本記事は、『2020年版 中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案 エピソード13』の第2章「ふぞろいな答案分析」から、事例Ⅳの特別企画「財務・会計が苦手でもA評価は取れる? ~タイムマネジメントの重要性~」に掲載しきれなかったトピックを紹介します。
登場人物は設問既知子(せつもん きちこ)(以下、先生)、崎山弘也(ざきやま ひろなり)(以下、崎山)、悩里亮太(なやまざと りょうた)(以下、悩里)の3人。ふぞろい13メンバーからの電卓活用のアドバイスを紹介します。
先生:さて、ここからは、ふぞろいメンバーにアンケートして聞いた「電卓活用のアドバイス」を紹介するわよ!
二人:ありがとうございます!
先生:参考になるテクニックや考え方があったら是非解答プロセスに取り入れてみてね。
先生:まずは、本紙でも紹介したメモリ機能やGT(グランドトータル)機能の活用を勧める声ね。
崎山:はい、これはもうバッチリです!
悩里:(さっきまで使い方を知らなかったくせに、調子がいいんだから……)
先生:利き手の逆で打鍵できるようにするのは、簿記や会計士試験などでも指摘されるテクニックね。
悩里:先生、そこまでやらないと合格できないですか!?
先生:そんなことはないわ。でも、ペンと電卓をとっかえひっかえして計算やメモの記入をすると、時間がかかるだけでなく打鍵ミスも誘発する危険性もある。2次試験までまだ時間はあるから練習してみてもよいかもよ。
悩里:(しばらく左手で電卓を操作してみる)……うーん、難しい! でも、慣れれば確かに、ペンの持ち替えの工程がなくなった分、効率も精度も上がるかも? これは解答プロセスに対して、ECRSの原則で言うところの「排除できないか?」の観点を導入した感じだな。
先生:これらは検算過程自体の精度を上げる工夫ね。2番目のコメントは電卓濫用の戒めね。あくまで電卓はツール。大事なのは正確かつ効率的な計算プロセスとミス検出プロセス。
崎山:あのー、実は僕、あまり計算の過程を書いていないんですが……。
先生:試験時間が短いから余計な作業はしたくないってことかしら。気持ちはわかるけど、あんた、自分を過信してない? 計算間違えはしないにこしたことはないけど、本番の緊張状態の中で正確に計算できなくなることだってあるわ。あとで検証できるように過程を残しておいてもよいんじゃないかしら。
先生:本紙の特別企画でも議論したけれど、実は問題の優先順位をつければ、そこまで焦らなくてもよいかもしれない。焦りは禁物よ。周りに迷惑をかけるなんて論外。
崎山:確かに焦ってバチバチ打つと、うまく入力できないことがあるんだよなー。
先生:それ、もしかして前の数字を打ち終わる前に次の数字を打ち始めてしまっているかも。電卓の種類によっては早打ちができないモデルもあるのよ。
崎山:エッ? そうなんですか?
先生:興味があれば「ロールオーバー機能」で検索してみて。早打ちができるモデルは値段は張るけど、合格したあと診断士の実務で使うと思えば安いものよ。
先生:経営分析は計算量が多いから、電卓を上手く活用したいものね。
崎山:先生、2番目のコメントの「定数計算機能」ってなんですか?
先生:あんた、少しは自分で調べなさいよ! 経営分析って、何度も同じ数を掛けたり割ったりしなきゃなんないでしょ。定数計算機能を使えばその計算と比較に必要な打鍵数が少なくなるの。たとえばこの記事を参照してみなさい。ある項目について、同業他社との比率を定数に登録して他の項目に掛け合わせることで、項目の良し悪しがすぐにわかるの。
悩里:あれ……僕のやり方より計算回数が少ない。
先生:項目の良し悪しのあたりを付けてから与件文を読めば、根拠になる記述を外さずに効率的に探しやすくなるわ。これもタイムマネジメントの工夫ね。
二人:さすが先生!
あしたはこーしによるふぞろい活用の紹介です!