合格できる答案はどうすれば書けるのか

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ご無沙汰しています、分析チームの takeshiです。
1次試験まであとわずかとなり、1次試験を受験される皆様は最後の追い込みに入っておられることでしょう。暑くなってきましたので体調に気をつけて頑張ってください。
さて今回は、「合格できる答案」はどうすれば書けるのか?、というテーマに挑戦してみたいと思います。このテーマは自分が受験生の頃から漠然と考えていましたが、再現答案の分析をするなかで徐々にまとまってきたように思います。至らない点もあると思いますがお付き合いください。
【真の正解はわからない】
合格するには合格基準を満たす必要がありますが、診断協会の 平成19年度中小企業診断士第2次試験案内によると合格基準は以下のとおりです。
『第2次試験の合格基準は、筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験における評定が60%以上であることを基準とします。』
つまり、筆記試験では総得点で60%取り、かつ、全科目で40%の足きりに引っかからなければ良いわけですが、そもそも100点の解答がどのようなものかがわかりませんので何が60点なのかも不明です。「出題者の考える正解」は受験生にとっても、合格者にとっても闇の中なのです。
このように、「出題者が考える正解」がどういったものなのかがわからない状態で、受験生は合格を目指して答案を書かなくてはならないわけです。試験ですから仕方ないとはいえ、受験生にとってはなんとも辛い話です。
【正解に近づく道はいくつもある】
とはいえ、何か目標を設定しなければ合格目指して勉強することは出来ませんから、受験生は予備校や市販参考書のメソッドを信じて勉強を進めていくことになります。これらのメソッドは優秀な先生方が長年の経験を活かして作り上げたものですから「出題者の考える正解」にかなり近い解答が作成できると思われますが、ご存知のようにメソッドの内容は様々であり、しかも作成した解答が本当に「出題者の考える正解」と一致しているかはわかりません。
たとえば「ふぞろいな合格答案」では、合格者やA判定の再現答案が60点以上になるような採点基準によるキーワード採点を採用していますが、それが本当に正しいかどうかについては疑問も残ります。設問間の一貫性は採点に影響を与える可能性が高いですし、ととさんが指摘されている答案の読みやすさも採点に影響を与えているかもしれません。
【答案内容に違いがでるのは当たり前】
となれば、どのようなメソッドを使っているかによって答案の内容やポリシーに差が出てくるのは当然と言えるでしょう。ですが、このことをしっかり意識している受験生の方は意外と少ないように思います。
私事で恐縮ですが、私は長い間このことに気がつきませんでした。1次試験はマークシートという性質上予備校の解答に違いはほとんどありません。このような正解がすぐに確認できる試験に慣れきっていた当時の私は無意識のうちに唯一の正解を求めて学習を進め、予備校の模範解答例のばらつきを前に「何が正解なのか?」と悩んでしまったことを覚えています。実はどれも正解じゃないかもしれませんし、正解であることを証明することは不可能なのですが。
【正解に近づくには信頼できる情報が必要】
前置きが長くなりました、本題に入ります。
合格できる答案を確実に書くためには「出題者の考える正解」や採点基準を知ったうえで答案の書き方を勉強していく必要があります。しかし、「出題者の考える正解」も採点基準もわかりません。となれば、これらを出来るだけ正確に推定するために情報を増やすしか正解に近づく方法はなさそうです。具体的には、診断協会の公表する「出題の趣旨」は最初にチェックしたい情報源ですし、過去の受験生の再現答案を分析して合格者と不合格者の差が抽出できれば、「出題の趣旨」よりは確実性は劣りますが貴重な情報源となります。
一方で、フレームワークや切り口、これまでに学んだ診断士としての知識、ロジカルシンキングや国語力などのスキル、などは過去問を分析して「出題者の考える正解」を推定する際の強力な武器になりますし、本試験で短時間で的確な答案を書くためにも必要となります。
いずれにしても、「出題者の考える正解」に近づくには信頼できる情報をどれだけたくさん入手できるかが重要となります。ただし、情報はあくまで情報に過ぎないということには注意が必要です。
【大切なのは素直かつ柔軟であること】
しかしもっと大切なことは、どれだけ情報を集めて分析を行っても「出題者の考える正解」はわからないのだということを素直に受け入れることではないかと思います。正解はわからないと思えば予備校の模範解答や「ふぞろいな採点基準」に納得できない場合であっても一つの見方であると受け入れやすくなりますし、むしろ自分の考えに偏った部分がないかを検証するための材料として活用できるように思います。実際、私はそういう風に思えるようになってから思い込みや変なこだわりが消え、与件文や設問文を冷静に読むことが出来るようになったと思います。
試験である以上、「出題者の考える正解」は間違いなく存在します。しかし、その正解をピンポイントで狙うのは非現実的ですし時間が足りません。そうではなく、思い込みや変なこだわりを抑えて与件文や設問文を素直に読み、「出題者の考える正解」の周辺を限られた時間の中で確実に狙えるようにすることが合格への近道であり、そうやって書かれた答案が「合格できる答案」なのではないかと思います。
予備校の模範解答や「ふぞろいな合格答案」の解答例などは一見ばらばらに見えても「出題者の考える正解」の周辺に位置しているはずですから、これらの解答例の共通点を見つけることは「出題者の考える正解」の方向を知ることになり、解答例の違いを見つけることは「合格できる答案」であるために許容できるばらつきの度合い、つまりは合格のためのボーダーラインを知ることになるでしょう。様々な解答例を柔軟に吸収することが大切です。
【合格したいからこそ肩の力を抜いて】
最後に、合格したいと強く願えばこそ、答案を書く際はすこし肩の力を抜いてみる必要があると私はおもいます。矛盾するようですが、力が入りすぎた答案は自分の思い込みや変なこだわりが含まれやすくなります。合格したいからこそ、力みすぎずに肩の力を抜いた答案を書くことが大切だと思います。肩の力がほどよく抜けた答案を書くための参考に「ふぞろいな合格答案」で分析した採点基準や合格者の再現答案を活用いただければ幸いです。
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