変わったこと・変えるべきこと

同友館
doyukan_logo

最近、かつての勉強仲間と会う機会が多く、みんな多種多様な活動をしていて、たくさんの刺激を受けています。
去年は勉強に使っていた場所で今は仕事の話をしているというシチュエーションも、なかなか感慨深いものがあり、原点に戻って自分のやりたいことを見つめ直すキッカケになります。

毎度ふぞろいブログをご覧いただきありがとうございます。本日はマリがお届けします。
1次試験を受験された皆さま、お疲れさまでした。診断士試験はここからが本番です。2次試験に向け、計画的に勉強を進めましょう。

さて、本記事のターゲットは、2次試験を解くうえで考え方や解答への取っ掛かりが分からずお困りの方です。解答へのアプローチとして、こんな考え方もありますよ、という一例をご紹介します。
どうしても解答が書けないとき、複数のアプローチ方法を知っておくことで対応力が上がります。引き出しの一つとしてご活用いただけますと幸いです。
また、私が他者の解答を見て、その思考をさかのぼる際の流れも併せてお届けします。少しでも勉強のご参考となれば幸いです。

変わったこと・変えるべきこと

  1. 全事例で共通する考え方は、現状を分析し、ありたい姿を考え、そのギャップを埋めていくことです。

そして、よくあるストーリーは「以前はうまくいっていたけど、何かしらの変化があり、うまくいかなくなる」というものです。
何かしらの変化とは、主に外部環境の変化であり、中小企業では手出しできません。そのため、外部環境の変化に合わせて、事例企業の戦略や対応を変える必要があります。

変化にうまく対応することができれば、成長の機会になり得ますね。

事例Ⅰの過去問でよくある流れは以下のとおりです。

変化した外部環境に合わせて戦略を変えたら、戦略に合わせて組織を変える&必要な人材を確保する必要があります。
チャンドラーの「組織は戦略に従う」という考え方は、1次試験でも勉強しましたね。

平成30年度 事例Ⅰ 第3問の場合

ここでちょこっと事例Ⅰの過去問を見てみましょう。
令和元年度の事例Ⅰについては、春セミナーの動画で詳細を取り扱っています。夏セミナーにお申込みいただくと、春セミナーの動画もご覧いただけます。詳細はコチラ

今回の記事では平成30年度の事例Ⅰを使います。
第3問は組織に関する問題でした。
ふぞろい12での難易度は【★★★ 難しすぎる】です。。。

この記事をお届けするにあたり、平成30年度の事例Ⅰで78点を取られたMamiさん(私の勉強仲間であり、先輩であり、恩人であり、大好きなお友達)から、再現答案ご紹介のOKをいただきました。
解答を見ながら、Mamiさんの思考をさかのぼってみましょう。
※実際にご本人がどう考えたかは分かりません。あくまで私が勝手に、こう考えたのではないだろうか、と分析しているだけです。

まずは第3問の設問文を確認しましょう。

【第3問】
A社の組織改編にはどのような目的があったか。100字以内で答えよ。

Mamiさんの解答は以下のとおりです。

それでは、設問文と与件文を確認してまいります。
まずは自分なりに設問解釈をしましょう。

A社の組織改編にはどのような目的があったか。

要求がシンプルですね。
組織改編をしたということは、戦略(ドメイン、事業展開など)を変えた可能性があります。戦略を変えたということは、外部環境の変化があった可能性があります。
というわけで、与件文から環境の変化と戦略、具体的な組織改編の内容を探しましょう。
そして改編後の組織のメリット(A社にとってイイコト)は何か、1次知識を活用しながら考えましょう。

まずは最終段落に目を向けると……

「時流を先読みし先進的な事業展開を進める」&「伝統的な家族主義的要素を取り入れる」→成長を実現

なるほど。今後もこの両方を守りながら成長を続けていきたいから、第4問(本記事では取り扱いません)があるわけですね。これが今後の課題とつながりそうです。

話を戻して、Mamiさんの解答を再確認です。

A社の今後の事業展開を目的として解答されています。与件文の言葉をそのまま使っているため、伝わりやすいですね。

今回の組織改編時に「時流を先読みし先進的な事業展開を進める」方向へ転換した。
Mamiさんはそのように考えたのでしょう。
組織構造を変える目的について問われた場合、変更後組織のメリットについて解答する人が多いと思います。もちろんそれが目的ではあるのですが、その先には必ず戦略があります。本質的な目的は戦略にあるといえるのではないでしょうか。

