診断士FAQ(実務補習・実務従事+α)

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「頑張りたい!けど、モチベーションが長続きしない……」そんなあなたを応援したいじょーきです!

前回のブログ担当日には2次筆記試験の結果も発表されていなかったのに、そこから結果発表⇒口述試験と一気に過ぎ去っていってしまいました。口述試験を受験された方、お疲れ様でした。

さて今日はこれまでにセミナー等でいただいたご質問の中から、「中小企業診断士」を名乗るために必ず通らなければならない実務補習・実務従事についてお伝えします。(ちなみに私は実務補習5日+実務従事10日を経て登録しました)

よくあるご質問(実務補習・実務従事について+α)

実務補習ってなんですか?

実務補習とは指導員+試験合格者5~6名ほどでチームを組んで、実際の企業を診断し経営改善の提案を行う、というものです。

実務補習は5日間1セットで行われます。私が参加した回を例に取ると、
 初日(金):ヒアリングのポイントを整理⇒訪問先企業でヒアリング
 2日目(土):今後の方向性を協議
 (個人ワーク1週間、間で指導員への中間報告)
 3日目(翌土):個人ワークを持ち寄って協議⇒修正点洗い出し⇒自宅で個人ワーク
 4日目(日):最終確認⇒製本(1冊の冊子にして提案書とする)
 5日目(月):プレゼンの練習⇒訪問先企業へ出向いてプレゼン
といった感じでした。

2日目と3日目の間が1週間ありますが、何をするのですか?

2日目に決めたそれぞれの担当分野ごとのゴールに向かって、データを集めたり、先行事例を探したりしながら、訪問先企業に伝わるようにまとめていきます。私のときは、水曜日に指導員への中間報告が求められ、なかなか手を抜けない仕組みになっていました。

作業時間としては3時間/日くらいでしょうか。慣れた方ならもっと早いでしょうし、丁寧に作り込む方ならもっと長いと思います。

実務補習の5日間コースと15日間コース、どっちがいいですか?

個人的には5日間コースをオススメします(あくまで「個人的には」です)。

15日間コースは相当なハードモードです。私は実務補習5日間を1回経験しただけですが、それでも結構な負荷がありました。それを間隔なく3回繰り返すのだと思うと、想像しただけで胃が痛みます。

どれくらいハードなのかを、令和3年2~3月に行われる15日間コース(大阪)を例に取って考えます。

実施期間は2月5日(金)~3月15日(月)です。土日が休みの会社員という前提で考えると、この期間で12日訪れる土日のうち、9日は集合日となります。もちろん、集合日と集合日の間は個人ワークが待っていますし、1つ目の報告が終わったかと思うのも束の間、すぐに次の訪問企業の予習が始まります。

また、経験者に話を伺うと、「全員が実務補習初参加となるため、軌道に乗るまでがすごく苦しかった」とのことでした。確かに、私が参加した5日間コースでは、メンバー5名中2名が実務補習経験者でした。「初日はこんなことをして、2日目はこの辺まで行ければOKだよ」と色々とアドバイスをしてくれたのが大きな支えだったことは間違いありません。

例年、「5日間コースが埋まっていたから、勢いで空いていた15日間コースにエントリーしてみた!」と軽い気持ちで15日間コースに行ってしまう方もおられるようですが、これだけハードな15日間コースなのでくれぐれもご注意ください。

逆に言うと、これだけのハードルを乗り越えて得られるものもまた、特別大きなものになると思います。3月15日の時点で、実務補習3回分の経験を積んで、所定のポイントを充足できるとなると、同期合格者の中でも最高のスタートダッシュを決められることは間違いないですよね。

「実務従事」とは何をするのですか?

さて、次は実務従事についてです。(ここで言う「実務従事」には登録実務補習機関等が行うような受講費負担があるものを除きます)

実際に何をするかは「ケースバイケース」としか言いようがないと思いますが、基本的には実務補習と同じように、その企業さん(社長さん)の現状やお悩みを聞いて、その企業さんの為に何かをご提案する、お役に立つことをする、ということになります。

「実務従事」のメリットは何ですか?

融通が利く点と、費用がかからない点だと思います。また、実務補習が限られた地域でしか開催されていないことを考えると、それ以外の地域に在住の方にとっては移動や宿泊に要する時間やコスト(更にコロナ禍では感染リスク)を省けることもメリットと言えるでしょう。

実務従事は、実務補習のように決まったプログラムがなく、訪問先企業との調整次第で日程の融通が利きやすいです。上手に調整すれば、本業の業務後の時間や休日を活用することも可能です。また、中小企業等とのつながりや紹介さえあれば、受講費も不要です。

そもそもどういったものが実務従事に当てはまりますか?
実務従事をしたことをどのように証明したらいいですか?

