事例Ⅲのアドバイスリレー企画5 えとえん編 ~漏れも、ダブりも、あるんだよ~

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どーもこんにちは、えとえんです!

1次試験も終わり、そろそろ2次試験対策を始めた方も多いのではないでしょうか。

僕もこのあたりから「そろそろ2次試験の勉強始めなきゃな~どうしたらええんやろか~」なんて

X(旧Twitter)で情報収集して、ふぞろいを買い漁っていたのを今もありありと覚えています。

さてさて、ここまで事例Ⅲチームでアドバイスリレー企画をやってまいりました。

事例Ⅲについては今回が最後となりますので、少し踏み込んだ内容をお話したいと思います。

「漏れも、ダブりも、あるんだよ」

この言葉に違和感(あるいは既視感)を覚えた方は、続きをぜひ読んでね☆

「MECE」という名の呪い

「MECE」

2次試験対策をすでに始めた方、あるいはコンサル業界に在籍の方は聞き馴染みのある言葉ではないでしょうか。

コンサルティング会社のMcKinseyで使われていた社内用語で

「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取り、「漏れなくダブりなく」の意味で用いられます。

MECEはロジカルシンキング(=論理的思考)の基本ともいえる考え方です。

ある複雑な問題を解決するため、要素をすべて網羅し、重複する部分が内容整理することを言います。

詳しい詳細やビジネスシーンでの活用については専門書に譲るとして、

この考え方は中小企業診断士の2次試験でもしばしば活用されます。

特に要素が混同しやすい事例Ⅲでは使用しやすく、

過去にはMECEで考えることが切り分けの助けとなった事例もあります。

例えば、平成30年の事例Ⅲ、第2問と第3問を見てみましょう。

第2問(配点20点)
C社の成形加工課の成形加工に関わる作業内容(図2)を分析し、作業方法に関する問題点とその改善策を120字以内で述べよ

(中小企業診断士2次試験 平成30年 事例Ⅲより抜粋)

第3問(配点20点)
C社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移(図1)を分析して、C社の生産計画上の問題点とその改善策を120時以内で述べよ

(中小企業診断士2次試験 平成30年 事例Ⅲより抜粋)

このように、第2問では成形加工の作業内容を、第3問では生産計画策定方法と在庫数量を、

それぞれについて関係する部分について問題点を抜き出し、それについて改善策述べれば良いのです。

過去の事例Ⅲはこのような問題が多かったため、とっつきにくいが数をこなせば安定する科目と言われてきました。

(逆に事例Ⅱはとっつきやすいが不要な情報も多く、やればやるほど泥沼になるとも…)

効率化の課題と生産面の課題を切り分けできる者なんて、誰もいない。

こういった流れもあり、事例Ⅲ切り分け至上主義が蔓延していました。

しかし、そこに一石を投じる問題が、令和の世に爆誕しました。

それが、令和3年事例Ⅲ、第2問と第3問です。

第2問
バックメーカーからの受託生産品の製造工程について、効率化を進める上で必要な課題2つを20字以内で上げ、それぞれの対応策を80字以内で助言せよ。

(中小企業診断士2次試験 令和3年 事例Ⅲより抜粋)

第3問
C社社長は、自社ブランド製品の開発強化を検討している。この計画を実現するための製品企画面と生産面の課題を120字以内で述べよ。

(中小企業診断士2次試験 令和3年 事例Ⅲより抜粋)

さて、この問題はパッと見だと、受託生産品と自社ブランド製品それぞれについて述べることが設問要求であり、

与件文から関係する部分を抜き出せばよいのでは、と思われたでしょう。

しかしながら、これらについて言及する与件分は、ほんの少しなんです。

受託生産品についての言及が3行、自社ブランド製品についての言及も3行、

それ以降の生産工程については受託生産品と自社ブランド製品がないまぜになって続きます。

しかも、両者に共通して熟練職人が仕事を担っており、若手へのOJTが必要そうな雰囲気がプンプンします。

実際、初見で解いたときは、「これ、どうやって切り分けるんだ…?」と悩んでしまい、あえなくタイムオーバーに。

こんなの切り分けられん!と思い、ふぞろいを確認したところ、あまり切り分けなくても良いことがわかりました。

もちろん、他の参考書を参照すると、ウルトラCな解答を作成し、綺麗な切り分けをしているものもありました。

しかし、80分という限られた時間の中で、ここまでの切り分けは不可能と考えられます。

おそらく、中小企業診断士受験生のレベル上昇に呼応するように、問題レベルを上昇させるため、

単純に切り分けて解答することができないよう、問題設定をしているのでしょう。

わけがわからないよ。どうして人はそんなに、MECEにこだわるんだい?

じゃあどうしたらいいのか!

ぼくのかんがえたさいきょうのさくせんは、「MECE」にこだわらない、「漏れもダブりも」書く、というものでした。

相対評価といわれる2次試験で大事なことは、「上位10数%に入る」ことであり、「60点以上を取る」ことではありません。

そのためには、「綺麗に切り分けた解答を書く」ではなく、「泥臭く点数を重ねる」ことが重要です。

つまり、「点数になりそうなこと」は何度でも書いてしまえば良いのです。

逆に言えば、「点数にならなさそうなこと」は書かないほうが良いと言えます。

この考えはふぞろいを執筆して、より強化された考え方です。

実際に令和4年度の事例Ⅲを見てみましょう。

第2問
C 社の主力製品であるプレス加工製品の新規受注では、新規引合いから量産製品初回納品まで長期化することがある。しかし、プレス加工製品では短納期生産が一般化している。C 社が新規受注の短納期化を図るための課題とその対応策を 120 字以内で述べよ。

(中小企業診断士2次試験 令和4年 事例Ⅲより抜粋)

第3問
C 社の販売先である業務用食器・什器卸売企業からの発注ロットサイズが減少している。また、検討しているホームセンター X 社の新規取引でも、 1 回の発注ロットサイズはさらに小ロットになる。このような顧客企業の発注方法の変化に対応すべきC 社の生産面の対応策を 120 字以内で述べよ。

(中小企業診断士2次試験 令和4年 事例Ⅲより抜粋)

それぞれの要旨をまとめると、短納期と小ロットにどう対応するか、について聞かれています。

令和3年ほどの切り分けの困難さはありませんが、どちらに書けばいいのか困る要素はいくつか見られました。

実際、ふぞろいに寄せられた再現答案を見ると、おそらくどちらでも加点となった内容があると見受けられました。

一方で、与件分に記載があるが得点に結びついていない内容があることもまた事実でした。

これらから「MECE」ではなく、「漏れもダブりも」の新時代が到来していると考えられます。

「ふぞろい」を活用して、診断士になってよ!

さて、ここまでつらつらと過去問分析をしてきましたが、

時代とともに問題が変遷してきていることがわかります。

先日行われた1次試験で経営情報システムが激難化したように、2次試験も難化する可能性が大いにあります。

特に、採点が全受験生に配布されたことから、いままでブラックボックスだった採点傾向が詳らかになることで

多くの受験生、受験支援機関が精度の高い分析をしてくるため、競争の激化は必至です。

そんな新時代を乗り切るために、「ふぞろいな合格答案 エピソード16」をぜひともご活用ください!

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さぁ、事例Ⅲのアドバイスリレーはここでおしまい。

次はしゅうとから事例Ⅳのアドバイスリレーが始まります!

難化ってレベルじゃねぇぞな難易度に仕上がった令和4年度事例Ⅳをどう攻略するのか!乞うご期待!

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