実年受験生向け コア・ロジックとは(事例Ⅱ)

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こんにちは、多年度受験ナビゲーター、「実年受験生の味方」リンフ(lingfuです。1.「実年受験生の味方現わる」、2.「実年受験生向け 2次試験に求められる思考法」、3.「実年受験生向け 実践的解答作成法」から4.「コア・ロジックの抽出」へと進めて来た本ブログも1次試験に向けた対応と応援メッセ-ジということで2回ほど2次向け記事をお休みさせて頂きましたが、今回から2次試験向け記事を復活いたします。

本ブログを読んで頂いている方の多くは、首尾よく1次試験に合格され、今後の10週間余りでどのように2次試験を攻略するかの情報収集をされていることと思います。また、残念ながら自己採点にて不合格の方も、来年の1次・2次合格に向けた計画の策定を考えておられることでしょう。ここに来てふぞろいブログ全体で、従来から継続してブログを読んでいる方々に加え新しい閲覧のアクセスが相当伸びていると聞いています。新規にこのブログ記事をご覧になり記事の繋がりが分からない方は、文末に掲載したこれまでの記事のリンクをご覧ください。まずは、前回の続きの「コア・ロジック」の再説明から入ります(お休みが入った分、一部前回説明の繰り返しを含みますがご容赦ください)。

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コア・ロジックとは、「状況によって変化することのない、因果を煮詰めていった末に残る根源的なロジック」のことです。数学的に言えば、「公理」に相当するものと言えます。煮詰めていく、とは上位概念に抽象化していくことです。あるテーマに関する因果の情報を収集し、2次試験において問題作成者が論点として妥当と考えているだろう中核の論点を導き出し、蓄積します。そして、実際の試験における事例問題への解答の骨子に応用できるようにすること、すなわち「中小企業診断士としての知識の応用力を問いたい」問題作成者の意図への理解を深めることを目的にします。

その手段として、1次試験の過去問の各設問の論点となる因果、2次試験の過去問をまず利用します。理由は、正解が公表されない中小企業診断士2次試験において唯一、よりどころとできる公式な資料が、診断士協会が作成する試験問題であるからです。

1次試験は各科目の知識を問う問題であり、その意味では対象となる企業の規模は問いません。すなわち大企業においてのみ問題となる論点も多く含んでいます。しかしながら、2次試験は「中小企業診断士としての知識の応用力」を問う試験であるため、設問の視点は大企業ではなく、「中小企業であるからこそ問題となる」論点を問うことになります。具体的には、「人・物・金等の経営資源に限りがある中小企業において問題になる」ことが論点となります。従って、2次試験向けのロジックを抽出するためには、先の1次試験から抽出した因果から、2次試験向けのロジックを抽出するために、取捨、読み替え、集約を行います

 

例として今回は、企業経営理論から、事例Ⅱのコア・ロジックを導き出して見ましょう。

例として①満足度・ロイヤルティ向上をあげます。

企業経営理論」H25第27問設問2-ウ、
「高水準の顧客満足が実現すると既存顧客の忠誠顧客化による反復購買が行われるようになるだけでなく、満足顧客による口コミが新規顧客の獲得を支援するようになる。新規顧客獲得費用は既存顧客の維持費用よりも一般的に高い(原文修正)ため、企業は積極的に優良顧客による口コミの影響を活用することが望ましい。」
この選択肢文から以下のようにコア・ロジックに繋がる因果の流れが構成できます。
・(因)高水準の顧客満足度の提供(徹底した「おもてなし」の提供により顧客満足度を高める)→(因)既存顧客が忠誠顧客化し(既存顧客のロイヤルティが高まる)→(果)反復購買(リピ-ト購入)に繋げることができる。


・(因)新規顧客獲得費用は既存顧客維持費用より高い→(因)企業は新規顧客獲得のためのコミュニケ-ション戦略を低コストで行いたい→(果)企業にとって優良顧客による口コミ活用が望ましい。 さらに追加として、→(果)そのためには優良顧客の識別が必要、デシル分析等により繰り返し購入する上位優良顧客を抽出する→(果)優良顧客の購入特性をRFM分析し、顧客ひとりひとりに働きかける1to1マ-ケティングに繋げる。

 

