再現答案と一行コラムに見る合格者の特徴【発売記念】

ふぞろいな合格答案13表紙
同友館
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  • 本日もお越しいただき、ありがとうございます。牛の歩みも千里みずのです。
    丁寧な接客が売りの企業が登場することの多い2次試験、今年はどうなるのかなと考える今日この頃です。

本日6月18日、ついに『ふぞろいな合格答案 episode 13』が発売になりました。
以前、6月24日発売と告知していましたが少し早くお届けできることになりました。

ふぞろいな合格答案13表紙

今年のふぞろいな合格答案は、令和最高の出来とうたわれたepisode 12に次ぐ出来です!
(すみません。言ってみたかったんです)

本日は、セミナーで「合格答案と○答案は何が違うのか?」という質問を頂いたこともあり、皆さまからお預かりした再現答案とふぞろいな合格答案プロジェクトメンバーによる一行コラムの2つの側面から「合格答案、A答案は他の答案と何が違うのか?」「合格者は何が違うか?」をテーマにお送りします。

あくまで個人の感想であることと、この記事に限ったことではありませんが「2次試験は正解が発表されないので、どの情報が合っているかは試験実施側以外は誰も分からない」ということを念頭にお読みいただければ幸いです。

再現答案募集のご協力への御礼

本題に入る前に少々失礼いたします。

再現答案の募集にご協力いただきました皆様ありがとうございます。
本の出版に携われたのは長年プロジェクトをつないでくださった諸先輩方、私をプロジェクトに参加させてくださった先輩方、そして再現答案の募集に協力してくださった方々のおかげです。本当にありがとうございます。

私は2次試験を3回受験し、3回とも再現答案を提出しました。合格する前は「不合格で……A評価も1つしかなくてフィードバックの手間を取らせてしまって申し訳ない」と思っていましたが、今では少し考え方が変わっています。
A答案もB答案もあるからこそ比較分析ができるので、どの答案も自分が思っていた以上にありがたい存在だと気が付きました。もし、私のように気後れされている方がいらしたら安心していただけると幸いです。
そして、フィードバックが少しでも皆様のお役に立ち、明るいお知らせを聞くことができれば嬉しいです。

再現答案に見る合格答案やA答案の特徴

合格答案・A答案・B答案の多くにそれほど大きな差はない

290枚の答案を見る機会を頂き、紙一重で合否を分けている人が多いように感じました。中にはあるんです。ぱーっと読んだだけで「あ、この答案はほぼ間違いなく余裕で60点を取れてるな」と思える答案が。例えばはるかの答案ですね。

設問要求に対して与件文の言葉を上手く使い、筋道を立てて、具体的だけど冗長的ではない記述ができていて、難しい設問も大きく外さずにそつなく答えられている理想の答案だと思います。ですが、そのような答案はあまり多くはありません。ふぞろいメンバーの得点開示結果一覧を見ても、私を含め全事例で60点を超えている人は少数派です。

正規分布の特性上、60点周辺に多くの人が団子状態で集まっており、合格答案とA答案、B答案は「おおむねよく書けているけれど、外しているところもありそう。A評価かどうか断言するのは難しい」と悩むものが多数あります。

ぎりぎりB判定とぎりぎりA判定の例として、ご参考までに私の平成29年度(得点開示結果:59/59/61/47)と令和元年度(得点開示結果:62/63/60/59)の事例Ⅰ~Ⅲの再現答案を置いておきますね。事例Ⅳは計算問題が多いこともあり、今回は割愛しました。

年度も違いますし、見比べて60点の境目を探るのはあまりお薦めしません。大体のぎりぎりラインのイメージをつかむお役に立てれば幸いです。

苦手事例や難化した事例でもぎりぎりラインを下回らないようにしつつ、1点でも多く得点して団子状態から抜け出すことが合格に近づくのではないかと思います。

あえて違いを挙げるなら

点差がついていると思われるポイントをあえて挙げるなら、冒頭のはるかの答案への感想と重なりますが、下記の3点が考えられます。

  • 読み手(採点者)に伝わる分かりやすい文章が書けている
  • 設問文で問われていることに対し、一次知識を使い、与件文に沿って答えている
  • 多くの人が書けることを具体的、多面的に書けている

文章が分かりやすい

因果や主述の不一致、てにをはの誤り、与件文の言い換えが原因で意味が伝わりにくい答案もありましたが、合格答案は分かりやすい、読みやすい答案が多かったです。

文章のわかりやすさが点数が影響にするかどうか採点者ではないので断言はできませんが、文脈もある程度考慮されていると思います。字の読みやすさや誤字・脱字と同様、自分では正解を書けているつもりでも採点者に伝わらなければ、加点されにくいのはではないでしょうか。

設問で問われていることに対し、一次知識を使い、与件に沿って答えている

設問から外れている例としては、価格プロモーション以外と指定されているのに値引きやクーポンを提案したり、設問で問われている時期とは時制の異なる内容を書いたりと言ったものがあります。

与件から外れている例としては「デザインに対する評価が高ければ、固定客化につながる」と書かれているにも関わらず、固定客化の施策を聞かれてデザインに触れていないなどがあります。

設問と与件に沿って答えるコツは、下記の2つの記事が参考になると思います。

多くの人が書けることを具体的、多面的に書けている

これは上の内容と本質的に重なる部分があります。

「多くの人が書けることを書く」と過去記事や他のブログなどでもよく見かけるのですが、私は2度目の受験をした頃まで「ただでさえふわっとした試験で、みんながどんな答えを書くかなんて試験中に分かるかい」「大勢に合わせていたら団子状態に埋もれるだけでは」と悩んでいました。

