「実年受験生のための2次試験対応法」平成27年度試験振り返り(事例2)

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こんにちは、多年度受験ナビゲーター、「実年受験生の味方」リンフ(lingfuです。前回は、「実年受験生のための2次試験対応法」として、今回アドバイスを行ってきた内容の検証・振り返りに関して、ブログでの指摘事項が平成27年度の2次試験問題にどのように対応するものであったかの確認を事例1について行いました。今回は事例2について行いたいと思います。

H27年度の2次試験事例2に関しての最大の特徴は、第1に「事例企業」ではなく、「商店街」への診断・助言であったこと、第2に問題の問われ方、すなわち全問が助言を問う問題であったことではないでしょうか。また、細かい点をあげれば、地図や人口グラフの読み取り等、従来にない形態に、試験場で当惑・動転した方も多かったことと思います。

問題文の概要を読んで全体の方針を立てます。まず、各問題の位置づけを読み取ります。すなわち、第1問(設問1)で与件文と人口分布・地図情報からターゲット顧客層を特定すること、以降の問題で繰り返し助言が求められています。問題ごとに対象とする業態は識別されており、(設問2)でサービス業、(設問3)で既存飲食店、第2問で非食品小売店、第3問で食品小売店、特に第3問(設問2)で商店街として長期的にありたい姿に向けた助言が求められています。このような大まかな切り分けのもと、各設問の制約や聞き方で解答を求められていくことが分かります。全体方針としてどのように対応して行くべきでしょうか?

一番重要なことは、ターゲットの設定を間違えないことです。上記の問題構成から、ターゲットの設定を間違えると以下の設問を芋づる式に失うことは自明であるため、神経を集中して読み取り、設定することが必要です。そして、各設問の助言ではターゲットのニーズに対応する根拠を因果で示すことが重要であり、助言そのものはさほど重要ではありません。言い換えれば、根拠が明示されていない助言は「思いつき」として得点要素から除外されてしまいます。そしてその根拠は与件、もしくは1次知識からロジカルに導きだせるものでなくてはなりません。自分の経験や知識に走らず、極力与件から言えることにしがみついて解答を書くことが求められる試験であったと言えます。

H27事例2

まずターゲットとプロフィールを抽出します。人口分布や地図からはターゲットをセグメント化するデモグラフィック変数が導かれます

・人口分布の変化から増加した層として30~40歳代と10歳までのこどもが抽出されます

・地図からはこの世代は主に工場跡地に建設された高価格の高層マンションに移り住んできたことが分かります

ターゲットとするには絞り過ぎですが、総合スーパーにつられた形ながら遅い営業時間は、共働きで遅い帰宅時間で働く様子が導かれます。

これらのターゲットが持つニーズをサイコロジカル変数として導き出すと、

価格より品質・こだわり重視←比較的裕福←「高価格な高層マンション購入」可能

安全・安心重視←「小さな子供を持つ若い母親」のこだわり

忙しい←共働き←「若年層で高価格マンション購入」

といったコア・ロジックが抽出されます。いかがでしょうか、与件文からの情報が少ないため、抽出されるコア・ロジックも少なく、解答作成にはかなり制約が多く、「助言・助言で何から書いてよいかわからない」、とは逆の感想を持つべき事例であったと言えます。

それでは、各問題で解答に盛り込むべき内容を考察しましょう。

第1問(設問1)
上述したよう、B商店街のありたい姿を実現するために標的(ターゲット)とすべき顧客層をセグメント化する必要があります。顧客層のプロフィールを特定した根拠(最近建築された高層マンションへの流入、30~40歳代の層の増加等)に加え、今後標的とすべきである根拠(今後もマンションの建築による人口増が見込める層であること等)を示す必要があります。また、設問間の一貫性を持たせるために今後の解答の根拠となるプロフィール(価格より本物重視、こだわりを持つ等)を盛り込んでおくと良いでしょう。

第1問(設問2)
「ターゲット顧客層向けに新たに誘致すべきサービス業種」が解答すべき内容です。ただし業種を書くだけでは思いつきと言われても反論できません。そのサービス業種が代表理事すなわち商店街の望む「集客」を可能とすること、すなわち「ターゲットのニーズに訴求する業種である根拠を示すこと」を因果で解答を表現することが必要です。

