合格前に読みたかった本

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お越しいただきありがとうございます。みずのです。

本日は、いよいよ口述試験の合格発表ですね。
「ほぼ全員が合格する!」と言われても、一抹の不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなもやもやも今日までです。
(私は、合格発表後も実感が湧かず、しばらくふわふわしていましたが……)

合格発表と同時に実務補習得点開示請求の受付が始まります。

実務補習の受付は、毎年あっという間に定員に達しており、今年は合格者数が多いため例年以上の激戦が予想されます。
実務補習について、じょーきが詳しく書いてくれていますので、よろしければご覧ください。

私は実務補習(5p)と実務従事(10pt)で登録しました。

  • 一度は実務補習を受けておきたい(いきなり実務なんて無理)。
  • 登録を急いでいない。
  • 15日コースに耐えられる自信がない。
  • どのような組み合わせで登録するかは、一度実務補習を受けてから考えよう。

このような気持ちで5日コースの実務補習を受け、実務従事と組み合わせることにしました。
環境変化に伴って登録を早めたいと思ったことや実務従事の機会に恵まれたことなどが理由です。

実務補習に不満があったわけではなく、ベテランの先生に指導していただいたこと、先生やチームの方々との面識ができたこと、診断士関連の情報など、得るものが多かったので一度は受けてみて良かったと思っています。

さて、本日は、合格前に読みたかった本を紹介します。

合格前に読みたかった本

中小企業診断士 実務補習テキスト

実務補習に申し込むと、テキストがついてきます。
第一印象は「2次試験の復習であり、答え合わせ+α」でした。

この本について詳しく書く前に、実務補習と診断士試験の関連性について簡単に整理します。
実務補習を受け、私は以下のように感じました。

実務補習 診断士試験
調査(ヒアリングや企業情報・業界情報の調査) 2次筆記試験(与件)

分析・方向性の決定
診断報告書の作成

2次筆記試験(解答)
報告会 2次口述試験

テキストでも、分析・方向性の決定~報告会までの内容は2次試験と概ね共通しています。
SWOTやPPMなどのフレームワークが載っており、一部では、それらを使う目的や留意点まで書かれています。親切ですね。

また、基本的な考え方として

  • 中小企業は経営資源が限られていること。
  • 選択と集中が大切であること。
  • 診断先企業に合わせて実現可能な提案をすること。
  • 報告書のシナリオが説得性を持つためには論理的な一貫性が必要であること。
  • 経営者の意向を尊重し、経営者の夢の実現に向けた提言とすることが大切であること。

なども書かれています。

2次試験対策として、よく聞く話ばかりです。
しかし、他の情報源と大きく異なる点は信頼性だと思います。

このテキストは中小企業診断協会が出しており、試験と実務の中継点に位置するので、診断士試験と矛盾することは書かれていないはずです。
2次試験では正解が公表されていないため情報が錯綜していますが、上記のお話は2次試験にも当てはまると考えて良いのではないでしょうか。

他には、論理的思考について、演繹法と帰納法、仮説と検証、MECE、ロジックツリーなども紹介されています。

お恥ずかしながら、これらの中には診断士試験の勉強を始めてから知ったものもありました。
今では、これらを学んだことも合格につながったと考えています。
2次試験に短時間で合格する方の中には、このような素地が既に出来上がっていた方もいるのだと思います。

2次試験の参考になるだけでなく、合格後のイメージも湧くので「合格前に読みたかった」と思ったのですが、入手できるのが合格後というのはもどかしいですね。

※ 試験内容を網羅しているわけではないので、アンゾフの成長ベクトルは載っていません

毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術

次にご紹介するのは「毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術」です。

中小企業診断士の活動には、思いの外、書く仕事もあります。

もっとも多くの方が経験するのは実務補習の報告書作成ではないでしょうか。

他には、本や雑誌記事などの執筆をすることもあります。
私自身も、ありがたいことに「ふぞろいな合格答案」をはじめ、いくつか執筆のお仕事をいただきました。

そうしたお仕事をいただいておきながら、このようなことを書くのは心苦しいのですが、商業出版であることを意識した途端、書く内容や納期だけでなく、日本語に不安を覚えたのも事実です。

日常生活で当然のように日本語を使っていますし、診断士試験でも筆記試験を通過しましたが「つい、やってしまいがちな間違い」を自分は一切しないと断言できる自信はありませんでした。
ビジネスで文書を作成したり、メールを送ったりすることもありますが、商業出版のプレッシャーは一線を画すものがあります。

