事例Ⅰアドバイスリレー やーみん編 ~ 点数に「ならなかった」キーワード~ 

同友館
doyukan_logo

こんにちは、やーみんです。

事例Ⅰからは、多彩なラインナップでアドバイスリレーをお送りしてきました。

最後に私からは、ふぞろいで点数に「ならなかった」キーワード、について
お話したいと思います。

ふぞろいでは、頂いた再現答案からキーワードを抽出し、
「①キーワードが書かれた答案の数」「②①のうち、A以上答案の数、または割合」という2軸で
キーワードの点数付けを行っています。

そのため、分析はしたけど、点数をつけることはできなかったというキーワードもあるわけです。

今日は点数にならなかったキーワードを拾い上げ、
なぜ点数にならなかったのか、その理由も考えながら、
皆さんにご紹介をしていきたいと思います。

ネタバレ全開なので、初見で解きたい方はブラバしてください。

続きを読む: 事例Ⅰアドバイスリレー やーみん編 ~ 点数に「ならなかった」キーワード~ 

第1問

  • (強みとして)ニーズ対応力、ニーズ収集力

このキーワードは、答案の数はそこそこあったものの、
不合格答案の割合が多く、点数とはしませんでした。

これを記入した方というのは、恐らく本文の

(有機野菜)販売業者のアドバイスを受けながら、最終消費者が求める野菜作りを行い

という文章から拾ってきたのだと思います。

何故このキーワードが点数にならなかったのか、
自分の思う理由は2つあります。

①A社の強みじゃないから

A社が「最終消費者が求める野菜作り」ができていたのは、
あくまで有機野菜販売業者のおかげです。

A社がニーズを収集していたわけではありません。

設問は「A社の強み」を聞いているのですから、
点数にはならなかったと考えられます。

②「A社のニーズ収集力は弱かった」と明記されているから

え?どこやん?って思った人、最後の3ページ目を見てください。

直売所を開設し、飲食スペースを提供するようになって初めて

少しずつではあるが A 社は自社商品に関する消費者の声を取得できるようになった。

と書いてあります。

つまり、ここに至るまでの長い間、A社は消費者の声を取得できて「いなかった」わけです。

ここからも、強みとしての「ニーズ収集力」は点数にならなかったと考えられるのです。

(ちなみに、弱みとして「ニーズ収集力が弱い」も同じく点数にはしませんでした。
これは解答人数が少なすぎて、判断ができなかったためです)

  • (強みとして)中食、カフェ、直営店、食品加工

これがダメな理由は大丈夫だと思います。

「A社の法人化以前において」という制約条件を完全に破っているためです。

これらが書かれた答案で、A以上答案はほとんどありませんでした。

ただ、幸いというべきか、答案数そのものは非常に少なかったです。

  • (弱みとして)品質の不安定さ

解答数が少なく、かつわずかに不合格答案の割合の方が多かったことから、
ふぞろいでは点数とはしませんでしたが、
実際には加点されてたとしてもおかしくないようには思えます。

というのも、本文には

主要な取引先からは、安定した品質と出荷が求められていた。

と書かれてるんですよね。
ここだけ切り取ると、点数になっててもおかしくないように思えます。

(ここから余談)
ただ、これより前の文章では需給調整の話をずっとしているので、
ここで「品質」の話に出てくること自体、文脈上唐突で不自然に思えます。

問題文にケチをつけてもどうしようもありませんが、
あまり意識していなかったんじゃないか?と思わないでもありません。
(ここまで)

第2問

  • シフト制、フレックス制

このキーワードは非常に多かったですが、不合格答案の割合が多く、点数とはしませんでした。

繁閑の差や、突発対応に対しての対応策として挙げた方が多かったです。

間違ってはないような気もしますが、
ふぞろいに載っているキーワードと比べると獲得、定着の施策としては「弱い」気がします。

なぜなら、これはハーズバーグの二要因理論でいう「衛生要因」に当たるからです。

A以上答案には「動機付け要因」で、積極的に従業員のモラールを引きだそうとする答案が多かったです。

  • 給与制度の整備
  • 評価制度の整備

この二つはまとめてご紹介。

単純にモラール向上の施策として挙げている答案や、
突発的対応の対価として金銭で報いようとする答案が見受けられました。

これもシフト制と同じく、不合格答案の割合が多いキーワードでした。

やはり給与制度は「衛生要因」に当たるというところで△評価。

評価制度は、例年であればモラール向上の施策として鉄板なのですが、
今年度の与件文においては評価についての記述は一切なかったため、
「与件に寄り添っていない解答」と見なされたように思われます。

突発的対応については、他にも非正規社員の活用で
対処しようとする答案も散見されましたが、
これもあまりうまくいっていないように見えました。

では、高得点解答はどのように対応しているかというと
突発的対応について「何も書かない」のが正解だったように思います。

というのも、農業は自然が相手なので、台風などで突発的対応が起こるのは仕方ないんですよね。
なので、そこには深入りせず、別の方向でモラール向上の施策を提案した答案が
結果的に高得点を獲得していたようです。

