令和2年度 事例Ⅰ 83点と57点の差って何?

同友館
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なんだか気だるい木曜日、いかがお過ごしでしょうか。事例Ⅳチームのだいきです。

 

1次試験が終わって早半月。自己採点の結果、見事2次試験への挑戦権を獲得されたであろう方は

まさに勉強まっさかりの時期かと思います。

初めて2次試験の学習をされる方は、そろそろ得意不得意な事例が見えてきた頃ではないでしょうか。

 

私はというと、事例Ⅰが大の苦手でした。

時制がいったりきたりする与件文の読み取りにくさ、与件文からそのまま拾ってきにくい設問。

一番、勉強時間を費やしたものの、結果は57点で合格ラインギリギリ(アウト)でした。

結局なにが足りなかったのかなーと今更ながら振り返る折、先日のどみーのブログで、

事例Ⅰで83点という素晴らしい高得点答案が紹介されているのをみて、

「よし、答案を比較してみよう」と思い立ちました。

今日は83点と57点の違いを通じて、少しでも合格に近づくポイントを感じていただければと思います。

逆にこれで57点とれるのか、という見方でみていただいてもいいかもしれません。

 

※令和2年度 事例Ⅰの設問と再現答案を掲載しています。与件文を割愛していますので、

 まだ解いたことのない方は、事前に解かれてからご覧になることをおススメします!

第1問(設問1)

A社の経営権を獲得する際に、A社長の祖父は、どのような経営ビジョンを描いていたと考えられるか。(100字以内)

【どみー(83点)再現答案】

ビジョンは①インバウンドブーム、日本の文化や伝統に憧れる顧客を捉え②老舗ブランド力を活かし高め③酒造事業の収益性を改善し既存事業とのシナジーを発揮し⑤地域の活性化に繋げる事である。

【だいき(57点)再現答案】

経営ビジョンは、200年の老舗ブランドの魅力を活かして、インバウンド需要を捉えた新規事業の立ち上げや経営の合理化で売上拡大を図り、雇用維持と地域活性化につなげること、である。

【違い】

どみーの答案にあって私の答案にないもの、それは「既存事業とのシナジー」ですね。

経営戦略を考えるうえで、こんな大事なことを私は見落としていたわけです。うーん反省。

逆に私は「新規事業の立ち上げや経営の合理化」書いています。

が、これは時制がおかしいんです。与件文を読んでいただければわかると思いますが、

この記述があるのは、A社の経営権を獲得した10年後の現在の部分なんですね。

あくまで10年後の結果であって、ビジョンとはちょっと違ったのかもしれません。(推測です)

 

第1問(設問2)

A社長の祖父がA社の買収に当たって、前の経営者と経営顧問契約を結んだり、ベテラン従業員を引き受けたりした理由は何か。(100字以内)

【どみー(83点)再現答案】

理由は①蓄積されたノウハウ、人的ネットワーの獲得即戦力を採用し育成コストを抑制③ベテラン従業員や地域の反発を防止によりスムーズな経営の移行を図ったため。

【だいき(57点)再現答案】

理由は、酒造りにはベテランの社員や前の経営者の知識・ノウハウが必要であり、円滑に事業承継を進めるためには経営顧問契約や社員の引き受けが最適であると判断したためと考えられる。

【違い】

人的ネットワークの獲得即戦力での育成コスト抑制、どちらも組織・人事で必要な視点。

どみーの多面的な解答の素晴らしいこと!

