長期的に挫けないモチベーションの作り方(独学者のために・その1)

同友館
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こんにちは。大人の学び直し実践家のYumaです。

1.本記事の目的

さて、本記事は「学習動機の二要因」モデルを紹介することを通じて、中小企業診断士試験を勉強する学習者に長期的な観点でのモチベーション向上策のヒントを提供します。

とりわけ、独学での合格を目標とする学習者の方に、今後半年間強の学習期間においてどのように自分自身を動機付けるか、その戦略策定の参考になることを企図しています。

※なお、以下口調がだである調となりますがその不統一はご容赦を。

2.「学習動機の二要因モデル」とは

半年強の学習期間を通じて変わらず勉強計画を進捗させるにあたっては、モチベーションの維持・向上を考慮する必要がある。モチベーションの向上については、「企業経営理論」にも登場するトピックであるように経営学において理論化とその適用が進んできたが、同様に心理学や教育学においても調査研究が行われてきた。本記事ではその中で、市川伸一『学ぶ意欲の心理学』(PHP新書、2001)に示された「学習動機の二要因モデル」を紹介したい。

このモデルは学習者の学習動機を「学習の功利性」と「学習内容の重要性」の2軸でプロットしたものである。前者は学習をすると得をする・しないと損すると捉えるか、そうした賞罰を意識しないものと捉えるかの軸であり、後者は学習内容自体をこの内容だから勉強したいと感じられるか、この内容でなくともよいという認識かの軸である。プロットされる学習動機は「充実志向」「訓練志向」「実用志向」「関係志向」「自尊志向」「報酬志向」の6つであり、以下のような内容である:

  • 充実志向:学習すること自体が楽しい
  • 訓練志向:知力を鍛えるために学ぶ
  • 実用志向:仕事や生活に生かしたい
  • 関係志向:他者につられて学ぶ
  • 自尊志向:プライドや競争心で学ぶ
  • 報酬志向:報酬を得る手段として

上記をベースに中小企業診断士の学習者を概観すれば、「実用志向」や「充実志向」から受験を志すものが多く、次いで「報酬志向」といったところだろうか。現在の業務遂行のなかで関連分野の知識や経営層の視座が必要となった者は「実用志向」に当てはまるだろうし、その勉強で現在の業務の文脈や位置づけが明確となることが多く勉強が楽しい、というのは私自身であったが、これは「充実志向」だろう。副業・複業解禁の潮流のなかで収入手段を複合的に確保したい「報酬志向」の学習者も今後増えるだろう。一方、「関係志向」「自尊志向」は、特に独学での合格を目指すものには低いと想定される。

同書ではそれぞれの学習動機に応じたモチベーション向上のヒントなどを紹介しており、興味がある方は一読されたい。また、上記モデルは画像検索すると同書に記載の図、また各分野に適用された図が確認でき、理解が進むと思われる。

3.複合的な学習動機へ

さて、上記モデルにおいて自身の学習動機のタイプを把握した上で、「自分は実用志向でこの資格を目指すものであり、勉強仲間を作るなんてムダ」、などと考えてよいものだろうかというのが、本記事の問題提起となる。

上記モデルの含意として市川は以下のように述べている:

「いろいろな動機に支えられていることが持続の秘訣」「多重に支えられた動機ということを考えたほうがいい」(p.211)

一つだけの動機付けに支えられた学習者は複数の動機付けを持つ学習と比べ心が折れやすい、というのは理解しやすい。仮に充実志向だという自己認識だったとしても、他の学習動機にも該当しないか検討する価値はあるのではないか。たとえば「充実志向」と「訓練志向」のように隣接する学習動機を組み合わせるのは容易だろう。また、充実志向派、実用志向派の学習者にとっては「関係志向」「自尊志向」はなんとなく低級なモチベーションに感じられるかもしれない。実際それだけでは長期の学習をサポートするモチベーションにはならないだろうが、その他の学習動機と組み合わせることで強力なサポーターとなる。

ふぞろいメンバーの体験談からも、勉強仲間と毎日のように激しくディスカッションしたホリホリ、ファミレスで勉強を続けたはるかとマリ等、横断した学習動機を持つ学習スタイルの強靭さが感じられるところである。複合的な学習動機を保持することが長期的な観点でモチベーションを維持・向上する秘策ではないだろうか。

4.アクションリスト

本記事を読んで以下のような項目を検討しても良いかもしれない:

  • 自身の学習動機を把握した上で、興味関心の中にその他の学習動機がないか検討してみる。
  • 「関係志向」に基づく学習環境が構築できないか検討してみる。受験生支援団体のセミナーにふらっと参加してみる(=私の例)、同じく受験生支援団体のブログを毎朝読む、など

5.参考文献


次回は、より短期的なスパンで動機付けを考慮する際に参考になる概念として、「インプット仮説」や「ゲーミフィケーション」を紹介しようと考えています。

明日はお茶目なダンディ・ジェントルマン、こーしの登場です。

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