実年受験生向け 解答作成手順 ②~④ 出題者の意図への理解をアピールする

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こんにちは、多年度受験ナビゲーター、「実年受験生の味方」リンフ(lingfuです。10月に入り、2次試験日まで3週間となりました。受験生のみなさんは最後の調整に余念がないことと思います。概ね予備校の模擬試験・対策講義等もスケジュールを終えている時期です。これは、もう新しい知識を収集するために時間を使う時期ではなく、今まで蓄積してきた知識やプロセスをいかに試験でいかんなく発揮するか、に時間を使うべきであることを示しています。

本担当ブログも試験前まで今回を含めあと2回となる予定です。前回、秋セミナーにてふぞろいメンバーから提供したテーマメッセージ、「「出題者の意図が分かっていますよ」と採点者に伝わる解答の書き方をすることが、合格のポイントです」に基づき提示した解答作成手順の項目は下記の通りでした。

 

作成手順①    :出題者の意図(聞きたいこと)制約 を理解する

作成手順②    :出題者の意図に応える構文を選択する

作成手順③    :要求文字数に対応し、文字数を配分する

作成手順④    :反映すべき論点を与件に探しに行く・構文に反映する

 

前回は作成手順①についての解説を行いましたので、今回は作成手順②~④についての解説になります。しかしながら、実はこの部分は以前の本ブログ実年受験生の実践的解答作成法① 因果の得点3要素+1で解説を行っていますので、下記添付のリンクから参照してもらえればと思います。そこで今回は、「分かっていますよ」と採点者に伝わる点をさらに踏み込んで、採点者に「アピールする」ことについて解説をしたいと思います。
前回、「2試験実施の意図は、中小企業診断士として、「人・もの・金」に制約のある診断企業が持つ問題の「真因を分析」し、多忙な社長が「納得しすぐにでも着手できる提案」を行える実務能力を問い選抜するものである」、さらに「「診断士として求められる人となり」を見る試験である」としました。

 

 

そこで、上記の「企業診断」を、診断実務手順に沿って説明をします。皆さんが2次試験・口述試験に合格後、実務補習・実務実習を行う中で体験し、身につける実務手順です。大雑把な手順として、

 

①事前にその企業の【概要情報】を収集する

②診断企業を訪問し、経営者【ヒヤリング】を行う

③その他資料と合わせて、その企業の【現状分析】を行う

④現状分析を踏まえ、【課題抽出】を行う

⑤課題を達成するための【提言】を行う

 

となります。すでに色々な解説で言及されていることですが、2次試験問題はこの手順に沿っており、

①【概要情報】、②経営者【ヒヤリング】 →与件

③【現状分析】、④【課題抽出】 →分析問題

④【課題抽出】、⑤【提言】 → 提案問題

となります。④【課題抽出】は問題の作り方で、分析問題・提案問題の双方で聞かれます。

多くの方は、コンサルティングの一番の重要項目として、適切な提案をして企業を正しい方向に導くことと考えていると思います。しかし、実務補修や実務実習を行う中で繰り返し指摘されるのは、③【現状分析】④【課題抽出】の重要性です。課題抽出が十分かつ適切に行われなければ、いくらその上に提言を行っても的はずれで、効果がないばかりでなく混乱をさらに増加させてしまいます。そのためには、問題に関して「なぜ、なぜ、なぜ」と問いかけ、真の原因を追究することが必要です。

 

 

具体例で説明します。事例企業C社において

・従業員の残業が増えている

とあります。「問題は残業が多いこと」では困ります、現象に過ぎないからです。「残業が多く、コスト増になっていること」、これも因果があるだけましですが、表面的な現象に過ぎません。「なぜ?」

・現場の作業が増えて、混乱していること。

さらに「なぜ?」を問います。与件に記述はありませんか?

