なぜ解答に多面性と具体性が必要なのか?

同友館
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こんにちは、ストレート生合格ナビゲーターのとりっちです。

 

先日の大阪セミナーにご参加くださった方、ありがとうございました。

セミナー後のアンケートにて、「紹介されていた本をブログでもう一度教えて下さい」というご要望をいただきましたので、本日の記事の最後にご紹介させていただきますね。

 

その「セミナーでご紹介した本」とは、2次試験における1次知識の活用方法について私なりの考え方をお伝えする中でおすすめしたものです。

そこで今回はその話を改めて整理しつつ、もう少し掘り下げてみたいと思います。

 

2次試験における基本の解答プロセスとして、「読む」「考える」「書く」の3つのステップがあります。

また、2次試験においては、「1次知識の応用」が求められます。これは3つのステップ全てに関係してくるものですが、最も意識したいのは「考える」プロセスにおいてではないかと思っています。

3つのプロセスにおいて主に行うことを整理すると、ややざっくりとしてはいますが、だいたい以下のようになるかと思います。

 

読む…「与件文から、つまりどういう状況にあるか(事例企業の課題点と向かうべき方向性は何か?)を整理する」

考える…「設問文で問われていることに対し、与件文と1次知識を対応付ける」

書く…「分かりやすく伝わる表現に配慮しつつ、問われていることに答える」

 

これら3つのステップのうち、今回は「考える」プロセスを取り上げたうえで、1次知識の応用はどのように行うことが望ましいかについて見てみることにします。

セミナーでは「1次知識は『レイヤー』で考える」というお話をしました。

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図にもあるように、1次知識は、「切り口」と「キーワード」という2つのレイヤーに大きく分けられます。

 

「ふぞろい8」をすでにお読みくださった方は、「ふぞろい流採点」の軸はまず「切り口」という大きなカテゴリで区分され、その中に「キーワード」が合格+A答案で多く使用された順にランキングされていることをご確認いただけるかと思います。

 

この「切り口」が解答の多面性、「キーワード」が具体性に相当するものです。

合格+A答案を見ると、いずれもこの多面性と具体性を意識して解答を構築していることがわかります。

では、なぜ解答に多面性と具体性が必要なのでしょうか?

 

コンサルタントの主な仕事は、企業の経営について「診断」することです。

「診断」という言葉から我々が普段イメージするのは、お医者さんではないでしょうか。

まさに中小企業診断士とは、中小企業の抱えている問題点(=何らかの非健康的な症状)に対してそれをもたらしている原因を診察し、最適な処方箋を提供する仕事です。

 

たとえばあなたが急にお腹が痛くなって病院に駆け込んだとします。

そこに2人のお医者さんがいて、それぞれの診察を受けることになりました。

1人目のお医者さんは、簡単な触診をした後、「ストレスからくる胃痛ですね」と診断。

2人目のお医者さんは、まずどのような種類の痛みか、最近どのような生活をしていたか、腹痛のほかに出ている症状はないかについて問診をした後、触診、聴診と測熱を行い、脈を取ったり顔色を見たりした後、「重篤性や緊急性のある症状はありませんね。生活状況から見て、恐らくストレスから来る過敏性腸症候群でしょう」と診断。

 

かなり乱暴な例ですが、どちらのお医者さんの診察が納得できるでしょうか?

 

これが、「多面的に考える」「具体的に述べる」ということの重要性です。

診断内容がどのようなものであれ、診断士として企業を診察する際に最も重要であり難しいのは、「社長を説得すること」です。

社長に、「本当にそうかな?」「他にも理由はあるんじゃないの?」と思われてしまったら、あなたの診断には多面性が、「それって結局どういうことなの?」「じゃあどうすればいいの?」と思われてしまったら、具体性が欠けていることになります。

 

「多面的に考える」ということとセットでよく「漏れなくダブリなく(MECE)」という言葉が使われます。

これは、ものごとを多面的に検討することによって「本当にそうかな?」「他にも理由はあるんじゃないの?」という余地をなくしていき、問題解決方法の納得性と確実性を高めていくということです。

「多面的に検討し納得性と確実性を高め、その上で具体的な要因や解決策を提示する」、これらが揃う事で、初めて社長を説得できる診断と助言ができることになります。

 

こう考えると、以下のような解答構成はやや社長に対する説得力に欠けることがイメージできるのではないでしょうか。

 

①多面性や具体性に欠ける

②とにかく闇雲に切り口やキーワードを詰め込みまくる

 

①の解答の精度が低いことはすでにお伝えした通りですが、

多面性や具体性を意識しすぎた結果、考え得るあらゆる切り口やキーワードを詰め込み過ぎてしまうことも、説得力を失う要因となります。

これは、「お腹が痛い」と病院に来たのに、「人間ドックで全身くまなく調べましょう」と言われているようなものです。

重要なのは、あくまでも与件文で述べられた事例企業の症状に沿って、根拠や因果関係も意識しながら、多面的で具体的な診断・助言を行うことです。

 

まず、問題点は何か?を明確にした上で、原因や解決の方向性を多面的に(漏れなくダブリなく)検討し、具体的な解決策を述べる。

上記のような「社長を説得する」ための構成になっているかどうか、意識して解答を構成するようにしてみましょう。

 

これらを踏まえると、闇雲に1次知識を詰め込むのではなく、「多面性」と「具体性」に基づいて体系化することの重要性、またそれによって初めて、与件文に書かれた根拠や因果関係を踏まえたうえで事例企業の課題に沿った適切な診断や助言に生かせる…ということをイメージできるのではないかと思います。

 

「多面的に考え、具体的に述べる」ロジックを構成するのに参考となるものとして、大阪セミナーにてご紹介したのが以下の書籍です。

 

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則(ダイヤモンド社)
バーバラ・ミント著、グロービス・マネジメント・インスティテュート監修、山﨑 康司訳

 

この本で主に述べられている「ピラミッド構造で物事を考える」という手法は、多面性と具体性を意識して物事を分析し、また文章を構成するうえでのフレームワークとして用いられることが多いものです。

(私もマネジメントスクールに通っていた時、ピラミッド構造で考える手法を学びました)

304ページと非常に分厚いので、あくまでも2次試験対策の副次的なツールだとお考えいただければと思います。

 

明日は多年度生合格ナビゲーターのみほみほの更新日です。

1次試験が終わり、2次試験対策にすぐに切り替えてスタートダッシュ!…と行きたいところなのに、1次試験のハードさに「燃え尽き症候群」になってしまい、なかなかエンジンがかからない…という方はいらっしゃいませんか?

昨年の今ごろ、みほみほがいかにしてその状態から脱したか?を教えてくれますよ。ぜひチェックしてみてくださいね。

 

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