【中小企業白書案内③】白書で学ぶ「ブランド」

同友館
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事例Ⅱ・企画チームの「しの」です。

本日は中小企業白書第2章「企業の成長を促す経営力と組織」の中から無形資産の「ブランド」について学んでいきたいと思います。この記事では、まず初めに①中小企業白書に登場する用語の復習を行ったうえで、②中小企業白書で記載されているポイントを押さえ、③最後に事例企業を紹介したいと思います。

2次試験では度々「ブランド」に関して問われることがあるため、この記事を通して理解を深めていただければ幸いです!!


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ふぞろい16メンバーのブログは2月20日スタート!

どうぞお楽しみに!

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1.用語の復習

まずは中小企業白書に登場する用語について、復習したいと思います。

用語概要
ブランド顧客に認識される、企業や商品・サービスなどのイメージの総体
ブランドコンセプトブランドのコアになる価値を言語化したもの
デザイン経営デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営
デザイン経営におけるデザインブランド構築に資するデザインとイノベーションに資するデザインの二つがあり、前者は企業が大切にしている価値や意志を表現する営み、後者は顧客の潜在ニーズを基に事業を構想する営み
ブランドプロミス顧客に約束する価値

ブランドコンセプト以外の概要については中小企業白書からそのまま引用しています。ブランドコンセプトの定義は記載がなかったため、教材やネット情報等を参照したうえで定義付けしてます。

この他にも、平成28年度事例Ⅱ(しょうゆメーカー)では「インターネット販売を軌道に乗せるためのブランド戦略」について問われるなど、1次試験の知識がダイレクトに問われる可能性があるため、ブランド採用戦略やフィリップコトラーの4つのブランド戦略等、自信がない点については復習しておくと良いと思います。

2.中小企業白書における重要ポイント

次に中小企業白書で記載されている重要ポイントをピックアップします。要点を絞って紹介しているため、より詳しく復習したい方は中小企業白書のP70~93をご参照ください。

<要点のみ!中小企業白書で学ぶブランド構築!!>

項目概要
ブランドの構築・維持のための取組(以下、取組)の有無取り組んでいると答えた企業は36.8%(全体の3分の1程度)
取引属性別に見た取組の有無BtoCが一番多く52.5%、BtoBは34.0%(BtoBでも取り組んでいる企業が一定数存在)
取組の有無別に見た売上総利益率の水準取り組んでいる24%、取り組んでいないは22.8%(取り組んでいる方が上回っている)
取組の有無別に見たブランドの取引価格への寄与差が顕著にでており、取り組んでいる方が多い(大いに寄与が10.9%、ある程度寄与が45.0%)
取組内容「顧客や社会へのブランドメッセージの発信」、「自社ブランドの立ち位置の把握」「ブランドコンセプトの明確化」等
取組に活用している要素「企業のロゴマーク」、「商品・サービスなどの固有名称」等
デザイン経営認知度は低い、実践している企業は経営者がデザイン責任者を担うケースが多く、実践することでブランド力向上、魅力ある商品・サービス・事業の創出という効果につながっており、結果的に取引価格の維持・向上に寄与

当然数字を覚える必要はないですが、上記のポイントを押さえるだけでも十分効果はあると思います!

また、上記の内容をざっくり要約すると、以下の通りだと思います。

「ブランド構築・維持」→「魅力ある商品・サービス等の創出」→「差別化」→「取引価格上昇」→「粗利率上昇」

上記の内容は2次試験でよく見る王道ケースだと思います。このように、中小企業白書を読む際は、2次試験の与件文や設問文とのつながりを意識して読むことで、自分の知識や引き出しを増やすことができると思います!!

また、今回中小企業白書を読んで改めて気付いたことは、「デザイン経営に取り組むことにより、ブランド力の向上が図られるだけでなく、新たな商品などの創出によるイノベーションや従業員の意欲向上といったインターナル・ブランディングにもつながっている」ということでした。

そして、その具体的な内容が事例企業でわかりやすく紹介されているため、次にその事例企業を取り上げます。

3.事例企業の紹介

紹介する企業は北海道北見市の環境大善株式会社さんです。白書の抜粋はこちらです。

デザインの知識を持った人材が全くいなかった企業において、外部のアートディレクターとの出会いを契機にデザイン経営に取り組み、自社のブランド力向上につなげてます。

概要は以下のとおりです。

①事業承継にあたり、ターゲット層の若返りが必要と考え、自社のリブランディングの必要性を感じる(様々なデザイナーと相談し、最終的にアートディレクターを選定)

②自社の存在意義を見つめ直し、新たなブランドコンセプトを社内外へ浸透(徹底的に自社分析を行い、新たな経営理念を掲げ、従業員向けの冊子を作り、社内に経営理念・存在意義・行動指針を共有)

③一貫したブランドコンセプトの下で、新たな顧客ターゲットとして見据える若年層への親しみやすさに配慮しながら商品のパッケージをデザインし、業績の向上につなげる。

ちなみに今回の事例では「既存の資源(ブランド力)」を活用し、新たな顧客層を獲得していますが、リブランディングには、「全く新しいブランドを立ち上げるケースと比較してコスト・時間がかからず効果を得られる」というメリットがあります。中小企業白書のテーマは「自己変革力」であり、既存の資源(ブランド力)を変革させるという点も非常に重要なポイントと思われます!

事例企業の紹介A4一枚程度の分量ですが、「事業承継を機に自社の存在意義を見直し、リブランディング」、「外部資源の活用」、「ターゲットの明確化」、「広告・オンライン配信による社外への自社ブランドの浸透」、「社内教育やシンボルマークの活用によるインターナルブランディング」、「企業活動・ブランドコンセプトの発信により自社への愛着心の向上」等々、事例Ⅰや事例Ⅱに関連するキーワードが多く含まれてます。

繰り返しになりますが、2次試験であればどのように問われる可能性があるか、自分ならどのように答えるかという点を意識しながら読みつつ、その答えがスラスラ出てくるよう、知識や自分の引き出しを増やしてほしいです!!

いかがでしたでしょうか。

私自身、2次試験の対策として中小企業白書を読む余裕はありませんでした。直前期であり、時間の確保がとても難しい時期だと思うので、このタイミングで「ぜひ、中小企業白書を読んでください!」とは言えません。

ただし、「中小企業白書が読み物として好き」、または「この記事を読んでより詳細について知りたい」という方は止めませんので時間の許す範囲で中小企業白書をチェックしてみてください。笑

この記事が少しでもみなさんの参考になれば幸いです!

次回はまさひろが中小企業白書を用いて「人的資源」について紹介してくれます!お楽しみに!

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