みなさんこんにちは。ふぞろい13のとっくんです。
先日、実務補習に参加してきました。
実際の企業に対する診断実務を経験し、ふと疑問に感じたことがあります。
「2次試験の解答」と「実務の診断」で、文字に起こす診断や助言内容に違いはあるのか?
形式的な違いは山ほどありますが、「企業が抱える課題を分析し、適切な助言を踏まえて文章を書く」という点は共通しています。
私が受験生の時は、「2次の解答用紙は事例企業の社長に対するコンサルである」という教えをどこかで目にし、実際その意識を持って解答を作成していました。
そこで今回は、「2次試験の事例」と「実務補習」のアウトプット(解答or診断報告書)を比較し、2次試験の解答で求められる文章について考えてみたいと思います。
同じ卸売業の企業の例を用いて、外部環境分析の内容に絞って考察します。
※以下情報保護のため、実務補習の企業については抽象化し、公開済みの統計データを基に書いています
目次
対象企業(H22年度 事例Ⅰ出題)
食品原材料を取扱う一次問屋のA社
外部環境(以下、与件文から引用)
・食品原材料業界も顧客の価格志向が強くなり、ドライな感覚でビジネスをする顧客が多くなってきた。
・配送の頻度や便宜性など先方の細かな要求を充足することが求められるようになってきた。
・近年、大手商社が参入することのなかった中堅規模の食品メーカー市場にも大手商社が参入するようになってきた。大手商社は物流機能を充実させ、~(以下省略)
設問(以下、第1問 設問2より引用)
これまでの事業展開を継続することができなくなった経営環境の変化は、どういったものであるか。A社の取り扱う食品原材料という商品特性を踏まえて、100字以内で説明せよ。
アウトプット(以下、ふぞろいな答案分析2 :ふぞろい流ベスト答案より引用)
食品原材料は付加価値が低く、差別化困難、常温保存可能で参入障壁が低い等の特性を持つ。顧客の価格志向やドライ化が強まり、配送頻度や便宜性等細かな要求増加、物流機能が充実した大手商社参入により競争激化した。
この答案は100%正解とは言い切れないですが、100枚超の再現答案を元に作られた信憑性の高いものと考えられます。
文章構成としては、前半で「食品原材料の商品特性」を、後半で「経営環境の変化」について言及しています。
上記設問文の要求をしっかり捉えた上で、与件文の記述と考察を端的にまとめた素晴らしい文章だと思います。
対象企業
地場のスーパーを対象に食品の卸売を行うX社
外部環境
・近隣地域の人口推移は増加傾向であり、特に40代前半の人口が多い
・業界の販売実績は天候不順だった2019年度を除き、7年連続で増加
・新型コロナに関するアンケートによると、卸売・小売業の大多数が売上減少
アウトプット(以下、診断報告書の外部環境分析参考)
・消費者の主な購入場所は大手スーパーorコンビニで、ネット通販の拡大も期待できる
・2018年までの市場規模は拡大しており、高級志向による販売単価も増加傾向
・新型コロナの影響で、前年より売上が減少した企業は全体の約8割
こちらは、文章量が多いので概要のみ抜粋しました。
診断報告書は、この外部環境分析の後に内部環境分析や経営戦略、財務・営業戦略などが続き、合計100ページ近くとなりました。
社長インタビューをもとに企業の全体戦略を考察し、統計資料などを基に定量的な根拠を示した上で、戦略を後押しする内容となっています。
以上より、それぞれの文章で優先すべきと考えた項目をまとめました。
2次の解答では当然「設問で問われたことに答える」ことが最優先であり、「1次知識を使いつつ与件文から答えを見つけにいく」という考えが大事だと思います。
また文字数が100字前後と限られるため、「採点者が見て、すぐに文意が伝わる書き方」も必要です。
一方で実務の診断書は、制約される条件が少ないため、比較的自由度は高いです。
ただ社長が求める企業像に基づき、全体として一貫性のある戦略を提示する必要があります。
この点は2次試験でも言えることかもしれませんが、”試験合格”という目的を一番に考える上では、表の3つのポイントを押さえることがやはり最優先かと思います。
「設問要求を外さない」、「与件文に寄り添う」、「端的かつ明確に書く」
あたり前のことと軽視せず、80分の時間内で着実にこれを実践できるための訓練を、是非やってみてください。
今回は以上! 明日はタニッチです。