これらからコア・ロジックを抽出すると、例えば

『高い満足度を得た顧客はロイヤルティが高まる』
『ロイヤルティの高い顧客はリピート購入する』

というように書けないでしょうか。

次に、このコア・ロジックを実際の2次試験の問題解答に適用することを考えます。

ひとつ目にH20事例Ⅱ第2問を考えましょう。
設問文の「予約客の減少した理由」の「予約客」に着目します、なぜ「顧客」でなく「予約客」なのでしょう?与件文に「予約」の箇所は、第1段落に「予約を取るのが困難であった」とあります。つまり、満足度の高い顧客がリピート客となっていることが読み取れます。設問は、「この状況が成り立たなくなった=満足度が低下した理由」を聞いています。今までの顧客の満足度要因は何でしょう?
・何より湯治場温泉としての効能
・非日常、静寂のコンセプトにこだわった有形・無形サービス
・きめ細かいおもてなし
これらに、高額料金を支払ってもなお満足を感じる顧客層を「識別し」、適切なサ-ビスを提供することが、B旅館の取ってきた戦略とわかります
このような顧客が満足を感じなくなる状況が与件に書かれているため、
「その事実」を因、コア・ロジックから果を表現することで、解答としての因果になります。
すなわち、解答のプロセスとしては
(1)設問文より、解答として求められる、適用できるコア・ロジックを「選択」する(基本)
(2)解答文としての因果を構成する、すなわち、与件より事実としての根拠を抽出し、解答文として適切な因果を表現する(応用)
という、「基本→応用の流れ」がプロセスとなります。

ふたつ目に昨年の問題、H26問題3設問2を考えましょう。
「デシル上位・下位の利用金額差はどのような要因によって生じているか」として、リピ-トの差であることが分析できます。ここで、コア・ロジックより、「これらリピ-ト参加する顧客はB社への満足度→ロイヤルティが高い」と言えます、そこでB社がタ-ゲットとすべき重要顧客像は、デシル分析結果・与件文より「ロイヤルティ」の高い顧客を具体的に説明することとなります。
「2次試験は過去同じようなことが繰り返し聞かれる」という言葉を良く聞きます。それは、このようなコア・ロジックを繰り返し問われているが、問われ方、解答への導きかた、解答の表現の仕方がことなるだけであるため、と言えます。そしてH26の2次の中核論点のコア・ロジックがH25の1次試験問題文中に登場していたのです。

すなわち、2次試験への準備として、
①過去問、1次試験設問より、コア・ロジックを抽出し、整理・ストックする。(基本力)
②過去問を用いて、与件毎に異なる状況・問われ方に対応してコア・ロジックを解答の因果に導く方法を体得する。(応用力)

ことを意識するようこころがけてください。
また、「忠誠顧客化」や「反復購買」は解答に使って良い用語となるので、解答の字数削減や解答文を締まって見せることに役立ちます。ちなみに「中小企業の社長に分かる表現を心がけて」と良く言われますが、これは、①飛びがなく当たり前の因果、②造語や必要以上に難解な言葉を使わない、ことです。そして、②の閾値としても「過去問で使われているか?」は参考になります。

 

以上、今回は事例Ⅱを例にコア・ロジックの抽出の手順と、それを基準にした問題解答の訓練とその効果について解説を行いました。2次試験の準備を開始するに当たって是非この考え方に基づいた訓練を検討して頂ければと考えます。

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明日はお待たせ、詰込の女王、あすか先輩の2次試験事例Ⅳ攻略法です、請うご期待! 

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◆◆ ふぞ8ブログ “実年受験生のための2次試験対応法” by リンフ(lingfu)◆◆伊

第1章    実年受験生の味方現る

              ・実年受験生の味方現わる! 多年度生合格ナビゲーター、リンフ(lingfu)です

第2章    実年受験生向け 2次試験に求められる思考法

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              ・診断士試験は「実年受験生のリハビリ・アカスリ」です

第3章    実年受験生向け 実践的解答作成法

              ・実年受験生の実践的解答作成法① 因果の得点3要素+1

              ・実年受験生の実践的解答作成法② 因果の得点3要素+1(その2)

              ・実年受験生の実践的解答作成法③ 因果の得点3要素+1(その3)

              ・実年受験生の実践的解答作成法③ 因果の得点3要素+1(その4)

第4章 実年受験生向け コア・ロジックとは

              ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅰ)

    ↓↓イマココ

              ・実年受験生向け コア・ロジック(事例Ⅱ)

第5章 実年受験生向け 解答作成手順と事例集

第6章 実年受験生向け 試験本番への準備と本番での対応方法

(注:今後の内容については変更される場合があります)

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