実務補習は2次試験の続編だ(2)

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第2回 社長への提案と2次試験

(あらすじ) pirorinoが語る、2次試験と実務補習の関係。 実務補習では短い時間でヒアリングをしなければいけない。

これは2次試験と実務補習と同じ事。 情報があって、それを何かのルールに従って取捨選択し、必要なアウトプットを出す事が求められています。

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私たちチームは15日間にわたる実務補習の1社目で、とある印刷業界の企業を対象に実務補習に従事させていただきました。

印刷業界は巨大なガリバー企業数社に加えて数多の小規模企業が存在しており、企業数が非常に多い業界で分業が進んでいる業界特性もあります。また意外と地産地消だったりもします。

そのような中、印刷機の高性能化や価格低下、自家印刷の増加によって環境変化が進んでおり、従来型の印刷方法の一部工程だけを担っているなどの企業は正念場を迎えています。

従事させていただいた企業は、その中でもワンストップ・短納期のサービスで業績を伸ばしてきたのですが、機器の高度化・高性能化等の環境変化により価格低下が進み、これまでの強みが役に立たなくなるところまで来てしまっています。

そのような企業に何を提案すべきか。

私たちのチームは指導員の先生の指導の下、業界や財務、営業手法などいくつかの観点について議論を重ね、提案すべき事をなんとか絞りだしました。 その提案に当たっては、社長からヒアリングした内容や業界特性などの情報、競合他社(簡単なレベルですが)の情報を元にするわけですが、提案する為には、その企業がどこを目指しているかを明らかにする必要があるわけです。

印刷業界の先行きの不透明さを考えると、まさかイケイケどんどんな提案をするわけにも行きません。

また従業員の人数や資産を考えるととても潤沢なリソースはなく、その中でも社員を路頭に迷わせない、取引先に迷惑をかけられない社長さんの想いを考えると、私たちの知恵を使って、できるだけ長い間会社が繁栄できる為には何をしてあげられるか、と考えました。

結果、チームは「他社のまねが難しい、既存のノウハウが生かせる」「既存顧客を活用できる」「収益性が維持し易い」事業領域に経営資源を集中して生き残りを図ることを目指す姿としました。

といっても、実際は財務状況の見える化、顧客状況や顧客別売上高の把握など、それ以前の取り組みを先に実行する必要があるのでそれを第一として提案をしたのですが、 私たちのチームがこれらの提案に至るまでには、皆の頭には2次試験で学んできた与件への取り組み方が頭にありました。

「環境変化に苦しんでいる企業があり、リソースが限られている。わずかながら希望があるかもしれない生存領域がある」

2次試験の与件文を読むと、事例2を除く、と但し書きがつくかもしれませんが、ほとんどがこんな企業の形だと思います。

試験で問われていることは、特に事例1ではほとんどの場合、過去からの変化や過去の判断現在の状態、そしてこれから企業が進むべき道です。

実務補習でも全く同じことが問われていると、私たちのチームは確信しました。

 

第3回に続きます。

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