私は試験の1ヶ月前において「試験日に熱を出して試験に行けなかったらどうしよう」など、どうしようもない不安を感じていました。試験当日に何が起こるかわからないのですから心配してもきりがありません。

私は、この不安に対処するには「自分自身が健康であるように行動する」しかないことに気づいたので、なるべく健康的な食事や適度な運動を取り入れて対処してきました。

勉強においても似たようなことが言えるでしょう。状況によっていろいろなケースが考えられますが、1つの例として、もし重箱の隅をつつくような問題が出て、解けなかったらどうしようと不安に感じたのであれば、その問題について詳しい人にアドバイスをもらうというのも正しい方法だと思います。私自身もこういったことに悩まされていたので、診断士の先輩に連絡してアドバイスをもらっていました。

ネガティブな思考に飲み込まれるのではなく、上記のif-thenプランニングの実践や、前回お話しした成長マインドセットを活用することで、結果として危機回避能力が高まり、いわゆる「ポジティブシンキングだけの人」よりも高いパフォーマンスで勉強できると思います。皆さんも是非試してみてください!

明日は、超ハイスペック合格ナビゲーターたかしより「ふぞろいの使い方」をテーマにお送りいたします! お楽しみに!

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