みなさまこんにちは。事例Ⅰ&分析統括のあきかです。先日のふぞ16セミナーにご参加くださったみなさま、ありがとうございました!私も少しだけ説明のお時間をもらい、また相談会にも参加させていただきました。ほんの少しでもお役に立てていたら光栄です。
さて、本日は「事例Ⅰアドバイスリレー」ということで、M&Aについて考えてみたいと思います。
目次
すでにご存知の方も多くいらっしゃるとは思いますが、M&A(エムアンドエー)とは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略です。つまり、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。
M&Aとは/M&A成功のために|日本M&Aセンター:No1のM&A支援実績 (nihon-ma.co.jp)
かつては「身売り」「敵対的買収」などとマイナスイメージもあったと思いますが、近年は後継者不在企業の事業継続や企業価値向上などポジティブな文脈で語られることが増えたように思います。最近の2次試験の問題だと、R2年度のA社が印象深いですね。
最終的に友好的買収を決断したこの有力者は、飲食業を皮切りに事業をスタートさせ次々と店舗開拓に成功しただけでなく、30年ほど前には地元の旅館を買収して娘を女将にすると、全国でも有名な高級旅館へと発展させた実業家である。蔵元として老舗の経営権を獲得した際、前の経営者と経営顧問契約を結んだだけでなく、そこで働いていたベテラン従業員10名も従来どおりの条件で引き継いだ。
令和2年度(2020年度) 第2次試験問題 事例Ⅰより
中小企業白書2023では、「M&Aは価値創出に向けた戦略実現のための手段」であり、「成長や新しい事業分野への進出につながる有効な手段」と記載されています。
中小企業白書2023より
ここで注意が必要なのは、「M&Aする」ことと「企業価値が向上する」ことは単純なイコールではないということです。みなさまは「PMI」という言葉をご存知でしょうか?以下の3つを見比べてみてください。
PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、M&A成立後の統合プロセスのこと。M&Aの果実を確実に早期に得るためには、M&A当事者である両社の戦略・販売体制・管理体制・従業員意識・情報システム等を有機的に機能させなければならない。
PMI|M&A用語集|日本M&Aセンター (nihon-ma.co.jp)
中小企業白書2023より
第1問(配点40点)
令和2年度(2020年度) 第2次試験問題 事例Ⅰより
以下は、老舗蔵元A社を買収する段階で、企業グループを経営する地元の有力実業家であるA社長の祖父に関する設問である。各設問に答えよ。
(設問1)
A社の経営権を獲得する際に、A社長の祖父は、どのような経営ビジョンを描いていたと考えられるか。100字以内で答えよ。
(設問2)
A社長の祖父がA社の買収に当たって、前の経営者と経営顧問契約を結んだり、ベテラン従業員を引き受けたりした理由は何か。100字以内で答えよ。
いかがでしょうか?すべてPMIに関する内容だと思いませんか?
さらに、中小企業庁から「中小PMIガイドライン」が公表されているので、その中から気になった部分を少しご紹介したいと思います。
・M&Aの目的を実現、効果を最大化する上で、M&Aの成立は「スタートライン」に過ぎず、その後の統合作業(PMI)を適切に行うことが重要。
・PMIは、譲受側・譲渡側を適切に統合するため、M&Aプロセスから検討を開始し、M&A成立後概ね1年の集中実施期を経て、それ以降も継続的に実施される取組。
・M&AやPMIに関する知見・経験が乏しい場合は、中小M&AやPMIに精通した支援機関に必要に応じて相談しながら取組を進めることが望ましい。
そしてこの支援機関として真っ先に例示されているのが中小企業診断士です!
つらつらとM&A(PMI)についてご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。大手企業のM&A失敗事例についてインターネットで検索してみると、(もちろん失敗の要因は複合的だと思いますが)PMIに失敗したことも要因のひとつなのかな、と思わされる事例もありました。
今回の記事を書くにあたりH29~R4年度の事例Ⅰ過去問を振り返ってみたのですが、ドンピシャで出題されていたのはR2年度のみと意外と少なかったです。しかしながら、今年の1次試験でもM&Aに関する出題があったようですので、まだまだ注目すべきトピックの1つだと思いますので、ぜひチェックしてみてください(^^)
さて、明日はいっけーの登場です。お楽しみに!