今では、設問に問われていることに対し、一次知識を使い、与件に沿って答えると、みんなが書けることは概ね絞られてくると思っています。

「多くの人が書けることを書く」の意味は「大勢が団子状態で集中している平均的な答案に合わせる」ではなく「設問や与件によって絞り込まれた、みんなが書けるはずのことを書く」ではないかなと290枚の答案を拝見して思いました。
ただ、どれかしらが漏れている人が多いので60点周辺で団子状態になり、漏れている箇所が人によって異なるので答案がばらばらに見えるのだと思います。

80分で多くの人が書けることを見つけ出し、具体的かつ多面的にバランスよく書くのが難しいのですが、そちらは別の機会に書きますね。

合格者の特徴

合格者は上記3点が安定していたり、ミスを少なく抑えたりすることで合格ラインに届いている方が多いように思います。私の答案もご覧いただければ分かりますがばっちりできていると言うには程遠いです。地道に点数を稼ぎ、答案を安定させたことで今回幸いにも合格できたというのが正直なところです。

「どうすれば安定して答案を書けるようになれるか」は、まっつたかし始め様々なメンバーがブログで紹介しています。また、ふぞろいな合格答案 episode 13の特別企画「もっと知りたい! 当日までにやったこと」もお薦めです。

一行コラムに見る合格者の特徴

ふぞろいな合格答案シリーズには、ページの下部に一行コラムがあります。受験生時代、好きなコーナーの1つでした。

あのコーナーは数十種類の質問を作り、ふぞろいな合格答案の執筆メンバーにアンケートを取って作っているのですね。

今回集まった回答は、なんと700件超\(^o^)/

ふぞろいな合格答案は300ページ弱、半分以上カットされています(´;ω;`)

カットされた回答にも少しでも日の目を見せたいという気持ちもあり、700件を超える回答を読んで感じた合格者の傾向や個人的な感想を書きたいと思います。

PDCAをしっかり回している

もっとも多くの人に共通していると感じたのがPDCAをしっかり回していることです。

「PDCAを回したか」という質問をしたわけではありませんが、回答を読んでいると「きちんとPDCAを回しているからこそ出てくる回答なのかな」と思うものが多々ありました。

何をするにしてもPDCAを回し、何か問題点があった場合、その原因まで掘り下げて対策を考えています。2次試験を2回以上受けたメンバーのほとんどが「2次試験の敗因は?」の質問に回答してくれたことにも表れていました。

自分自身のSWOT分析ができている

PDCAと同じく具体的な質問をしたわけではありませんが、回答を読んでいて感じたことです。

PDCAを回す際も、マーカーとシャープどちらを使うか決める際にも自分自身をSWOT分析して自分に合うものを決めている傾向がありました。

「マーカーとシャープ、どちらかおお薦めですか」などの質問で「私は○○だけど自分に合うものを」と返ってくる理由はここにあるのだと思います。ヌワンコも「春セミナーの話題あれこれ」で書いていますね。

意外とちゃんと寝ている

個人的にはこれが一番意外でした。

睡眠時間を削ってストイックに勉強されている方が多いのかなと思っていましたが、むしろ睡眠を大切にしているメンバーが多かったです。

「じゃあ、どうやって勉強時間を捻出しているの?」「時間に余裕のある人だけが合格しているの?」と思いますよね。そこで次に続きます。

隙間時間を活用している

隙間時間の活用はよく聞きますが、実際に電車内の時間も有効活用されている方が多数いました。
ふぞろいな合格答案 episode 13の「令和時代の学び方改革」でも隙間時間の活用方法を取り上げています。

試験の1週間前から試験が終わるまで計画を立てている

試験一週間前から試験当日の過ごし方まで綿密に計画を立てているメンバーが多数いました。

試験前1週間は体調を整えているメンバーが多めでした。この記事を書くにあたって気が付いたのですが、これができるのは1週間余裕を持った学習計画を立てているからですよね。私が初めて1次試験を受けたときは前日の夜までぴーぴー言いながら追い込んでました……

直前一週間で追い込んでいたメンバーもいたのですが計画的に追い込んでいるところに違いを感じました。

まとめ

まとめると、自己分析と自己管理ができている特徴があるように思いました。自己分析や自己管理の過程は事例企業の診断にも共通するものがあるため合格に多少は影響しているのかなとも思ったのですが、いかがでしょうか。

ふぞろいな編集後記

ふぞろいな合格答案の執筆を振り返ってみると、日々精一杯であっという間でした。

4年かかってようやく合格できた私に務まるのだろうかという不安で一杯でしたが、チームのメンバーに助けられ、なんとか本日を迎えることができました。

団体行動があまり得意でない私にとって、チームで支え合う大切さなど学ぶことが非常に多かったです。

ちょっとした裏話は、企画提案会の時、本人はネタのつもりで入れた企画に私が「面白そう」と発言してしまったばかりに採用になったことでしょうか……。あの時はやっちまった感が半端なかったですが、私が持っているふぞろいシリーズでは読んだことがない、受験生・読者目線を大切にしている、タイトルもユーモアあふれる企画だと思います。

半年ほど前まで皆さまと同じ受験生だったメンバーばかりですが、本の出版に向けて一人一人が真剣に取り組んでいます。そうして作られたふぞろいな合格答案をよろしくお願いいたします。

明日は、私の長文記事をいつも嫌な顔せずチェックしてくれるとうへいです。

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