第1問(設問3)
個々の既存飲食店主に対してのマーケティング戦略の助言です。どのような戦略かというと、(設問2)で解答した誘致するサービス業種店とのテナントミックス効果を最大化するマーケティング戦略です。マーケティング戦略の書き方はいろいろありますが、文字数等を考えると、「誰に」「何を」「どのように」が基本で良いでしょう、「誰」はターゲットです。「何」は提供商品やサービスであり、「どのように」は提供の仕方です。つまりターゲット層顧客のニーズを満たすサービス業者のサービスと相乗的な効果を提供する飲食業の商品とサービス、およびその根拠(小さな子供を持つ母親の安全志向に訴求する、共働きで忙しい中遅い時間にもくつろぎの時間を提供する等)が解答すべき要素になります。

第2問
非食品小売店主達への助言です。どのような助言かというと「物産展当日の売上向上を実現するために助言です、これは販促施策となりましょう。当日の効果を持つにはイベントのようなその場で効果が出る施策が良いでしょう。このイベントが選択した3業種中の業種にてターゲットに訴求効果を持つ根拠(品質・こだわりに訴求する、集客効果に優れる等)を示す必要があります。ここで用いるコア・ロジックは、そもそも物産展は食品分野で低価格訴求するスーパーに対して、増加する商店街の標的顧客である30~40歳台の高額マンションを購入可能な、こだわり・品質重視の顧客層ニーズに応えているというロジックを非食品分野へ横展開することです。

第3問(設問1)
助言内容は、B商店街の魅力向上のため誘致すべき食品小売店の種類と当該食品店のマーケティング戦略です。解答すべき内容は誘致すべき食品小売店の種類と、それがB商店街の魅力向上につながる因果こだわりに訴求する商品等)、誘致店へ助言するマーケティング戦略です。

(設問2)
代表理事が考える、商店街が長期にわたり設問1で解答した食品小売店が商店街へ定着するための誘致と連動して実施すべき新規イベントの内容(ターゲットへの訴求と集客効果を持つ)と期待する効果(顧客と店員間の会話を誘発する等)です。

本ブログとの対応としては、出題者の意図(聞きたいこと)制約 を理解する(出題者の意図(聞きたいこと)制約 を理解する)与件の言葉を使って因果で表現する(実年受験生の実践的解答作成法① 因果の得点3要素+1)等が解答に対応するものであったと考えます。寄って立つコア・ロジックは多くないため、アイデア創出に時間をかけず、因果の妥当性の表現、出題者の各設問毎の意図に対応する根拠を盛り込むことに力をかけることが重要であったと考えます。

 

◆◆ ふぞ8ブログ “実年受験生のための2次試験対応法” by リンフ(lingfu)◆◆

第1章    実年受験生の味方現る

              ・実年受験生の味方現わる! 多年度生合格ナビゲーター、リンフ(lingfu)です

第2章    実年受験生向け 2次試験に求められる思考法

              ・実年受験生の味方現わる! 多年度生合格ナビゲーター、リンフ(lingfu)です

              ・診断士試験は「実年受験生のリハビリ・アカスリ」です

第3章    実年受験生向け 実践的解答作成法

              ・実年受験生の実践的解答作成法① 因果の得点3要素+1

              ・実年受験生の実践的解答作成法② 因果の得点3要素+1(その2)

              ・実年受験生の実践的解答作成法③ 因果の得点3要素+1(その3)

              ・実年受験生の実践的解答作成法③ 因果の得点3要素+1(その4)

第4章 実年受験生向け コア・ロジックとは

              ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅰ)

              ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅱ)

     ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅲ)

第5章 実年受験生向け 解答作成手順

              ・出題者の意図(聞きたいこと)制約 を理解する

              ・出題者の意図への理解をアピールする

第6章 実年受験生向け 試験本番への準備と本番での対応方法

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明日はお待ちかねの「詰め込み女王」アスカ先輩の登場です、乞うご期待!

 

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