もしも診断士受験サポーターが『世界標準の経営理論』を読んだら

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こんにちは。独りで頑張るあなたの心、整えます。独学サポーターのタニッチです。

連日猛暑日が続き、家にこもって勉強する中で心身のバランスを崩されていないでしょうか。

本日の内容はタイトル通り、昨年末に発刊され中小企業診断士界隈で話題になっていた『世界標準の経営理論』を読み、診断士受験に役立てられないかと私の独断と偏見で考察しています。結論から言うと、今年の2次試験受験生の方には、すぐに効果があるわけではありませんのでよほど余裕がない限り、読まなくてもよいと思います。

ただ、内容的には示唆に富んでおり、これまで勉強してきたことの根拠づけや知識の補充につながりますので、来年の診断士試験受験生の方や、すでに合格されている方向けに、本書をおすすめします。

※読書の秋に備え、試験後に読むつもりで買っておいてもよいかと思います。章別にある程度独立しているので、気になった章から読める気軽さもあり、辞書的な使い方をされるのもおすすめです。

それでは早速本題に行ってみましょう!

本書の紹介

本書のコンセプトはビジネスパーソン向けに、世界で標準とされている30個程度の経営理論を学ぶことで「思考の軸」の確立を目指しています。

本書の特徴は2つあります。

  1. 世界中の経営理論を網羅的に解説
  2. どこから読んでもよい、全てを読まなくてもよい

 

そもそも現代経営学とは、人・組織はどうものを考え、どう行動するのかの根本原理を解明を図るものです。

その裏付けのために、経済学、心理学、社会学の3つの学問分野の理論を応用していることから、本書は第1部「経済学分野」、第2部「マクロ心理学」、第3部「ミクロ心理学」、第4部「社会学」に分かれています。

私のおすすめは、心理学・社会学の分野からのアプローチで、特に1次試験の企業経営理論では薄くしか学べなかった、知の探索・知の深化の理論(組織学習とイノベーションに関する分野)、認知バイアス、リーダーシップの理論、モチベーションの理論です。

社内診断士の方には、この理論を理解しておくことで、自社で起きている事象を深く分析し、課題解決への洞察を得られるのではないかと思います。

 

知の探索・知の深化はそれぞれ必要十分ですか?

知の探索・深化は組織学習に関する用語ですが、今回は無理やり個人の勉強方法に置き換えて考えます。

  • 今やっている勉強法が自信がないので新しい参考書に手をだす
  • 過去問5年分を1周したけど、不安なのでそれより前にさかのぼって量をこなす…

自分の認知の外側に解を求めて、新しい知識を探す・・・これは知の探索に当たります。

  • これまでのやり方を踏襲し、改善を続ける
  • 今の知識基盤以上に新しいインプットを拒み、既存の知識の体系化のみを進める

既存知の活用・・・これは知の深化にあたります。

知の探索ばかりしていても、あと2か月弱の試験勉強で解答プロセスが固まりませんし、知の深化ばかりしていても自分の認知の範囲の外に出ることができません。

診断士試験で合格するため、卑近な例で恐縮ですが、私自身は下記のように行動しました。

  • 8月末の模試で受験者平均以下の結果しかでなかったため、勉強のやり方を変えた
  • それまでは一つの参考書を信じてPDCAを回した

どんな参考書を使ったかは下記の記事をご参照ください。

巨人の肩に乗ろう。苦手事例を克服した2次試験の勉強方法①(再現答案付)

うまく行った要因を分析すると、学習開始当初見つけた方法で一心不乱に「知の深化」を進め、マイルストーンとしている模試で結果がでなかったため、「知の探索」を開始、残り1か月程度の時期にリスクを取ってやり方を変えたこと。

勉強法や解答プロセスを大きく変えることをすすめる意図はありませんが、伸び悩みや独学の限界を感じている方は、これまでの「サンクコスト」は捨てて「知の探索」をしてみるとイノベーションが自身の中に起きるかもしれません。

 

自分のやり方にこだわりすぎていませんか?認知バイアスを克服するために

次に個人的に興味深かったのは、経営学の研究分野としてまだ定まっていませんが、本書でもコラムで取り上げられていた「マインドフルネス」に関してです。偶然、「ふぞろいな合格答案13」内のコラムで「マインドフルネスのすすめ」という記事を書いていたので今回取り上げてみます。

このコラムが掲載されていたのは、「認知バイアス」の理論の章でした。「認知バイアス」章の内容は、個人の認知バイアス組織として克服することができるというもので、具体的にはダイバーシティ経営によって、認知バイアスを克服できるという理論の説明です。

試験勉強でいえば、勉強会への参加によって多様な意見を取り入れる、独学では「ふぞろい」を活用し、合格者・不合格者の答案を分析することが、自身の認知バイアスの是正につながるということだと考えます。

さて、マインドフルネスに関してですが、下記図表のとおり、「アテンションの幅」と「いまその瞬間への意識の傾斜」の2軸マトリックスで整理すると、望ましい状態・望ましくない状態は一目瞭然ですね。
※アテンションは本書では「(認知的)気づき、読み取り、解釈、集中において、どこに時間と労力を割くかということであり、それを通じて人は、特定の情報だけを自身の認知メモリーに置き、他は無視する」と定義。

『世界標準の経営理論』より引用

我々が試験本番時に目指すべきは図表右上の象限、集中力が高まっている「フロー状態」です。
私は勉強時、ひいては普段の生活は、集中力が高く、それでいて柔軟に認知を広げられる左上の象限、「マインドフルネス」でありたいと考えています。そのための手段として「座禅・写経」を「ふぞろいコラム」ではすすめていますので、ご興味があればご一読ください。

 

まとめ

最後に、もしも独学サポータータニッチが『世界標準の経営理論』を読んだら、下記のように助言します。

  • 知の深化を徹底し、それでも限界を感じた場合、思い切って知の探索をしましょう
  • 今この瞬間に集中して、勉強するときはアテンションを狭く、それ以外はアテンションを広く持ってフロー状態とマインドフルネスを駆使できるようにしましょう

この助言の根拠については、是非本書をご覧になってみてください。

明日はおはこの登場です。

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