こんにちは! 事例I分析担当のオオサワです。
私は診断士試験に合格後、「ふぞろい」の執筆、実務補習、実務従事で、ほかの合格者の方々と共同作業する機会がありました。そのたびに、「診断士試験では性格検査はないのに、なぜこんなに人格的に優れている人が多いのだろう」と不思議に思いました。
具体的には、忙しくても仕事を進んで引き受ける、何事にも一生懸命、前向きで明るい、人の話を素直に聞く、面倒みがよい、人柄がよい、思いやりがある、一緒にいて楽しい…、そんな特長を持つ人たちが多いのです。受験生の皆さんにも、同じような特長の方が多いような気がします。
なぜ診断士試験の合格者と受験生には、人格的に優れている人が多いのでしょうか。あくまで私の推測ですが、次の2つの理由が考えられます。
(1) そもそも診断士を目指そうとする人は、人の役に立ちたいと考える人、つまり人格的に優れた人である。
(2) 二次試験の勉強で、人間性にさらに磨きがかかる。
(2)について補足します。二次試験では、事例企業の社長の思いをくみ取った解答を書く必要があります。社長の気持ちに寄り添い、社長や従業員を幸せにするような、社長の心に響く答案を書く訓練を重ねるうちに、人格的に磨かれていくのではないでしょうか。そして、事例企業のことを思う優しさが現れた答案が高い評価を受けるのではないでしょうか。
ところが、受験生の方々の答案を見ると、次のように残念な答案に時々出会います。
●事例企業のことがまったく見えていない
与件文にたくさんのヒントがあるのに、それにまったく触れていない答案です。そういった答案にかぎって、過去問の模範解答の頻出用語を多用して、もっともらしく書かれています。いかにも「勉強してきました」とアピールしています。
おそらく、二次試験があまりに難しいのでついついテクニックに走ってしまうのでしょう。たしかにテクニックも有効ではあるでしょう。でも、二次試験では、勉強成果だけでなく、中小企業診断士としての適性も試されていることを忘れないでください。
●従業員に冷たい
二次試験、特に事例Ⅰでは、女性(主婦)、非正規社員(アルバイトやパート)、高齢者、若手や新卒など、さまざまな人材について出題されますが、これらの立場の当事者が読んだら悲しくなるような、人間として尊重していない内容の答案に出会うことがあります。
どうか従業員を温かい目で見た活用方法を書いてくださいね。「自分は診断士として、この企業の社長や従業員を幸せにするのだ」そんな気概で答案を書いてみてください。
「主婦や高齢者になったことがないから、そういう人たちの気持ちがわからない」などとあきらめずに、理解しようと努力してみてください。診断士になったら、自分が経験のない立場の人たちにも助言をするのですから。
「ふぞろい」で勉強するときは、合格+A答案から感じ取れる、人としての優しさや思いやりにも着目してみてください。