みなさん、こんにちは。「こたん」です。
先月より、特別企画として寄稿している、
「開示得点とふぞろい流採点の整合性検証」結果報告。
第二回「②開示得点に比べて、ふぞろい採点の方が高くなる場合って、どのような時?」に続く、
最終回「③開示得点に比べて、ふぞろい採点の方が低くなる場合って、どのような時?」です。
いったいどんな場合にふぞろい流採点の方が低くなるのでしょうか?
限られた標本数をもとに分析したものではありますが、検証結果の報告です。
開示得点に比べて、ふぞろい採点の方が低くなる場合・・・
「解答要素は絞られているが、因果関係をしっかり記載し、わかりやすい日本語の文章になっている」場合です。
下記解答例をご覧ください。
事例Ⅰ(開示得点63点 ふぞろい採点 47点) 第5問
A社の強みを醸成させる教育や研修制度を作るべきである。これまでの製造・販売での強みだけでは対応できないので、サービス業でのA社の強みを醸成させるような教育を行う。また、研修制度を充実させるべきである。
事例Ⅲ(開示得点70点 ふぞろい採点 45点) 第4問
強化すべき点は①納期遵守②リードタイム削減による短納期化③作業改善による生産性向上④省人化である。理由は納期遵守、短納期化で競争優位が確立できれば価格競争にならず、国内生産可能な事、生産性改善、省人化を図る事で、製造コストの安い海外で生産を行う競合と国内生産でも戦う事が出来る為。
解答例は、因果関係をしっかり記載し、わかりやすい日本語の文章になっています。
他方、解答要素は絞られています。
前者(事例Ⅰ第5問)の場合は、人材育成系のみで、外部連携や社内共有といった組織文化の変革に関する解答要素、業績向上やモラール向上といた期待効果についての解答要素は盛り込まれていません。後者(事例Ⅲ第4問)の場合は、生産管理系のみで、鋳造技術向上や技術営業力強化、若手人材の採用育成といった解答要素は盛り込まれていません。
解答キーワードを採点のベースにしているふぞろい採点では、解答要素≒キーワードが少なすぎて、解答例の得点は伸びないことになります。しかし、開示得点では十分な得点が取れています。とすると、本試験採点では、解答要素≒キーワードの多さ、いわゆる多面的記述のみならず、因果関係や文章の読みやすさにも加点があると考えるのが自然です。
この「解答要素は絞られているが、因果関係をしっかり記載し、わかりやすい日本語の文章になっている」が、「③開示得点に比べて、ふぞろい採点の方が低くなる場合」と言えます。
では、「解答要素を絞った上で、因果関係や文章の読みやすさに留意して、本番では解答すべし」となるでしょうか?
本番で、気づいた解答要素をあえて割愛するのは、勇気いる行為です。点数振られた解答要素が何かわからないのですから。
また、因果関係を丁寧に追って記載すること、文章の読みやすさは、一朝一夕に身につくものではありません。多分に作文経験やセンスに拠るところ大です。
とすると、気づいた解答要素はあえて割愛せず、因果関係や日本語のわかりやすさを最大限意識しつつ解答すべし、と言えるでしょう。(難しいですが…)
以上、三回にわたる特別企画「開示得点とふぞろい流採点の整合性検証」、いかがでしたでしょうか?
「ふぞろい採点は十分に信ぴょう性ある採点だ! 分析の詳細は、たまさか明日発売の『ふぞろい9』で!」ということを叫びつつ、筆をおきたいと思います。
それでは、またの特集記事(あるのか?)でお会いしましょう。