(ただ1名、ハウス栽培をあげて合格された方がいましたが、
 サンプル数が少なすぎて、ハウス栽培に点数が入っていたかはわかりません)

  • 従業員の提案を取り入れる

これも不合格答案の割合が高いキーワードでした。

ただこれ、私はそんなに悪くないんじゃないかなー、と思っています。

なぜなら、提案制度はモラール向上に有効な施策であるのに加え、
「社員からの提案を取り入れる」実例が与件中に繰り返し登場するんですよね。

・後継者が若手従業員からの提案を上手に取り入れ、搾りたてのトマトジュース、苺ジャムなど~
・若手従業員の提案で、オープンカフェ形式による飲食サービスを~

というか、私も試験本番で書いていて、当時自信満々だっただけに、
ふぞろいの分析で点数が入らないことに驚いた記憶があります。

ここは正直、今でも分からないところです。

第3問

まず白状しますと、この第3問は、第4問(2)と合わせて難関でした。

というのは、「中食業者との関係は強化する、そして新分野も探索する」という
「方向性」が正解となるため、あまりキーワードキーワードしてないんですよね。

ということで、本題ですが

  • (新分野として)デリバリ

母数自体が少ないうえに、不合格答案の割合も多いキーワードでした。

個人的にこの問題は
「両利きの経営」を理解していますか?という設問だと考えているのですが、
デリバリ商品は既に中食業者に対する主力製品であるため、新分野の具体例としては
弱いとされたのかもしれません。

そのため例えば「中食業者以外にデリバリを販売する」と書いた場合、
「新分野の探索」という観点では点数を入れるものの、
「デリバリ」の部分には点数を入れない配点としました。

第4問(1)

第4問(1)は、早期にキーワードがばちっと決まってしまったため、
0点キーワードの記録があまり残っていません。

ふぞろい本誌でも言及した内容ですが、

  • マトリックス組織

は、殆どが不合格答案でした。

あまりネタがないので裏話なのですが
第4問(1)と(2)の配点をどうする?というところは、かなり紛糾しました。

15-25の配点としても、20-20の配点としても、決定的なところがなかったのです。

最終的に15-25の配点としたのは、
受験生の採点しやすさ、納得感という面が少なからず含まれています。

個人的には、明確な区切りはなく(1)と(2)で40点ではないかと薄ら思っているのですが、
それをふぞろいの誌面に再現するのはほとんど不可能でした。

第4問(2)

  • 従業員の提案を取り入れる

再現答案の枚数が少なく、ふぞろいでは点数としませんでした。

ただ、キーワードとしての内訳を見ると、
若干、A以上答案の割合が多いキーワードでもありました。

「どのように『権限移譲』『人員配置』をすすめるか」
という設問要求にそぐわないため、
個人的には、少し違うようないう気がして、正直うまく割り切れていない部分です。

「いい提案をした従業員を抜擢する」であればまだ権限移譲と言えますが、
どちらかというと、モラール向上の一施策として挙げた答案がほとんどでした。
それでは、今回の設問文にそぐわない気がするんですが…

皆さんはどう思われますか?

最後に

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

いや待て、普通に終わらせようとしてるんじゃねー

本来火曜日にアップしてるはずの原稿じゃねえか
なんで水曜日になってるんだ??

げ、月曜日まで実務補習やっていまして…

企業様の訪問は午前中に終わる筈だろ?
なんでその日の午後に書かねえんだ?

‥‥‥‥オサケ、オイシカッタデス

白状したな!!

合格者の多くが受ける実務補習では、
5-6人のチームで、実際の企業様を訪問してヒアリングを行い、
約一週間で提言をまとめ、社長へ報告を行います。

社長は貴重な時間や資料を我々のために提供くださいますし、
何より、我々のことを中小企業診断士と見なして、高いレベルでの提言を期待しています。

わずかな時間で提言の方向性をまとめ、本業と並行しながら報告書を執筆し、
社長が満足するレベルの提言を行うのは生半可なことではありません。

ですが、それを乗り越えたチームには、強い絆が生まれます。
今後、中小企業診断士として活動する者同士、
仕事を協働する間柄になることも少なくないと聞きます。

受験生の皆さんも、合格の先には、広い広い中小企業診断士の世界が、
その一歩手前には、苦しいけれど成長につながる実務補習が待っています。
臆せず飛び込んできてください!

明日からは、事例リレーもいよいよ最終盤。
事例Ⅱチームは、まっちからのスタートです。また来てくださいね!

いや、上手くかわしたつもりかもしれないけど、
全然そんなことないから

「この記事が参考になった」と思った方はクリックをお願いします!
SNSでフォローする