設問と与件の紐づけ part 2 与件⇔与件 ~しくじりを添えて~

同友館
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ふぞろいブログをお読みいただき、ありがとうございます。
前回の記事を書いた8/21から3日しか空いておりませんが、本日もみずのがお送りします。

昨日公開されたとっくんの記事を読んで、いっしーさんメソッドの伝承者がいたことに感動している今日この頃です。
相性の問題で私は継ぐことができませんでしたが、考え方はかなり参考にさせていただきました。

今年も、この記事を読んでいらっしゃる方が伝承者になるかもしれませんね。楽しみです。

本日のテーマ:与件と与件を紐づける

前回の記事「設問と与件の紐づけ part 1. 設問⇔与件」では、設問を読む際、与件と紐づけるために以下の2点に着目していたお話をしました。

  • 与件にそのまま書かれていそうなキーワード
  • 与件から探したい情報

事例2の特徴もあり、この2点で紐づけると大分解答の方向性が見えてきました。
しかし、一部、まだ情報が足りないものもありました。
知識で埋められるようなものではなく、根本的に情報が足りない……そんな時に、もう一段階、与件と与件を紐づけないといけない場合があります。

それが今回のテーマ「与件⇔与件の紐づけ」です。
考え方はやすることは「設問⇔与件」と同じように上記の2点に着目して探すだけです。

そのため、前回の記事より解説を簡素にさせていただきます。

令和元年度事例2で紐づけてみる

第3問(設問1)

前回見つけた協業相手の候補

前回、「商店街の他業種」に着目して見つけた協業相手の候補は下記の通りでした。

  • 小型百貨店
  • 有名ブランドの衣料品店、宝飾店などのファッション関連
  • 飲食店や生鮮品店、食料品店、雑貨店、美容室など
  • 貸衣装チェーン店

前回見つけた情報だと、どこと協業してよいか決められないので、これらのお店とその顧客層の情報をさらに与件文から探す必要がありました。すると、貸衣装チェーン店だけ次の情報が見つかります。

貸衣装チェーン店と顧客層の特徴

(第2段落)

X市内2店舗を含む10店舗

(第3段落)

七五三、卒業式、結婚式に列席する30~50代の女性顧客

見つけた内容のうち、卒業式30~50代がさらに与件の別の箇所と紐づいています。

(第6段落)

B社社長が、自分の子供の卒業式で着用した和服に合わせてデザインしたジェルネイルの写真を写真共有アプリ上にアップした。その画像がネット上で話題になり拡散され、技術の高さを評価した周辺住民が来店するようになった。

(第2段落、第6段落)

社長と社員Yさんは共に40代の女性

顧客の大半は従業者と同世代

(図1 全国とX市の年齢別人口構成比)

X市は全国と比べて10代と40代の人口構成比が高いことが読み取れます。
さらに「卒業式で着用した和服」は貸衣装チェーン店と親和性が高そうです。

まとめると

  • 卒業式の和服に合わせたジェルネイルの技術を生かせる(新規顧客の獲得実績有り)
  • 貸衣装チェーン店の顧客層が既存顧客のセグメントと近いので獲得しやすい(市場浸透)
  • 人口も多いので、まだ潜在顧客がいそう

そんなわけで貸衣装チェーン店が有力かな……と思ったのでした。

「なんでネイルサロンと貸衣装チェーン店?」「ファッション関連とか美容室の方が相性良さそうでない?」と思われる方もいると思います。お気持ちは分かります……が、与件に忠実な助言と一般論の違いってこういうことなんじゃないかなと思います。正解が公表されていないので断言はできないのですが。たぶん。

第3問(設問2)

社長やYさんが前の勤務先で培った提案力

前回の記事で紐づけた第6段落の固定客化の条件の箇所に下記のような記述がありました。

初来店の際に、顧客の要望に合ったデザイン、もしくは顧客の期待以上のデザインを提案し、そのデザインに対する評価が高ければ、固定客化につながる。この際には社長やYさんが前の勤務先で培った提案力が生かされた。

ここで「前の勤務先」に着目して第2段落に紐づけました。

社長は、食品メーカーで季節感を表現した販促物をデザインする仕事、Yさんは、貸衣装チェーン店で顧客の要望を聞きながら、参加イベントの雰囲気に合わせて衣装の提案を行う接客をしていたことが分かります。

 これらを生かしたということは、どのような提案をすると良いか見えてくるかと思います。

まとめ

2回にわたって、設問と与件の紐づけをお送りしました。

ここからさらに、80分の時間と戦いながら、まだ与件で使っていない箇所を設問に紐づけたり、解答を書いたりする必要があるんですが……_( っ`ω、)っ 2回の記事で少しでも紐づけやすくなれば幸いです。

要領の良くない私は、ここまで紐づけてようやく与件に散らばった情報をどの設問で使えそうなのか判断できる状況でした。

それも完璧には程遠く、第3問(設問2)で第2段落まで紐づけて読んでいたことも明確に覚えているのですが、他の箇所も紐づけたり、字数制限の中で取捨選択するうちに、社長の経歴は飛ばし、Yさんの経歴は「要望を聞きながら」を書いて「参加イベントの雰囲気に合わせて」が、すっぽ抜けました。ぎりぎり合格者の当日ってそういうものです。

おまけ:「段落ごとの紐づけ」にちょっと注意

第2問と第3問で同じ文章を引用していて「ん?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。

そんなわけで、同じ段落内、場合によっては一文に複数の設問に関連する情報が混在していることがある点についても触れたいと思います。

例えば、第6段落の最後は下記のようになっています。

一文に第2問と第3問に関連する言葉が入っています。

逆に、同じ段落内にまとまっている方が自然な内容が別の段落にしれっと書かれていることもあります。例えば、令和元年度 事例2で第3段落の「商店街の貸衣装チェーン店」の記述が第2段落にあれば協業相手として貸衣装チェーン店を書けたのに……という方もいるのではないでしょうか。

私のしくじり体験についてもお話ししますと、平成30年度の事例3でも同じように1つの段落(第13段落)に第2問と第4問の情報が混在していて、切り分けに迷った受験生が大勢いました。私もレイヤーの意識が甘かったことが原因でその1人に入り、平成29年の61点、令和元年度の60点に対し、最低点の53点を取っています。

このようなお話をするのにはもう一つ理由があって「段落ごとに設問と紐づける」という受験テクニックがそれなりに周知されていて、それが通用しない問題が目立ってきているからということもあります。
「段落ごとの紐づけ」は何年か前まで有効でしたし、今もある程度有効だと思います。私も紐づけた後に該当箇所の段落全体を確認しますし、どことも紐づいていない段落があればチェックします。でも、テクニックが通用しないこともあることは(深読みしすぎない程度に)頭の隅にあっても良いのじゃないかなと思い、書かせていただきました。

テクニックが通用しないように問題の見た目が変わることがあっても「与件をもとに、一次知識を使いながら設問で問われていることに答える」という点は変わらないはずだと思います。

明日は、うえちゃんです。

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