本日もお読みいただき、ありがとうございます。
牛の歩みも千里、みずのです。
先日開催された夏セミナーの質問相談会で皆さまのお話を聞いていると、悩むポイントは人によって異なるのだと改めて思いました。
それぞれの方が問題点とそれにあった対応策を見つけられて、12月に明るい笑顔を見られたら嬉しいなと思っている今日この頃です。
さてさて、本日は次回とセットで「設問と与件の紐づけ」をテーマにお送りします。
あくまで「設問と与件の紐づけ」を詳しく書くだけですので、その他の解答プロセスは、まっつやテリーの記事などを参考にしていただければと思います。
目次
セミナーでわりと多かった相談の1つが「設問と与件の紐づけ」に関する悩みでした。
私も「設問を読んだ時点であたりをつける」と言われてもさっぱりで、特に事例2は与件のあちこちにいろいろな情報が散らばっているため「何となく重要そう」と思っても設問にうまく振り分けられないこともありました。
そんなこんなで、設問と与件の紐づけがうまくできない方向けに、極力ひらめきに頼らない地味~な紐づけを2回にわたってお送りします。
設問を読む際、与件と紐づけるために以下の2種類のポイントに着目していました。
設問に書かれている単語で、与件にも直接書いてありそうなキーワードです。
まっつがリンクワードと呼んでいるものに近いと思います。
下記を目安に目星を付けていました。
その単語が指している対象をある程度特定できそうで、与件に同じ単語が出てきたら「この設問と関係ありそう(少なくとも設問と与件で同じものを指している)」と思える単語です。
与件に頻繁には出てこなさそうな、レア度が高そうな単語だとなおよしです、
そんなわけで固有名詞に近い単語でも出て来て当たり前、与件にも頻繁に出てきそうなA社、B社などは対象外です。
これらを抽出するためには、どちらかといえば国語力が重要だと思います。
次に着目していたのが「与件から探したい情報」でした。
設問をもとに「与件に載っていそう」と推測できる情報(これがわからないと問題を考えられない、問題に答えられない情報)です。
主に、下記をのようなものを考えていました。
「与件に書かれていそうなキーワード」より抽象的で、これらを推測するためには、どちらかと言えば知識や思考力が重要だと思います。
小型ショッピングモール開業を控えた2019年10月末時点のB社の状況について、SWOT分析をせよ。各要素について、①~④の解答欄にそれぞれ40字以内で説明すること。
与件に書かれていそうなキーワード |
与件から探したい情報 |
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(SWOT分析は難易度が低めで、ふぞろいな合格答案の統計的にも皆さんできていた問題のため、割愛します)
B社社長は初回来店時に、予約受け付けや確認のために、インスタント・メッセンジャー(インターネットによるメッセージ交換サービス)のアカウント(ユーザーID)を顧客に尋ねている。インスタント・メッセンジャーでは個別にメッセージを配信できる。
このアカウントを用いて、デザインを重視する既存顧客の客単価を高めるためには、個別にどのような情報発信を行うべきか。100字以内で助言せよ。
与件に書かれていそうなキーワード |
与件から探したい情報 |
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インスタント・メッセンジャーは、設問に詳しく説明が書かれていることから与件には書かれていない可能性が高そう(与件に書かれているなら、この説明は与件にあるはず)と思い、もう少し抽象化してインターネットの情報発信ツールをチェック対象にしました。
「ジオグラフィック、デモグラフィック、サイコグラフィック、行動変数」や「商品単価、買上点数」は知識が重要になるところですね。
私は、最初の受験時はここが弱く、2年目以降は、過去問を解いた後、以前もお話したTBC速修テキストのブロックシートを使って復習していました。
(第4段落)
SNS上のネイル写真を持参する場合も多くなっている。
(第6段落)
B社社長が、自分の子供の卒業式で着用した和服に合わせてデザインしたジェルネイルの写真を写真共有アプリ上にアップした。その画像がネット上で話題になり(中略)周辺住民が来店するようになった。
顧客の大半は従業者と同世代である。そのうちデザイン重視の顧客と住宅地からの近さ重視の顧客は半数ずつとなっている。後者の場合、オプションを追加する顧客は少なく……
「後者=近さ重視の顧客」のため、デザイン重視の顧客はオプションを追加する方が多いと推測してよいか、若干迷うところではありますが、次に出てくる価格体系の表を見てオプションは解答要素に必要だと判断しました。
「写真」はサービスの無形性への対応という点からも解答に入れたいところですね。
再現答案の中には、おそらくサービスの無形性への対応を意識したのかなと思われる記述で、お客様の感想やメニューの詳しい説明を発信するものもありましたが、写真の方が与件に沿った解答なのかなと思います。問題用紙に載っていたサンプルイメージの写真は、インパクトも大きかったですよね。あれを見た瞬間、ネイルにまったく興味のない自分はどれだけ驚いたことか……
(表 B社の価格体系)
大体こんな感じで紐づけできました。