さて、少し前後しますが第8段落(と、ついでに第9段落)を見てみましょう。ここに組織改編の詳細が書かれています。

第8段落の変化「複写機関連製品事業の先細り」に対応し、前述した新たな方向に転換した。そして、その戦略に合った組織に改編した。Mamiさんはそう考え、この変化を解答に入れたわけですね。

第8段落にある組織改編の要素は5つありますね。
各要素のメリットとして考えられるのは、
①機能ごとの専門性→各機能のノウハウが蓄積しやすい
②利益責任明確化(権限責任)&意思決定の迅速化、後進育成(第6段落)につながるかも
③グループごとに特化したノウハウを蓄積しやすく、各顧客への対応や製品開発が迅速化される
④混成チーム→対応が迅速化される
 専門知識別に蓄積されてきた技術間でノウハウを共有し、シナジーを発揮できるかも→先進的な製品開発がしやすくなり、その中で技術力も強化される
⑤委託先との連携強化で製品開発が迅速化されそう

他にもあるかもしれませんが、とりあえずこんな感じでしょうか。
組織改編の要素が多くてまとめにくそうですが、Mamiさんは「事業毎のグループ」のみを解答に入れています。おそらく割り切ったのではないでしょうか(本番では割り切りも必要)。解答として求められているのは「目的」です。長々と書かれている組織改編の要素をまとめることに時間を使わない、という判断をされたのかもしれません。

そしてこれまでの流れ(変化と戦略)と第9段落の書きぶりから、「技術力の強化」と「迅速な意思決定」を解答要素に選んだと考えられます。先進的な事業展開を行うにあたり、コア技術の強化は自然な流れですし、事例Ⅰにおいて強みを意識することは大事です。
また、過去の顧客の急激な事業縮小、技術の急速な進歩、時流を先読みし先進的な事業展開、などから「迅速な意思決定」を解答要素に選ぶのも自然ですね。

もう一度、Mamiさんの解答を見てみます。

複写機関連製品事業が先細り傾向→時流を先読みし先進的な事業展開を進めよう→それに合わせて組織改編

という流れを与件文から読み取り、1次の知識を使って考え、

複写機関連製品事業が先細り傾向→組織改編するとイイコトが起こる→時流を先読みし先進的な事業展開が進められる

というまとめ方をされています。

「組織の設問で、環境の変化を解答要素に入れるのはおかしい!」と言う人もいます。。。
しかし、Mamiさんのように書かれていると、流れが分かりやすくて説得力が増すと思いませんか?

さて、思考をさかのぼり、与件文の根拠や使った知識について分析した後は、どこを変えたらさらによくなるかを考えてみましょう。それにより自身の解答のレベルアップにつながります。上から目線で大変恐縮なのですが(><)

今回は……「技術力の強化」に言及する場合、各専門知識を有する技術者がほぼ同数配置された「混成チーム」に触れると、よりつながりそうですね。

道場とふぞろいを兼務されていた いよっちさんが、75点超えの解答をまとめてらっしゃいましたのでリンクを貼っておきます。解答を読み、同じように分析してみてください。
【H30年事例Ⅰ】75点超え答案をまとめてみたけど需要ある?


最近、出題傾向が変わったと感じている方がいるようです。春セミナーでもそんなご質問がありました。
今年の2次試験では、どんな問われ方をするのでしょうか。

しかし出題傾向の変化には手出しできません。どんな問題が来ても本質を理解して解答を導けるよう、ご自身の対応力を磨きましょう。

となりの道場さん

コラボ企画です。私からはオススメの記事をご紹介します。

2次試験に向けて何をすればよいか分からない人は、とりあえず↓を読みましょう。
【診断士2次試験】出題形式や採点基準の傾向を考察する(ぴ。さん)
事例Ⅰ~Ⅲ過去10年の出題形式の傾向がまとめられています。しかも分析と対策つきです。これからの勉強の方向性が見えてきそうです。

そして同じく、ぴ。さんの記事2本。
【診断士2次試験】伝わる答案へ|コミュニケーションを意識する~前編~
【診断士2次試験】伝わる答案へ|コミュニケーションを意識する~後編~
今回ご紹介したMamiさんの解答に通ずるものがあります。
出題者とのコミュニケーション、大事です。


本日は以上です。女神級の優しさを持つMamiさんに感謝☆
明日は、こちらもまた神ってるだいちがお届けします。お楽しみに~。

「この記事が参考になった」と思った方はクリックをお願いします!
SNSでフォローする