・原材料を多めに投入している。

「なぜ?」

・営業情報と生産計画の連携が不十分で、勘と経験を頼りに多めの生産計画を立てている。

あるいはこうかも知れません、

・機械故障に事後的に対応しており、ダウンタイムを見込んで多めの材料投入をしている。

等々。この辺が表面的な現象である「残業が多い」の真の原因として挙げられそうで、対応も見えてきます。本ブログシリーズを続けてごらんになっている方は、この因果の流れについて心当たりがあると思います、そう、過去提案してきた「コア・ロジック」を逆に辿っているのです。

営業区と生産区の連携が不十分→在庫情報を生産区が把握せずに独自に生産計画を立案→勘と経験に頼り多めの計画を立案→現場の能力を超える資材の投入→現場の統制範囲を超える仕事量の発生→現場の混乱→在庫による緩衝機能を超える完成品の不足→残業による完成品出荷量の確保

といった流れです。

 

過去問や1次試験問題、中小企業白書を使って「コア・ロジック」の収集を行ってきた皆さんは、違和感なくこの「なぜ・なぜ・なぜ」を手繰っていくことができるはずです。このように【現状分析】を徹底的に行った結果の【課題抽出】を解答に表現することで、事例企業の現状への深い理解と分析力をアピールすることができます。

 

 

そして、今回、さらに真の原因を追究し、アピールするために追加する重要な視点として、

・「ひと」・「組織」の側面から要因を追及する 

ことをあげたいと思います。「人事や組織は事例Ⅰでしょ?」という声が聞こえて来ますね。

いいえ。確かに「事例Ⅰは組織人事の事例」ですが、これはあくまで改善の手段を「組織・人事」の視点から行う、ということです(例えば、「部門を作る」「人事施策を見直す」等です)。しかし、会社におけるさまざまな事象は人間が行うことを基本に成り立っています。従って真の原因を探索していくと、根本的なところに「人の問題」が潜んでいます。解答においてこれを指摘することで、C社の課題抽出の深みが大きく増すことになります。言い換えれば、よりC社の真の課題を抽出していることをアピールできることになります。

 

例えば、上記の事例企業C社において、営業情報と生産計画の連携が不十分で、勘と経験を頼りに多めの生産計画を立てていることを根拠に、営業と生産の情報共有の場を定期的に設けることを提案できます。しかし、さらに踏み込んで「ひと」・「組織」の側面から要因を追及するとこんな問題が見出せるかも知れません、

・このような状態を組織として問題視せず改善活動が行われていない

いかに現場が混乱し、残業が常態化していても、問題と捉えていなければ、改善提案をいくらしようとも、社長が腰を上げることは無いかも知れません。このような改善提案を阻害するような「ひと」・「組織」の側面にまで踏み込んだ現状分析と課題抽出を行うことで、事例問題への理解度をさらにアピールすることができます。

 

 

次に、事例企業の現状分析をアピールする視点として、

・「事例企業ならでは」の視点を記載し、提案が一般論でないことをアピールする

ことが望まれます。具体例で説明します。事例企業A社において成果型報酬制度の導入を提案する場合の記載には、コア・ロジックから導かれる因果関係として、

成果型報酬制度の実施を宣言・周知する→目標管理を上司と部下が整合する→公平・公正な評価制度を行う→成果型報酬制度を実施する→部下の納得度が向上する→モチベ-ションが向上する

が導かれ、解答の骨子とすることでしょう。しかし、このような記載の提案は「一般論」と言わざるを得ません。診断士としてこの実現性にまで踏み込んで現状分析を行っていることをアピールする必要があります。

A社の営業所は数箇所あるとします。目標整合・公正な評価といっても一筋縄では行きません。このような場合に、「営業所間の公平性を考慮し」「営業所間の調整を考慮しつつ」等、A社ならではの視点を一言入れることで提案の現実性が増し、一般論でないことをアピールできます。

 

以上今回は、出題者の意図への理解をアピールするする手順として、

  • 「なぜ、なぜ、なぜ」を繰り返し、事例企業の問題点を追及し、原因の本質への課題抽出を行っていることをアピールする
  • 事例企業のひと・組織の側面からの真の課題を抽出しアピールする
  • 「事例企業ならでは」の視点を記載し、提案が一般論でないことをアピールする

を解説しました。

 

模試の得点がいまひとつ伸びなかった方は、自分の解答プロセスを見直し、上記手順を追加することを是非検討ください。

 

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              ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅱ)

     ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅲ)

第5章 実年受験生向け 解答作成手順

              ・出題者の意図(聞きたいこと)制約 を理解する

               ↓↓イマココ

              ・出題者の意図への理解をアピールする

第6章 実年受験生向け 試験本番への準備と本番での対応方法

(注:今後の内容については変更される場合があります)

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