出題の趣旨から読み解く診断士に求められる能力

同友館
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皆さんこんにちは、たまちゃんの紹介にあった1次試験で時計を忘れて家に取りに帰ったイノシです。

試験会場が家から歩いて7~8分の距離でしたが、汗だくで試験を受けるのが嫌だったので、タクシーを使って取りに戻りました。

死ぬほど焦って試験会場を往復しましたが意外と余裕をもって再度試験会場入りできたのはいい思い出です。

 

中小企業診断士試験の2次試験は模範解答が発表されない試験ですがどのように勉強されているでしょうか?

当然、ふぞろいシリーズを使って勉強されている(おこがましいですかね)かと思いますが、一方でふぞろい以外にも何かいい指針が無いか?と探求心の強い方もいらっしゃられると思います。

本日はそんな方に向けて、中小企業診断協会から発表される出題の趣旨から、2次試験において「一体どんな能力が求められているのか?」について分析してみたので、是非読んでいただければと思います。

出題の趣旨とは

出題の趣旨とは、二次試験合格発表のタイミングで同時に発表されるもので、「各設問で一体何が問われていたのか」を説明するものです。

中小企業診断士試験の2次試験は模範解答が無い試験ですが、国家試験ですので一定の合格基準は存在していると考えられます。その合格基準を少しでも感じ取るために出題の趣旨を把握しておくことは、合格を勝ち取るためには言わば必須であると考えられます。

 

平成28年

平成29年

平成30年

令和元年

令和2年

B 社のこれまでの製品戦略について、マーケティングの基本的視点から分析する能力を問う問題である。

B 社の強みと、競合する大型スーパーや百貨店の現状を分析する能力を問う問題である。

B 社の顧客の状況、自社の強み・弱みと競合の状況について分析する能力を問う問題である。

B 社内外の経営環境を分析する能力を問う問題である。

B 社内外の経営環境を分析する能力を問う問題である。

しょうゆ市場全体を取り巻く環境変化から製品ラインアップに関する適切な製品戦略と顧客ターゲットを提案する能力を問う問題である。

データベースに登録された購買履歴や住所などを活用しながら新たな予約会を成功させる施策について、助言する能力を問う問題である。

現在の B 社に関するインターネット掲載情報の問題点を踏まえ、B 社の新規宿泊客を増加させるために必要な新たな掲載情報を提案する能力を問う問題である。

B社顧客個々の状況に合わせたコミュニケーション方法を提言する能力を問う問題である。

B 社の現状を踏まえて、既存製品の新たな販売先を提言する能力を問う問題である。

B 社製品の顧客となるべき消費者層に製品価値を訴求するプロモーション戦略と販売戦略を提案する能力を問う問題である。

地域内の需要の変化を踏まえて、中小建築業と連携しながらターゲット層の顧客生涯価値を高める施策について、助言する能力を問う問題である。

B 社の宿泊客の好意的なクチコミを引き出すために従業員が行うサービス施策について、 助言する能力を問う問題である。

B 社の状況や目的に応じて、協業相手やターゲットを提言する能力を問う問題である。

B 社の新規事業について、既存事業との関係性を分析する能力を問う問題である。

メーカーである B 社が川下(飲食店経営)に参入することにより、製品開発や営業施策の点でどのような可能性があるかについて、分析力・課題解決力を問う問題である。

地域内の人口構成を踏まえて、新たなターゲット層を設定し、ターゲット層のニーズに応じた施策について、助言する能力を問う問題である。

X 市の状況を踏まえて、X 市と連携しながら B 社への宿泊需要を高める施策について、助言する能力を問う問題である。

B 社の強みを活かし、新規顧客との長期的関係性を築く施策を提言する能力を問う問題である。

B 社の新規事業について、顧客志向の価値創造を可能にする施策を提言する能力を問う問題である。

B 社が、直接、最終消費者に対するインターネット販売に乗り出すために必要な施策について、ブランド戦略の観点から問題解決力を問う問題である。

 

 

 

B 社の強みを生かし、新規事業で獲得した顧客のロイヤルティを高める施策を提言する能力を問う問題である。

顧客のリピーター化促進のためには、インターネット上でどのようなマーケティング・ コミュニケーション施策が必要かについて、提案力を問う問題である。

 

 

 

 

分析してみよう

これだとちょっと見づらいので、私なりにエクストリームに端折ってみました。こちらで傾向を分析してこうと思います。

平成28年

平成29年

平成30年

令和元年

令和2年

製品戦略を分析する能力

強みと現状を分析する能力を問う問題である。

顧客の状況、自社の強み・弱み、競合の状況について分析する能力

社内外の経営環境分析能力

社内外の経営環境分析能力

製品戦略と顧客ターゲットを提案する能力

新たな予約会を成功させるため施策助言能力

新規客増加のために、新たな掲載情報を提案する能力

コミュニケーション方法を提言する能力

既存製品の新たな販売先を提言する能力

プロモーション戦略と販売戦略を提案する能力

顧客生涯価値を高めるため施策助言能力

好意的なクチコミを引き出すため施策助言能力

協業相手やターゲットを提言する能力

新規事業について、既存事業との関係性を分析する能力

製品開発や営業施策の可能性についての分析力・課題解決力

新ターゲット層設定し、ターゲット層のニーズに応じた施策を助言する能力

需要を高める施策の助言能力

新規顧客との長期的関係性を築く施策を提言する能力

顧客志向の価値創造を可能にする施策を提言する能力

ブランド戦略の観点から問題解決力を問う

 

 

 

顧客のロイヤルティを高める施策を提言する能力

リピーター化促進のため施策提案力

 

 

 

 

第一問の傾向

4年連続で外部環境と内部環境の分析能力を問う問題ですね。今年もこのまま続けばいいですが、平成28年では製品戦略の分析能力を問われたりしていますので、警戒しておいてもいいかもしれません。

 

施策の提言/助言/提案力

事例Ⅱは施策を問われることが多いですが、具体的に出題の趣旨に「施策の○○能力」と書かれているのは、年平均2問程度(上記表の太字参照)であることがわかります。

ここ2年は施策問題に変わって「協業相手やターゲットを提言する能力」「既存製品の新たな販売先を提言する能力」等、販売先を提言する能力を問う問題が増えてきているので、この問題にどのようにアプローチしていくかが課題になるかもしれません。

目的

表に赤字で示していますが、施策を行う目的について見てみましょう。

新規顧客増加系

・新たな予約会を成功させるため

・新規客増加のために

・需要を高める

・好意的なクチコミを引き出すため

 
関係性強化系

・リピーター化促進のため

・顧客生涯価値を高めるため

・新規顧客との長期的関係性を築く

・顧客のロイヤルティを高める

・好意的なクチコミを引き出すため

 
ニーズ対応系

・ターゲット層ニーズに応じた

・顧客志向の価値創造を可能にする

 

このように見てみると、関係性強化系が多く、新規顧客増加系が目的になる傾向にあることがわかります。

中小企業経営をするにあたっては、既存顧客との関係を強くすることが一番大事で、次に新しい顧客が大事ということが見て取れますね。

単にニーズ対応するだけの問題は、思ったより少ないなといった印象でした。ニーズ対応してその先に何を目指すのかが大事なのであまり多くないのかなとも思えますね(個人の感想です)。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。こんな風に事例Ⅱだけではなく、他の事例も見てみることで、色々と傾向と対策が見えてくるかもしれません。出題の趣旨、中々無視されがちですが、一度見てみるのもいいかもしれませんね。

さて、明日は、海の近くに別荘を構えたいと夢見る男、ひろまてぃの登場です。

明日も見てくださいね!

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