皆さんこんにちは。
言葉で心をほぐします、事例Ⅳ分析チームリーダーのかもともです。
息子氏、一人立ち記録を順調に更新中です。
閑話休題。遅ればせながら、令和3年の二次筆記試験の内容に目を通しました。
以前のブログでも書きましたが、近年の二次筆記試験は、「出題者側が、巷に広まった小手先だけの知識を潰しにかかっている」ように思います。
今年も「対策潰しかなー」と感じるところがあったので、いくつか紹介します。
※以降の内容は、令和3年度二次筆記試験の出題内容を含みます。
目次
ド頭、事例Ⅰの第1問から「対策潰しかな」と感じました。
設問文はこちら。
2代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100字以内で述べよ。
これは、よく言われているテクニック「回答はオウム返しで」を潰しにかかっているのかなと思いました。
オウム返しとは、解答の書き出しを設問文に合わせる(「理由は何か」と問われたら「理由は~」と書く、「原因は何か」と問われたら「原因は~」と書く)
ことで、書き出し方の迷いを減らす(+設問要求から外れた解答を書くリスクを減らす)テクニックです。
このオウム返し、「なぜか」と聞かれたら使えないですよね。
素直に日本語として読めば「理由を聞かれている」と分かるので「理由は~」で書けば良いのですが、
過去問演習でオウム返しの書き出ししかしてこなかった人は、面食らったのではないかと思います。
なお、事例Ⅰの第3問には「利点と欠点」という表現もあり、「メリットとデメリット」と解釈してよいのか、ここでも揺さぶってくるなーと感じました。
事例Ⅱと事例Ⅲは、対策潰しのような点はなかったので、事例Ⅳへ。
事例Ⅳも、ド頭から例年とは違う問われ方でした。
近年は指標を3つ選ばせることが多かったですが、令和3年度は4つの指標(優れている指標2つ、課題となる指標2つ)を指摘する必要がありました。
これは、「経営分析の指標は収益性・効率性・安全性から1つずつ選ぶ」を潰しに来たのかなと思います。
与件文の情報と財務諸表から良い点・悪い点を明かにすれば良いのですが、こちらも事例Ⅰの第1問と同じく、
「収益性・効率性・安全性から1つずつ」の選び方しかしてこなかった人は当日迷ったのではないかと思います。
引き続き、事例Ⅳです。令和3年度は、第3問(CVP)の聞き方も意地悪でした。
与件文の抜粋がこちら。(括弧内は筆者加筆)
・50,000kg生産した場合の総経費は3,000万円である。
・この(50,000kg生産した場合の)総経費に占める変動費の割合は60%、固定費の割合は40%と見積もられている。
一見変動費率が60%のように読めてしまいますが、変動費率は「売上高に占める変動費率の割合(変動費/売上高)」なので、変動費率を60%とするのは誤りです。
対策潰しではないですが、当日疲労のたまった状態で解くと引っ掛かりそうなひねり方だったので、紹介しました。
対策潰しの紹介をしましたが、ここからはそれを受けてどうするか、の話をします。「対策潰しの対策」です。
月並みなことしか言えませんが、「表面的な理解やテクニックに走るのではなく、人に説明できるレベルまで理解を深める」、これに尽きるのではないかと思います。
また、過去問演習を通して「こんな聞かれ方をされたら嫌だな」ということに思いを巡らせるのも一つの手です。
私が個人的に今後あり得そうと思っているのは、「事例ⅣでNPVだけ易しくて残りの設問が難しい」パターンです。
「NPVは解かなくて良い」という対策も巷にはあるので、いつかは潰されるのではないかと思っています。
ポートフォリオの観点からも、試験合格後のことも考えても、苦手分野を作らない(少なくとも白紙にならない程度には押さえておく)ことが、一番の試験対策になるはずです。
本日はここまで。
明日は事例Ⅳより、日々情報発信を実践中のくろがお届けします。