この辺りの内容は、中小企業庁のWebページ「Q&A 申請書、証明書等の作成要領」をご参照願います。これを読んでみると「実務従事」の定義は幅広いように感じられます。

金融機関や大企業勤めの方で、日常的に中小企業等を訪問する機会に恵まれている方は、それを実務従事としてしまってもいいようです。

また、最終的に用意する証明書は、様式18や19を使用するケースが多いように思われますね。

「実務従事」で報酬は発生しますか?
勤務先で副業を禁止されていると、実務従事はできないのですか?

これもケースバイケースだと思いますが、報酬が発生しないケースも多いと思います。勤務先で副業が禁止されている方でも、実務従事を活用したポイント取得が可能だと思います。

「実務従事」の対象となる訪問企業はどのように見つけるのですか?

これも様々ですが、私は知り合いの診断士に紹介してもらいました。他には、「税理士の友人に紹介してもらった」というケースも聞きました。

先にも書いたように、金融機関等に勤めていて、日常的に中小企業等を訪問する機会に恵まれている方は、その企業を実務従事の対象先とすることも可能です。そのように考えると、対象先は実は相当数存在すると言えそうです。

「実務補習」と「実務従事」どちらがいいですか?

時間と資金が許すのであれば、実務補習によるポイント取得をオススメします。

実務従事は、経済的負担がかからず、ある程度自分のペースで進められるというメリットがある一方で、実務補習に通って指導員の指導を受けたり、合格年度が近い診断士の仲間と出会ったりする機会を逸していることにもなります。

実務補習はその逆で、1セット5日間で約5万円という費用を要し、実施時期もかなり限られてしまいます。その反面、指導員や診断士との出会い、そしてそこから得られる気付きがあるわけです。

私は家庭とのバランスやお小遣いとの兼ね合い、早いうちに診断士の登録を完了したいという思いから、実務従事を10ポイント分活用しましたが、本当にそれでよかったのかなという思いもあります。(その気になればこの先も同等の機会はいくらでも得られるわけですが)

(おまけ)中小企業診断士の資格は転職で有利に働きますか?

私は4~7月にかけて転職活動をして、無事10月1日付で新たな職場への転職を果たしました。

この前、前職の同僚から「診断士の資格があると書類審査の合格率上がりそう」と言われました。実際私も、転職活動を開始した当初は、「エントリーしたら、面接で話くらいは聞いてくれるのではないだろうか」などという甘い考えを持っていました。

が、しかし、書類審査の通過率が高いということは決してありませんでした。

むしろ「中小企業診断士を自ら取得されるようなキャリアを描く方は、当社の風土には合わない」と(いう感じのことを婉曲的に)言われた企業すらあったくらいです。(実際はただの「体のいいお断り」だったのだとは思いますが)

ただ、今の勤務先の面接においては、
 ・これまでの自分のキャリア
 ・「なぜ診断士を取ろうと思ったのか」「今後どのように活用していくか」というストーリー
 ・企業側が求めている人材
これらがうまくはまったような感じがあり、実際にとんとん拍子で内定までたどり着きました。

やはり資格そのものに価値があるわけではなく、「ご自身のキャリアや能力やこれからのビジョンを補完するもの」という理解がしっくりくるように思います。

まとめ

診断士登録に必要な15ポイントの取得方法は、実務補習5日間コース×3が基本路線だと思います。3回とも(基本的には)別メンバーとの貴重なつながりを得られ、間隔を空けることで負荷を分散できます。但し、限られた参加枠ゆえに激戦が必至なのでそこは覚悟しておきましょう。

「いや、それじゃあ物足りない、一気に攻め切りたい」という方は迷わず実務補習15日間コースをお選びください。相当なハードモード(お財布から一気に163,600円がなくなるのもちょっとしたハードモード)ですが、得られるものも格別に大きいと思います。

時期的に実務補習への参加が難しい、経済面で躊躇してしまう、という方は実務従事を組み合わせることも一案です。但し、貴重な実務補習の機会(=指導員や他のメンバーとのつながり、教えを乞う機会)を逸する点は要注意ですよ。

最終的には使える時間・体力・資金、これらと相談しながら楽しくポイントの取得に励んでくださいね!

明日のマリの登場です。明日もお楽しみにー!

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