皆さん、おはようございます!事例Ⅳ分析&答案管理の「とも」です。
本日は2022年版「小規模企業白書」第2章から「地域内連携」について考えてみたいと思います。
目次
中小企業診断士試験の二次試験にはよく、地域課題の解決のため地域内の企業と連携を進めるストーリーがあり、その内容についてたびたび設問で問われています。例えば…
Y社は「X市の魅力を全国に」との思いからX市企業の佃煮、干物などもY社サイトでコラボ企画と称して販売している。(中略)
(B社は)地元産大豆の魅力を伝える全国向けネット販売といった夢をこの機にかなえたいと思っている。
第2問
B社社長は社会全体のオンライン化の流れを踏まえ、ネット販売を通じ、地元産大豆の魅力を全国に伝えたいと考えている。そのためには、どの商品を、どのように販売すべきか。ターゲットを明確にした上で、中小企業診断士の立場から100字以内で助言せよ。
とか、
島では、若年層の人口流出や雇用機会不足、人口の高齢化による耕作放棄地の問題、農家所得の減少などが深刻化し、地域の活力が低下して久しい。B社の設立は(中略)B社社長が、こうした島の窮状を打開したいと考えたことがきっかけである。(中略)
社長は自社ブランド製品の販売に再びチャレンジしたいという思いや、島の活性化への思いがさらに強くなってきた。
第4問
B社社長は、自社オンラインサイトのユーザーに対して、X島宿泊訪問ツアーを企画することにした。社長は、ツアー参加者には訪問を機にB社とX島のファンになってほしいと願っている。絶景スポットや星空観賞などの観光以外で、どのようなプログラムを立案すべきか。100字以内で助言せよ。
とか。
令和3年度事例Ⅳにも、自治体との共同事業として廃校となった旧小学校の校舎をリノベーションして魚種 X の陸上養殖をする、というストーリーもありましたね。
過去問をある程度やっているとおなじみのストーリーですが、まるで中小企業庁がこんな施策もあるから合格後は診断先企業に提案することも検討してね、と言っているかのようです。
2022年版「小規模企業白書」の第2章を読むと、中小企業庁が地域内連携を大切にしている理由が見えてきます。
以下の図を見ると地域の課題解決を担う存在として、小規模企業に対する期待度が高いことが分かります。また国としてもこれらの企業の活動を後押しすることで、地域の持続可能な発展を図りたいところです。
一方で、小規模事業者は自社だけではノウハウやリソースが足りないことがほとんどです。同じ課題を共有する地元の企業と連携することで、各社の強みを生かせ、双方Win-Winの関係になることが期待できます。以下は小規模企業が連携するメリットを示した図です。自社にも良い影響を与えているのが分かりますね。
利益面から見ても地域課題を自社の中心事業としている企業ほど黒字である割合が高いです。
しかし白書を読むと、地域課題の解決を事業ではなく地域貢献の一環として取り組んでいる企業の割合が高いので、実際に事業として進めるにはいくつもの障壁があるのかと想像します(中小企業診断士の出番ですね)。
このように社会的課題の解決と経済成長の両立を目指す企業は、白黒模様で群れで行動するゼブラ(シマウマ)に例えられ、ゼブラ企業と呼ばれています。2016年にアメリカ人女性起業家が提唱した概念で、利益や時価総額拡大を目指すユニコーン企業と対比されていますが、日本に昔からある「三方良し」の経営哲学に通ずるものがあると思います。
以下の語句も関連キーワードとしておさらいしておくと良いかもしれません。
ソーシャルマーケティング
コーズ・リレーテッド・マーケティング
CSR(Corporate Social Responsibility)
CSV(Creating Shared Value)
フィランソロピー活動
メセナ活動
環境経営
今回紹介するのは群馬県太田市の株式会社マウンテンディアーさん。
東京でアパレル業を営んでいたご夫婦が地元太田市に戻り会社を設立。自社の婦人服ブランド「to touch」で扱うアイテムの一つとしてニット製品の生産を市内のニット工場に依頼したところ、かつては盛んであった太田市のニット産業が衰退していることを目の当たりに。市内ニット工場と連携し、地域全体でニット産業を再興しようと地域ブランド「OTA KNIT」を立ち上げた企業さんです。
詳細は白書をご参照いただきたいのですが、以下のように地域連携を行うことで各社の強みを生かし、地域のブランド価値を向上させ、ニット産業全体で活性化されていく様子がわかります。
「しの」が書いた「ブランド」のテーマに通ずるところがありますね。
更に、知名度が向上することで若手デザイナーが関心を持ち、若年層へ訴求できる商品が開発されることにより、大型商業施設等から引き合いがあるなど、好循環が生まれているようです。
この辺りは「事業承継」というテーマにもつながってくる話かと思います。
「中小企業白書」や「小規模企業白書」には、国が示す中小企業経営のありかたが描かれています。国家資格である中小企業診断士に、国が進める中小企業政策と企業との橋渡しが期待されいることを考えると、二次試験を受けるに当たり白書を確認しておくことは有益だと思います。一次試験のときのように細かい数字を覚える必要はありません。息抜きがてら事例企業の欄をパラパラめくるだけでも傾向はつかめてくると思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。少しでも皆さんの気づきになれば嬉しいです。
さて次回は「事業承継」の切り口から「けーし」が紹介します。お楽しみに!
<参考>
株式会社マウンテンディアー
2022年版「小規模企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/PDF/shokibo.html
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ふぞろい16メンバーのブログは2月20日スタート!
どうぞお楽しみに!
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