診断士の本質とは、いったい何なのか?<後編>~診断士が向き合うのは、社長だけではない~

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こんにちは、ストレート生合格ナビゲーターのとりっちです。

 

前回の記事を書いた後、とある診断士の大先輩の方から、「経営者に対して、課題発見からコンサルティングを行うのは現実的にはかなりハードルが高く難しい」というコメントをいただきました。

 

そこで最後の記事では、なぜ難しいか、ということを出発点に、その難しさのなかで診断士ができることとは何なのか? について、私なりの考えを書きたいと思います。

 

なぜ課題発見からコンサルティングを行うのが難しいのでしょうか。

 

言うまでもなく経営者は、組織を大きく変える裁量と権限を持った人です。

私自身の本業でも、「大きな予算が動いたり全体の改革に関わるような提案をする時は、決裁権限を持つトップへの営業が成否の鍵である」ということを、経験を通して学んできました。

 

一方で、経営者とは誰よりもリスクを抱えた立場でもあります。

自分の判断を間違えたがために、会社を潰してしまうかもしれない。

多額の負債を抱えなくてはならないかもしれない。

社員とその家族を路頭に迷わせてしまうかもしれない…。

自分ひとりで責任を負えば済む世界ではなく、挽回のチャンスがあるのかどうかもわからない。

私の友人にも中小企業の経営者の跡継ぎがいますが、会話の端々からその重圧や孤独の大きさと、言葉に尽くせない責務の重さを感じます。

 

そのような状況におかれた中で、潜在的な課題を発見し、限られたリソースをその解決にあてることは、やはりとても判断が難しく、なかなか決断しづらいことでしょう。

 

そんな経営者を決断に向けて勇気づけるものは、外部の専門家である診断士の助言ばかりではないように私は思っています。

 

現場の成功事例現場の声といったことも、大きな要因ではないでしょうか。

 

2次試験の事例文を読み解いてきた皆様の記憶の中にも、現場の事例や声を通して社長が改革に乗り出す、といったストーリーが残っているかと思います。

 

であればこそ、診断士が向き合うべき相手は、経営者ばかりでなく、「組織で働く全ての人」なのではないかと私は思うのです。

 

私は広告代理店で仕事をしているので、広報部門が主幹の取引先となっていますが、目指していた成果が出たり現場の方の意識が前向きになったことがトップに伝わり、さらに規模の大きなブランディングや改革支援などの相談に発展したことも実際に何度かあります。

 

自身の属する組織の中で、あるいは取引先のある部門に対して、「課題発見」と「解決」の視点から、ひいては経営全体の改革につながるような提案や実践を行っていくこと。

どこにあっても、常に本質を見失わず、目的(ゴール)を明確にし、

今関わっている仕事を通して、何を実現したいのか。

その企業や組織の10年後、20年後はどうあるべきなのか。

それらについて自らの想いを発信していくこと。

 

それは、誰かと想いを共有することであり、共にそこに向かっていける仲間を作ることでもあると思います。

 

主人公が熱い夢を語って、それに共感する人が仲間となって、大きなことを成し遂げようと共に頑張る…なんていうと、少年漫画やゲームの中の話のようではありますが、組織を成長させようとする時や、一人では成しえない大きな仕事を達成していく時は、そんな虚構のようなストーリーが現実化することも、あながち夢ではないように思います。

 

私自身も、提案の際はいつも、おこがましくも「相手の10年先の姿を描く」ことを出発点にしています。

そんな視点から自分の想いを伝えるのは、どれだけマーケティングを行って分析を重ねようと、やっぱり怖いです。

恥ずかしい話ですが、もっと若くて未熟だった頃は、「わかったようなことを言うな」と怒られたこともありますし、目の前で企画書を破かれたこともあります。

これは仕事の話ではないですが、とあるプロジェクトでは一緒に組んだ仲間との間に温度差が生まれることもありました。

(それは相手の目線に立てていなかったことや、伝え方が良いものではなかったことが大きな理由だったと思います)

 

でも、怖くても、相手の目線に立つことを忘れずに、自分の想いをロジカルに誠実に伝えようと努力を続ければ、想いを同じくしてくれる人は必ず出てきます。

 

仕事仲間から、「あなたにお願いしたい」「この企画はあなたと一緒に提案したい」

お客さんから、「信頼しているので全面的にお任せします」「お願いして良かった」

と言われたこともたくさんあって、その嬉しさはどれひとつとして忘れていません。

 

広く深く物事を分析し、課題を見つけ、解決する視点に立って、関わる人に自分の想いを伝える。

私自身は仕事を通してその大切さを学んできましたが、診断士の資格を志してから、その学びを通して、こうした思考と実践のプロセスをより強化することができたと感じています。

今後関わる仕事がなんであれ、その先には「診断士だからできる」ことが広がっているように思います。

 

 

前回の記事で書いたように、診断士の根幹は「課題発見と解決を通して、組織全体をより良い方向に導いていく事のできる人」であると私は思っています。

 

そして今回の記事を書いていて思ったのは、私が私なりに思う診断士像を描いたように、診断士の面白さや可能性とは、それぞれの個性やキャリアが「ふぞろい」なことにあるのかもしれない、ということです。

「ふぞろい」だから、それぞれの視点で「診断士だからできること」を見出せるし、それぞれの領域で違ったことに挑戦できるのではないかと思います。

 

私の記事はこれで最後です。

皆さんが診断士の学びを通して、それぞれの人生をより良くし、それぞれの「診断士だからできる」ことを見出せるよう、心より祈っています。

 

私自身も、自身の思う「診断士だからできること」を考え続け、わずかずつでも形にしていきたいと思います。

これを読んでくださった方の中に、いつかどこかで想いを同じくし、ご一緒できる方がいらっしゃることを願っております。

 

「ふぞろいな診断士」の皆様、それを目指す「ふぞろいな受験生」の皆様。

またどこかでお会いしましょう。

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