こんにちは! 多年度合格ナビゲーターのとうへいです。暑い日が続きますね。熱中症にならないよう体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
今日は前回書いた「二次筆記試験の合格可能性を高めるために」について、切り口を変えて、私の考えをご紹介させていただきます。
今回は、先日行われたふぞろい13夏セミナーの質問相談会や懇親会で受験生から寄せられた質問や悩み事について私なりに考察します。毎度の前置きで恐縮ですが、参考になると思う部分だけ取り入れていただけたら幸いです。
目次
夏セミナーにご参加いただいた方々、ありがとうございました。みなさんと直接お話をさせてもらったことで私も多くの気づきがあり、勉強になりました。
残念ながら参加できなかった方も多数いて心苦しかったですが、ぜひ秋セミナーにご参加いただけたら幸いです。秋セミナーの日程など決まりましたらブログでご案内します。
さて、夏セミナーでは私が担当した会にご参加いただいた2次試験受験経験者の方々から以下のような質問をいただき、複数のふぞろいメンバーから多面的に回答させていただきました。
①与件文からの採点ワードの抜き出しや設問との対応づけのスピードと精度を向上させたい
②80分間の時間配分をどうしたらよいかわからない
③与件文で使われたワードと1次試験の知識ワードのどちらを重視すべきか
④他の受験生と差別化した解答を書かないと上位20%に入れないのではないか
⑤与件文のマーク方法(何色使うか、設問ごとに色分け? SWOTで色分け?)
などなど
セミナーの中の会話でお聞きした質問の意図・背景などを踏まえて、合格可能性を高めるための私なりの提言をまとめてみました。
80分間で60点(+α)を目指そう
自分にとって最良の解答プロセスを構築しよう
解答のスピードと精度を上げるトレーニングをしよう
一つずつ説明していきます。
100点を目指すのか、80点を目指すのか、60点を目指すのかで、80分間のタイムマネジメントはかなり違うものになると思います。私は、限られた時間の中で、与件文および1次試験で学んだ知識から得点要素の8割を拾って、拾った要素の8割を解答に表現できればいい、という意識を持っていました。イメージはこんな感じです
100(満点)×0.8×0.8=64(点) → 合格点に到達
このイメージをもって取り組むことで「与件文から解答要素が拾いきれていないんじゃないか」とか「思うような文章が構成できない」とこだわり過ぎてタイムマネジメントで失敗しにくくなったと思います。満足化基準で処理することが大事、と言い換えてもいいかもしれません。
「80分間で60点」を念頭に置いた上で「自分にとって」の最良の解答プロセス構築を図ることをオススメします。これは試行錯誤して見つける(というか覚悟を決めて試験に臨む)しかありません。試験日から逆算して、試行錯誤する期間と決めたやり方での処理能力を高める期間を決めるとよいと思います。私は、試験日まで残り45日を切ったら、やり方を大幅に変えないほうがいいと思っていました。
ご参考までに、①~⑤の具体的な質問に対して、私の意見を書いてみます。
改善へのアプローチは様々あると思います。例えば、設問解釈など前処理工程の強化、与件の読み方、マーキングやメモの方法、解答骨子の作成、下書きする・しない、などです。受験生同士の情報交換や予備校や受験生支援団体(ブログ、セミナー等)を通じて収集した情報の中で自分に合いそうと思うものを試していくよいと思います。あいにく、具体的なアプローチについては、各人の具体的な解答文や解答プロセスを見聞きする必要があると思いますので、ここでは割愛させていただきます。
これも人それぞれとしかいいようがありません。歴代の合格者の例を参考にしつつ、試行錯誤しながら自分なりの時間配分を決めましょう。私は事例ごとに手順書を作成して、過去問や模試の気づきを振り返って、自分が最良と思う時間配分をアップデートしていました(前回記事参照)。予め決めた時間配分通りにできないことが少なくなかったですが、「どんなに遅くても試験開始後40分後に解答を書き始める」と手順書に書いてあったため、42分後まで解答を一切書いてなかった時に「ヤバイ、そろそろ与件探したり解答骨子検討するのはやめにして、解答を書き始めなきゃ」「各設問の解答時間を少し短縮しなければ」などと思えるなど、タイムマネジメント上の指針になった効果は大きかったと思います。
