皆さんこんにちは!!事例Ⅲ分析&再現答案チームの「あっきー」です。
すでに勉強を進めている皆さん、これから始める皆さん、ちゃんと合格できる “環境” は整っていますか??
中小企業診断士試験の学習は長期に渡りますが、特に試験直前期には集中して勉強できる環境が欲しくなるものです。
そんな時に良好な学習環境を確保できるかどうかは、家族や職場など周囲の協力が必要不可欠です。
そこで、『中小企業診断士試験に必要な知識』を活用しながら“パワーを用いて信頼を築き、影響力を用いて周囲の協力を得る”方法についてご紹介したいと思います(全2回予定)。
今回はシリーズ第1弾として、“信頼を築く” ための ”パワー” の活用についてご紹介します!
目次
周囲からの協力は、指をくわえて待っているだけでは得ることはできません。
自ら主体的にアプローチし、協力してもらえるように周囲を意図的に動かす意思と行動が必要です。
そのベースとなるのが 「相手のニーズに合った行動を取り、信頼を獲得する」 ことです。
そのためには、「相手のニーズを的確に把握」 した上で、「自らが所有するパワーを効果的に活用する」 ことが有効です。
パワーを効果的に活用するためには、アメリカのジョン・フレンチとバートラム・ラーベンが提唱した 「パワーの源泉」 は最低限理解しておく必要があります。
ちなみに、診断士1次試験(企業経営理論)での出題実績もあります(例:H24年15問、H30年17問など)。
《パワーの源泉(フレンチ&ラーベン)》
他者に対し影響力を行使するには、多様なパワーの源泉を持ち、それを効果的に活用することが重要となります。
一方、スタンフォード大学のジェフリー・フェファーが提唱する “3つのパワー” についても知っておくと、実務等での活用がしやすくなります。(診断士試験には未登場です。たぶん。)
彼によると、人を動かす力(パワー)は大きく 「公式の力」 、「個人の力」 、「関係性の力」 に分類されます。
《フェファーによる3つのパワー》
*参考図書:影響力のマネジメント リーダーのための「実行の科学」(ジェフリー・フェファー著、奥村哲史訳)
「パワーの源泉」で紹介した力が、公式の力と個人の力に含まれていることが分かると思います。
中小企業診断士として活躍するためには、「公式の力」よりも「個人の力」や「関係性の力」がとても重要だと考えています。
例えば、「個人の力」としては、自分の専門分野(専門力)、経験・実績(同一化力)、人的魅力(カリスマ力)が重要となります。
「関係性の力」としては銀行との繋がり、弁護士との繋がり、中小企業診断士同士の繋がり等が重要ですね。
そのため、今回はこちらの “3つのパワー” の活用について考えてみたいと思います。
上記のパワーは、基本的には 「他者を動かす」 ために必要なものです。一見、協力を得るというイシューには適合しないように思えます。
しかし、相手のニーズを適切に把握し、それに合ったパワーを効果的に活用することで、信頼関係の構築が可能となります。
冒頭で話した通り、信頼関係の構築は、協力関係を築くことのベースとなります。
《パワーを効果的に活用するための手順》
それでは、ミニケースを通じて具体例を示します。
<ミニケース(作:あっきー)>
Aさんは工場の生産企画部門に所属しています(役職なし)。これまで、生産計画の立案や、設備投資の事業性評価などを行った経験があり、これらについては専門的な人材として社内で知られています。一方、技術部門や製造部門に所属した経験がなく、技術的な知識に疎いことが悩みです。製造部門には仲の良い同期がたくさんいますが、技術部門とは繋がりがありません。また、プライートでは自己研鑽の為に中小企業診断士の勉強をしており、特に経済学に関しては自信があるため、どこかで活用したいと考えています。
近年、自社工場の稼働率が低下していることより、当部門では新たに“受託事業”を立ち上げようと考えています。Aさんは、B課長より 「技術的な観点も加味し、実現可能な受託領域の選定と、投資対効果の評価、実行までのスケジュール策定を早急に行って欲しい」 と指示されました。
さて、Aさんはどのようにパワーを活用するべきでしょうか?
<解答(例)>
【情報整理】
〇:強い、×:弱い、△:どちらともいえない
【パワー活用例】
今回のミニケースでは、Aさんにはそもそも役職がなく、公式の力は保有していないと考えてよいでしょう。
また、より役職が上のB課長からの指示でもあるため、Aさんに公式の力は求められていないことも推察できます。(公式の力が必要な場合は、B課長自身が行使する。)
個人の力としては、過去の経験で得た専門的な知識(計画力、事業性評価)を生かすことができそうです。
一方、Aさんは経済学の知識を持ちますが、今回のB課長のニーズには適合しないため、使用しないことが無難でしょう。求められていないパワーを用いると、かえって信頼を失う場合もあるため注意が必要です。
今回のケースでは、舞台が工場のため、実際に工場の稼働率や製造部門の状況を把握することは重要です。この点では製造部門の同期との関係性を活かすことができそうです。
しかし、Aさんには技術的な知識も、技術部門との繋がりもありません。今回、B課長からは「早急に」検討を行って欲しいと要求されているため、これらの力を今から獲得していく時間はないと考えられます(ただし、長期的には獲得すべき)。
B課長の 「早急に」 という要求から、綿密なコミュニケーションが期待されている可能性があります。そのため、技術的な観点については自分に力が無いことを認めた上で、まずはB課長に相談を行うのが良いでしょう。
* これはあくまで解答の一例です。絶対的な正解はありませんので、より良いアプローチが無いか、皆さんも考えてみてくださいね^^
いかがだったでしょうか?
という声が聞こえてきそうですが、フレームワークや枠組みを使用することで、思考の抜け漏れを無くすことができます。
相手のニーズを適切に把握・分解し、自分の持つ“パワー”を適切に使用することで、「相手に刺さる行動」 を取ることができます。その行動が “信頼” に繋がるのです。
今回は、“信頼を築き、周囲の協力を得る①” と題して、信頼を築く際に有効な、「相手のニーズに対してパワーを効果的に活用する」ということを紹介しました。
次回(by あっきー)は、信頼をベースとしたうえで、意図して相手から協力を引き出す 「影響力の行使」 について紹介します。
明日は、事例Ⅲチームと分析統括チームを橋渡しするキーパーソン「うめりー」です!お楽しみに!