1次試験過去問で磨く「現場対応力」と「中小企業経営への問題意識 」

同友館
doyukan_logo

2年目生&独学生合格ナビゲーターのヨッシーです。
(今までのヨッシーのブログをまとめて読む方はこちらをクリック)

今週末はいよいよ大手予備校の1次公開模試が行われますね。
2年目生は今年の1次試験の受験は任意ですから、2次試験に集中している人も多いとは思いますが、今回のブログでは時節柄もあって1次試験の話題を取り上げることにします。2次専念組の方も、1次試験の問題を通して、中小企業診断士が求められている資質を改めて認識することができると思いますので、お付き合いいただければ幸いです。

これからの時期、1次試験直前対策として過去問の反復演習に取り組む受験生も多いと思います。もちろん、過去問が有用な教材なのは間違いありませんが、単に反復して解答するだけでは実はあまり意味がありません。何度も解くことで、まったく同じ論点がまったく同じように問われた場合には、短時間で確実に解けるようになるかもしれません。でも、実際のところ、同じ論点が繰り返し出題されるときは、前回とは形式が異なっていたり、少し掘り下げて問われたりと、何らかのひねりが加わっているものです。

では、過去問の演習を通して今年の1次試験での得点力を上げるにはどうすればいいのでしょうか? ヨッシーは「現場対応力」という観点で選択肢を検討することと、「中小企業経営への問題意識」という観点で類題を整理したり、関連知識を補充したりすることが有用だと考えています。

具体例として、平成26年度経営法務第1問を見てみましょう。受験予備校の正答率調査ではEランク(正答率20%未満)となっており、一般的には難しすぎるため学習優先度は低いとされる問題です。ヨッシーも前回のブログ で書いた通り、正答率によりプライオリティをつけることには基本的に賛成です。とは言え、せっかくの過去問をまったくの学習対象外としてしまうのも少々もったいない話です。
そこで、この問題を今年の1次試験での得点アップにつなげるヒントをヨッシーなりに探ってみます。

「現場対応力」の観点から

問題文には以下のような記述があります。いわゆるケース問題です。

X株式会社(以下「X社」という。)の発行済株式総数は、30万株であり、そのすべてをAが保有していた。その後、Aは死亡し、B・C・D・Eの4名のみが相続人としてAの財産を相続した。Bは、Aの配偶者である。C及びDは、AとBとの間で出生した子である。Eは、AとAと婚姻関係を有したことがないFとの間で出生した子であり、AはEを
認知している。

経営法務は2日目の1時限目ですが、朝からなかなか刺激的な設定ですね(笑)。

さて、この問題の選択肢(掲載省略)を検討すると、
1)X社株式は相続人の間で共有となるか各人の相続分に応じて分割されるか
2)嫡出子(C及びD)と非嫡出子(E)の相続分は平等か否か
の2つの論点についての理解が求められており、それぞれについて可否判断ができれば正解が選択できることとなります。

1)、2)ともに、中小企業診断士試験で問われる相続の知識としては、やや細かい部分に属し、また、2)については法改正直後ということもあり、テキスト等ではカバーしきれていないため、正解が難しかったものと思われます。

このような問題について「現場対応」により正解にたどり着くためには、ヨッシーは「出題の意図」を推測することが有効だと思っています。

この問題に関して言えば、「金銭債権は相続に際して可分債権として処理されるが、株式についてはどうか? が問われており、わざわざ問うからには金銭債権とは扱いが異なるのだろう」と考えることで、「共有」を選択することができます。

また、「嫡出子と非嫡出子とで相続分が異なるとした場合、どの程度異なるかについてまで含めた理解が問われるため、選択肢の構成も変わってくる可能性がある。今回、相続分が等しいか否かしか問われていないため、(相続分の具体的な相違の程度を問うまでもなく)相続分は等しいのだろう」と考え、「相続分は等しい」を選択することができます。

上記のような考え方は、しょせん後講釈と言われてしまえばそれまでですが、選択肢を検討する際に「どのレベルで」正誤判断をすることが求められているかを意識することで、現場対応力がワンランクアップしますので、過去問演習時には意識してみてください。

「中小企業経営への問題意識」の観点から

なぜ、このような一見すると細かすぎるとも思えるような知識が問われたのかを考えてみると、「相続に関する民法の原則規定は、ときに円滑な事業承継の妨げになる」という問題意識が背景にあるのではないかと思われます。
そうすると、平成24年第12問(経営承継円滑化法による遺留分特例)も同様の観点から出題されたものと考えることができますし、今後についても中小企業庁の「事業承継ハンドブック」で触れられているような論点については注意が必要と言えそうです。

●中小企業事業承継ハンドブック 29問29答 平成23年度税制改正対応版
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/pamphlet/2011/index.htm

平成26年度の2次試験においても、1次試験の知識への理解度が様々な形で問われる出題がされました。今回の「ふぞろいな合格答案 エピソード8」でヨッシーが担当した「第2章第2節 合格への扉を開く3つの鍵」で取り上げている3つの鍵の1番目も、実は「1次試験の知識」です。

また、1次試験・2次試験ともに、問題文や設問文にしっかりと向き合うことで正解に少しでも迫ろうとする「現場対応力」や、過去問を通して身に付けた中小企業診断士としての「中小企業経営への問題意識」が最後に合否を分けることも多いです。「第3章 合格者による、ふぞろいな再現答案―合格者再現答案と80分間のドキュメント」では、平成26年度2次試験合格者6名が、試験当日どのように試験問題と向き合って合格をつかみ取ったのか、そのプロセスが生々しく再現されており、必見です。

発売直後で多くのご注文をいただいており、一部のルートでは入手が困難になっており申し訳ありませんが、1次試験受験組の皆さま、2次試験専念組の皆さま、どちらにもお役に立つ内容になっておりますので、是非お買い求めいただければ幸いです。

ここで一句

過去問は 1次も2次も スルメイカ by ヨッシー

次は多年度生合格ナビゲーター、ポンポロの登場です。多年度生=2次試験3回以上経験者と定義するならば、1次試験は必然的に2回以上突破しているというわけで・・・
明日のブログでは、そんな多年度生ならではのお悩みに答えてくれるようですよ!

「ふぞろいな合格答案8」が絶賛発売中です!
ぜひ、書店で手にとって見てください。


ふぞろい8表紙絶賛発売中!(画像クリックでAmazonに飛びます)


毎年、発売後にすぐに売り切れ店が続出するため部数を増やしておりますが、1次試験後は入手しにくくなることが予想されるので早めにご購入いただければと思います。

ふぞろいでは夏セミナーも開催いたします!

◆ふぞろい8東京夏セミナー

日程:8月16日(日)午後、19日(水)夜

◆ふぞろい8大阪夏セミナー

日程:8月15日(土)午後

↓ポチっと応援クリック(マークをクリック)をお願いします。
合格ナビゲーターの更新の励みになっています(^^)/

「この記事が参考になった」と思った方はクリックをお願いします!
SNSでフォローする