一例ですが、私は設問解釈など前工程にかける時間を比較的多く確保して、与件を読み始めるのは試験開始後10~12分後、としていました。前述のとおり設問解釈を先に行って、設問で出題者から聞かれていることを頭に叩き込んだり、方向性を予測したりすることを通じて、与件を読んだ時に頭に入る情報量を増やしたり重要なセンテンスの見落としを防ぐよう心掛けていました。
基本的に解答に書き込むワードは、与件ファーストを意識していました。2次試験は「A社」「B社」「C社」「D社」の個別・具体的な事例であり、中小企業全般に共通する理論自体を問われているわけではないからです。ただし、理論を応用した「A社」等への個別・具体的な診断・助言が求められているため、理論が頭には入っていて、かつすぐに引き出せる訓練をしていないと、80分で60点の解答を書くのは難しいと思います。そういう意味で、理論を軽視していいわけでもなく、理論を応用してA社社長がピンとくるような与件文のワードを使って、診断・助言を解答に書き込むイメージをもっていました。このイメージについては、タニッチの記事『ふぞろい制作を通じて知った「抽象⇔具体」』が参考になると思います。秀逸ですので、ぜひご覧ください。
「差別化しなければ」という意識は危ういと思います。なぜなら、採点基準が決まっているはずの国家試験だからです。前述のとおり、そもそも問題の難度が高い(80分で処理するための情報の過不足などがある)ため、すべての設問で外さない解答を書くのが相当難しく、逆にすべての設問で大外しすることなく中小企業診断士としてはあたり前のことが書ければ合格水準に達するイメージを持つほうがよいのでは、と私は考えています。満足化基準で時間内に60点そこそこの解答を作る、と覚悟を決めたほうが得点期待値は高まるのでは、と個人的には思っています。
これも人それぞれです。セミナーの際にその場にいたふぞろいメンバー8人の解答は次のとおりでした。(ちなみに、私はカラフル派の極み8色+シャープペン、でした)
カラフル派 4名
3色派 2名
シャーペンのみ 2名
なぜそうするかは人それぞれでしたが、共通する事項が1つありました。それは「なぜそうするか理由をきちんと説明できること」でした。それぞれそのやり方に行き着くまでに試行錯誤があったことがよくわかって、とても共感できました。ぜひ、自分に合うと思うやり方を探してみてください。
質問相談会でも話題になりやすいのは、解答手順などやり方に関することが多いのですが、留意が必要なのは、たとえ優れたやり方だったとしても自転車の乗り方とか泳ぎ方、のようにトレーニングを積まないとできる実感が持てないことです。ちょっと読んでみる、ちょっと試す、だけではうまくいかないことがほとんどだと思いますので、「自分には合わない」と見切りをつけるまでにどれくらい試すか、という点も大事です。そして、このやり方でいく、と決めた後に、80分間で60点を安定的に獲得できる解答を書けるまで読む・考える・書く、のスピードと精度を上げるトレーニングをし続けることが一番重要だと思います。トレーニングの質を高める・量を増やす、のほかアプローチは様々あると思います。
いかがでしょうか。今回書いた内容はあくまで私の個人的な見解であり、他のふぞろいメンバーから見ても、私とは違う捉え方をしている部分は少なくないと思いますが、中小企業診断士としての基本的な考え方を押さえられていれば、試験へのアプローチに関する見解が多少違っていても60点(4事例で240点)に到達して合格できるようになっていると思います。試行錯誤して気づきを得られることも少なくないと思います。もし今日の記事を読んでみて「やってみよう」と思うことがあれば、ぜひちょっとだけやってみてください。応援しています!
明日は、とっくんの登場です。