【中小企業白書案内⑥】事業承継

同友館
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みなさんこんにちは、けーしです。
今日は中小企業白書案内の最終稿として、事業承継について紹介したいと思います。ふぞろい本誌の事例Ⅰ特別企画としても取り上げさせていただいた「事業承継」ですが、重要論点ということもあり、白書内での取り扱いページも非常に多くなっています。本誌では紹介できなかった部分を中心に紹介してみたいと思います。

中小企業の経営者の高齢化と事業承継の必要性について

本誌でも紹介した通り、中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、後継者不在のため事業承継に課題を抱える企業が増加しています。「本当に高齢化が原因なのか?儲かってないだけでは?」などの疑問・ツッコミについては、白書Ⅰ-85ページから大量のデータとともに紹介されていますので一度目を通してみてください。ポイントとしては以下2点です。
・中小企業の高齢化に伴い、事業承継に課題を抱え廃業の危機にある企業が増えている。
・上記企業は必ずしも赤字企業ではなく、黒字企業でも後継者不在を理由に廃業の危機に直面している。

白書でこれだけページ数を割いているのは、「事業承継」が中小企業の抱える大きな課題になっていることの証左でもあります。本ブログは試験問題の予想をするものではありませんが、今後も事業承継の論点を問う設問は1次試験、2次試験ともに一定数出題される可能性が高いと考えられます。

親族内承継だけじゃない!M&Aについて!

令和3年度の事例Ⅰでは3代目に親族内承継を行うA社が登場しました。このイメージで、事業承継=親族内承継と思われている方もいるかもしれませんが、白書内ではM&Aを利用した第三者承継についてかなり手厚く紹介されています。

上図の様に、中小企業のM&A件数は年々増加しており、今や事業承継の主要な手段となっています。ただし、M&Aは簡単な施策ではなく、売り手/買い手ともに多くの課題があり相応の労力を要します。課題の内容も評価、資金、人材、組織構造、既存事業との親和性検討等多岐に渡るため、まさに社運を賭けた一大プロジェクトなのです。白書では、売り手/買い手双方の視点からM&A時に経営者が感じる課題やそれを解決するための相談相手について、データを基に紹介されています。是非、経営者の苦悩を白書から感じ取っていただきたいと思います!

過去の二次試験での出題

ふぞろい本誌でも紹介させていただきましたが、「事業承継」に関する2次試験の出題実績を整理すると下表の様になっています。平成22年から出題されていなかった「事業承継」の論点が令和2、3年と2年連続で出題されている事から、今中小企業が直面している課題として、診断士試験でもこの論点が重要視されている事が推察できます。
「去年出たからもう出ないだろう」という安易な予想で捨ててしまうのは危険かもしれません。

事例企業の紹介

白書では「事業承継」の事例として複数の企業が上げられています。以下で代表して1社紹介させていただきます。

【株式会社ヒダカラ】
岐阜県白川村で古くから作られてきた伝統食材「石豆腐」を製造・販売する深山豆腐店の廃業に伴い、地元客や観光客に親しまれてきた石豆腐を無くしてはいけないと、株式会社ヒダカラが事業の承継を決意。しかし、現実のM&Aには収支計画策定や事業の実現性の検討等が必要なため、岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターからM&Aのサポートを受けました。

実際の事例を見る事で、理想論や心意気だけではM&Aは実現できないということがよくわかります。ヒダカラさんは無事に事業を承継し、クラウドファンディングやテイクアウト対応等新たな施策にも積極的に取り組んでいるため、そちらも合わせて確認してみてください!

最後に

いかがでしたでしょうか。実は私も診断士になった後に社長さんとお話していると、事業承継の話題が高い確率で話題に上がります。試験勉強だけでなく、診断士になった後も無駄にはならない知識ですので、これを機に試験勉強の合間などで白書の当該部分を一読いただければ幸いです。

そして、今週月曜から始まった「白書企画」も本日で終了!! ふぞろいメンバーが考える白書のポイントを紹介させていただきました。

また、気になったパートなどを読み返していただいて、引き出しにして頂ければ幸いです。ありがとうございました!!

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