そこで読んだのが、この本でした。
「ら抜き言葉」や「さ入り言葉」、よくある誤用、間違えやすいポイントなどが紹介されています。
(もっと詳しく知りたい場合は「これは便利! 正しい文書がすぐ書ける本」という本もあります)

しかしながら、合格後は慌ただしく、ましてや執筆が始まると読んでいる余裕はないのですね。
読んだからといって、一朝一夕で身につくものでもありません。
次に紹介する本にも言えることですが、もっと早く読んでおけば良かったと反省しています。

校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術

次は「校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術」を紹介します。
(ふぞろいな合格答案13のメンバーに苦笑いされそうですが……)

「書く仕事」で意外と壁になるのが、誤字脱字、表記ゆれです。
これらをゼロにするのは非常に難しいんです。

そこで「誤字脱字や表記ゆれを減らすには、チェックする側のプロ(校閲記者)の視点を知れば良いのでは」と思って、この本を読んでみたところ、誤字脱字を減らす以外にも得るものがありました。

実務補習や共同執筆では、他の方が執筆したものをチェック(以下、校正。厳密な定義と異なる場合もあるのですが「校正」と呼ばれることが多かったのでこう表記します)することがあるのですね。

校正は、いわば他人の粗探しです。

「中点(・)が入っていない」「ここは、全角→半角」果ては「事例ⅠのⅠが英字のIになっている」なんてことを続けていると、窓枠を指でなぞって埃を見つけるようなことをしているのでは……という気持ちになることもあります。
そうかといって、見逃した場合は誤字脱字が世に出てしまうので、それはそれで後悔するのですね。
見つけても見つけなくてもあまり良い気分にならない複雑な仕事です。
(本職で担当されている方は心から尊敬します)

そのようなもどかしい気持ちが和らいだので、読んで良かったと思っています。

他にも、興味深い内容がありました。

  • 馬・鳥
  • 文・父
  • 江・口

これらの共通点は分かりますでしょうか。

形が似ているそうです……「いや、江と口なんて全然似てない!」と思われるかもしれません。
最初、私もそう思いました。でも、手書きだとどうでしょうか。

手書きの原稿が主流だった時代に「達筆すぎないように」というお約束があったそうです。
個人的な話になりますが、達筆すぎた元上司を思い出して非常に合点がいきました。
つづけ字・くずし字のおかげで誤読・混同のオンパレード……江と口を間違えても頷けます。

「達筆すぎないように」というお話に興味を抱いたのは元上司を思い出したからではありません。
「2次筆記試験で文字のきれいさは採点基準に含まれるかどうか」という話題を思い出したからです。

「文字のきれいさ」が採点基準に含まれているかは分かりません。
しかし、達筆すぎる場合、読み手(採点者)に伝わらず、思わぬところで足を引っ張る可能性はあるのではないかな……と感じました。

合格後も勉強は続き、すべてつながっていると感じる今日この頃です。

余談:執筆に興味がある方へ

今回、紹介した本のうち、最後の2冊を紹介するかは少々悩みました。
ふぞろいな合格答案を執筆し、今もこうして文章を公開していますので「日本語に自信のないやつが執筆したんかい」「全然身になってないやんけ」と突っ込まれる可能性もあるわけです。

それでも紹介したのは、出版社の方々はA4の企画提案書1枚であっても、誤字脱字など体裁を厳しい目で見ていると感じることが何度かあったからでした。
「仕事がもらえるか否かが懸かっている文書で誤字脱字の多い人に執筆を任せられるか」を考えれば納得できます。
逆に、1枚の文書から良い部分も見つけていらっしゃると感じる場面もありました。その眼力は想像を絶するものがありますね。

執筆に興味がある方は、このような厳しさに直面することがあるかもしれません。
そのような場合の参考になればという思いもあり、今回の本を紹介しました。

ちなみに、診断士活動では執筆の機会が結構あるのですが、最初はどなたか(たかしが紹介していた取材の学校や先輩診断士など)の紹介でいただくことが多いと思います。
出版社の方々の厳しい目を思うと、紹介によって機会をいただけるのは、紹介してくださった方が信頼されているからであり、ありがたい限りです。

明日はとうへいです。

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