それに比べて私の答案。後半部分はそのまま設問文持ってきているようでなんか薄っぺらいですね。。

 

第2問

A 社では、情報システム化を進めた若い女性社員を評価し責任者とした。ベテラン事務員の仕事を引き継いだ女性社員は、どのような手順を踏んで情報システム化を進めたと考えられるか。(100字以内)

【どみー(83点)再現答案】

手順は①ベテラン女性事務員と2年協働し知識や経験を吸収②複雑な事務作業や取引先との商売を掌握し情報を整理③一元化しDBへ落とし込み④社員で共有し適宜参照できる体制を構築した。

【だいき(57点)再現答案】

酒造りの複雑な事務作業や取引先との商売を掌握しているベテラン女性事務員と2年ほど共に働いて知識や経験を受け継いだ。その後、それらを整理して標準化し、暗黙知を形式知に変え情報システム化を進めた。

【違い】

この設問に関しては、内容よりもどみーの答案の読みやすさ私の答案の読みにくさが目立ちます。

私も読みやすさは意識して文章を途中で区切ったりしたんですが、こうやって比較すると、最初の一文が長いですね。

 

第3問

現在、A 社長の右腕である執行役員は、従来のルートセールスに加えて直販方式を取り入れ売上伸長に貢献してきた。その時、部下の営業担当者に対して、どのような能力を伸ばすことを求めたか。(100字以内)

【どみー(83点)再現答案】

伸ばす能力は①最終消費者顧客への対応力②インターネット上でのニーズ収集、ブランド価値向上施策③企画開発力コミュニケーション能力である。これらを伸ばすことで直販売上の伸長を図った。

【だいき(57点)再現答案】

求めた能力は①既存の方法にとらわれない思考力②顧客と直接接してニーズを把握・収集する力③顧客ニーズに合わせて強みを訴求する提案型の営業力④新規顧客との関係性を構築する力⑤既存ルートとの調整力。

【違い】

どみーの答案には「コミュニケーション能力」がありますが、私の答案にはありません。

直販方式を取り入れることだけを考えると、最終消費者への営業力とかに目が行きがちですが、

最終消費者から得たニーズを社内に展開して商品開発に生かす、という視点で考えると、

社内の人とのコミュニケーション能力、必要だよなぁと思います。まさに組織の話ですね。

そしてこの執行役員は、杜氏や蔵人と新規事業との橋渡し役としての役割を果たしてきたわけですから、

部下に同じ能力を求めても不思議ではないですよね。

 

第4問

将来、祖父の立ち上げた企業グループの総帥となるA 社長が、グループ全体の人事制度を確立していくためには、どのような点に留意すべきか。中小企業診断士として助言せよ。(100字以内)

【どみー(83点)再現答案】

助言は①同族経営、多様な事業展開の為部門毎の公平性ある評価基準の設定②権限委譲を進める③研修等で能力開発に注力④成果連動型報酬の段階的導入により社員の士気向上に留意する。⑤後継者を計画的に育成する。

【だいき(57点)再現答案】

留意点は①グループ統一の評価基準を設定し、公正・公平な評価を実施する事②権限委譲を進める事③グループ間のジョブローテーションで適材適所を進める事④体系的な人材教育、により能力、士気向上と組織活性化。

【違い】

酒、レストラン、土産物のA社、飲食業や旅館業のグループ企業といった様々な事業展開の中で、

公平性のある評価とするには事業ごとの評価基準がいいのかはたまたグループ統一の基準がいいのか

私の中ではまだ答えは出ていませんが、どみーと私の違いのひとつはここでした。

それと成果連動型報酬の段階的導入。表現が上手いですね。

いっきに成果主義にすると反発が起きそうですが、成果主義を取り入れないと若手の動機付けが弱い。

段階的ならいいとこどりが出来そうです。

与件文には、前近代的な人事管理の例として「年功序列型賃金が基本」とあるため、

やっぱりここは変えていくべきところだったのかもしれませんね。

 

まとめ

答案比較、いかがでしたでしょうか。全体を通して、どみーの答案のほうが、

企業経営理論の枠組みを駆使して多面的に答えているように思います。

あくまで私なりの分析でしたが、みなさんもぜひご自身なりに分析してみてください。

様々なノウハウを入手できる今だからこそ、それらを参考にしつつも、

自分で考えて自分なりのベストな解答ノウハウを導き出すことが大切だと思います!

そういった訓練の積み重ねが、本番での対応力につながってくるはずです。

 

明日はさちのブログです。実務補習では影の財務担当と呼ばれる本物の実力者の記事、お楽しみに~!

 

 

 

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