ここまでをまとめると、オプション本数の増加やより高価格なオプション(アート・オプションがベスト)の追加につながりそうなジェルネイルの写真を発信するのが良さそうというのが見えてくるのではないでしょうか。
解答としては若干具体性に欠けるので、紐づけ箇所の周辺に書かれている情報や強みなどで肉づけが必要になります。
B社社長は2019年11月以降に顧客数が大幅に減少することを予想し、その分を補うために商店街の他業種との協業を模索している。
与件に書かれていそうなキーワード |
与件文で探したい情報 |
2019年11月 |
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(第7段落)
2019年11月に小型ショッピングモールとして改装オープンすることが決定した。(中略)当該モール内への、大手チェーンによる低価格ネイルサロンの出店が明らかになった。B社社長は、これまで自宅から近いことを理由に来店していた顧客が大幅に流出することを予想した。
小型ショッピングモールに大手チェーンによる低価格ネイルサロンが出店するので、近さ重視の顧客が流出しそうなことがわかります。
そこで、顧客の流出分を補うためには、近さ重視の顧客は避けた方が良さそうだと考えました。(同じセグメントだと、結局、ショッピングモールの低価格ネイルサロンに奪われてしまう可能性が高い)
B社社長は減少するであろう顧客分を補うため、協業を通じた新規顧客のトライアルが必要であると考えている。どのような協業相手と組んで、どのような顧客層を獲得すべきか。理由と併せて100字以内で助言せよ。
与件に書かれていそうなキーワード | 与件から探したい情報 |
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(第1段落)
この商店街は県内では大規模であり、週末には他地域から来街客がある。中心部には小型百貨店が立地し、その周辺には少数ではあるが有名ブランドの衣料品店、宝飾店などのファッション関連の路面店が出店している。
顧客層:個々の店舗の顧客層は明記なし(商店街全体としては他地域からも来街客がある)
中心部以外には周辺住民が普段使いするような飲食店や生鮮品店、食料品店、雑貨店、美容室などが出店している。X市は県内でも有数の住宅地であり、中でも商店街周辺は、高級住宅地として知られる。X市では商店街周辺を中核として15年前にファミリー向け宅地の開発が行われ……
顧客層:高級住宅地の周辺住民が利用しているっぽい。普段使いとして利用。
(第3段落)
Yさんが商店街の貸衣装チェーン店で勤務していた
顧客層:第3段落には記載なし
合格者でも第3段落の「商店街の貸衣装チェーン店」を見逃した方が結構いたみたいです。
この時点では、協業先としてはYさんのコネがある貸衣装チェーン店が有力そうだけど、顧客層の情報がなく、(高級住宅地の)周辺住民が利用すると書かれている店舗の方が若干有力そうにも見えます。
第2問までと比べて、設問⇔与件で紐づけた時点では解答の方向を決めかねますね。しかも、知識で埋められるものでもなさそうです。
こういう場合、両方詰め込んで逃げるか、さらに与件に情報を探しにいく(与件と与件を紐づけ)ことになるのですが、その点は次回にお送りします。そうは言っても、やることは設問⇔与件と大体一緒です。
やることは大体一緒なのですが、第2問までと比べて少し手間がかかるので、第3問の方が少し難易度が高い問題なのかな、時間配分に気を付けないといけないということも試験中に考えていました。
(ちなみに、トライアルは与件にはありませんでした)
協業を通じて獲得した顧客層をリポートにつなげるために、初回来店時に店内での接客を通じてどのような提案をすべきか。価格プロモーション以外の提案について、理由と併せて100字以内で助言せよ。
与件に書かれていそうなキーワード | 与件から探したい情報 |
(特になし) |
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(第6段落)
固定客を獲得できれば、定期的な来店が見込める。特に初来店の際に、顧客の要望に合ったデザイン、もしくは顧客の期待以上のデザインを提案し、デザインに対する評価が高ければ、固定客につながる例も多い。この際には社長やYさんが前の勤務先で培った提案力が生かされた。
「デザインに対する評価が高ければ、固定客化につながる例も多い」と、もろに書いてますね。
そんなわけで顧客の要望に合ったデザイン、もしくは期待以上のデザインを提案するということで、解答の方向は大体決まります。具体的にどんなデザインを提案するかは、第3問(設問1)と同様、与件⇔与件の紐づけが必要なので、次回にお送りします。
今回の設問と与件を紐づけるために私が気を付けていたポイントは下記の2つでした。
振り返ってみると、事例2は「与件に何を探しにゆくか」の目星をうまくつけられれば、結構はっきり書いてありました。むしろ「そのまま書いてあるけど、これでよいの?」と思う方もいるくらいです。
でも、まだ情報が足りないかなと思う問題もありました。そのため、さらに与件⇔与件を紐づける必要があります。それにつきましては、次回(8/21)お送りします。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
明日は、とうへいが「二次筆記試験の合格可能性を高めるために その2」をお送りします。
前回の記事を越える記事は必見です。