なぜか高得点が取れた令和元年度 事例Ⅱ の試験中に考えた事(得点開示84点 再現答案付)その3

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こんにちは! 多年度合格ナビゲーターのとうへいです。

今日は前々回前回に引き続き、標題の3部作の第3部を掲載します。テーマは 「事例Ⅱが苦手な人に意識してほしい、小規模であるB社が活かすべき機会と強み」です。

 


令和元年度事例Ⅱ第3問の再現答案と80分間で考えたこと

<設問文>

第3問(配点50点)
B社社長は2019年11月以降に顧客数が大幅に減少することを予想し、その分を補うために商店街の他業種との協業を模索している。

(設問1)
B社社長は減少するであろう顧客分を補うため、協業を通じた新規顧客のトライアルが必要であると考えている。どのような協業相手と組んで、どのような顧客層を獲得すべきか。理由と併せて100字以内で助言せよ。

(設問2)
協業を通じて獲得した顧客層をリピートにつなげるために、初回来店時に店内での接客を通じてどのような提案をすべきか。価格プロモーション以外の提案について、理由と併せて100字以内で助言せよ。

<再現答案> 

(設問1)
美容院と協業し七五三や卒業式等に列席する30~50代の女性を新規顧客層として獲得する。理由は①X市は10~20代の子を持つ当該顧客層が多く②祭りや商店街主催イベントが毎月あり行事が盛んな土地柄で顧客獲得機会多い。

解答した時間帯:試験開始から63分~69分まで(6分間)
※この時点で(設問2)の解答骨子を作成できていなかったため、(設問1)は満足化基準を意識して短時間で処理

(設問2)
提案は①季節感を表現し参加イベントの雰囲気に合わせたネイルを提案するサンプル写真付きPOP掲出②顧客要望や衣装や髪形に合わせたネイル施術。理由は社長とYのデザイン力や提案力や接客力活かし他社と差別化図る。

解答した時間帯:試験開始から69分~80分まで(11分間)

 

<とうへいは80分間でこう考えた>

(設問1)
ネイルサロンの協業先という設問文を見て真っ先に思いついたのが、受験2年目の夏に受験した某予備校の模試の事例Ⅱのストーリーだった。地元の花火大会とかに浴衣で出かける女性をターゲットとして美容院と連携して着付けや髪セットをしている待ち時間にネイルをする、とか、訪問サービスをする、みたいな方向性の事例だったことを思い出した。やばい。模試や演習の事例を想起するのは、ポエム解答(与件文に根拠がない解答)に陥る一番やばいケースだ! と、寒気が走った。

ターゲットは、グラフから40代女性とわかる。人口構成比のグラフは、第1問のOと第3問(設問1)の両方で使うのは間違いないだろう。10代~20代が多い事と、子供と一緒のイベントのことが与件文に書かれているので、それをターゲット選定理由として書けばよいだろう。だが、協業相手がしっくりこない。どこと連携すればいいんだろう。どこに根拠が書いてあるんだろう。与件文に探しに行くが、見つからない。

やばい、時間がない。第2問の解答を書き終わって残り17分間で2問か。解答骨子が2問ともできていればなんとかなるけど、(設問2)の解答骨子がまだ全然できてないからマジでやばい。第1問と第2問でもそれなりに時間が掛かったため、この第3問で帳尻を合わせるしかない状況だ。(補足:あらかじめ設定した「どんなに遅くても第1問の解答を書き始める時間」である開始40分が経過した時に第3問(設問2)の解答骨子ができていなかったため)

もはや考えている時間がない。着物とかの着付けをトリガーとして美容院と協業するしかない。与件文に根拠が見当たらないので違う可能性が高いと思うが、これが違っていたとしても、時間切れで(設問2)25点の部分点獲得チャンスを逃すよりは、両方とも100字を書き切って部分点を取りに行ったほうが得点期待値は高まるだろう。なんとか事例Ⅱ全体で60点は確保したい。「美容院と協業し」とだけ書いておけば文字数的なロスも少ない。さすがに訪問サービスについては、そんなニーズがあることは与件文から読み取れないから、書くのはやめておこう。

さあ、編集だ。解答骨子をメモする時間がないので、与件文に設問ごとに色分けした色ペンの色(第3問(設問1)は緑)を目で追いながら編集する。協業先は美容院。ターゲットはジオ(X市)、デモ(30~50代)、サイコ(10~20代の子を持つ、卒業式等に列席する)の切り口で丁寧に書こう。与件文を見に行くと、ん、30~50代に色がついている。40代もこの層に含まれるから、これにしとくか。子供を持つ親がおめかし(ネイル)をして出かけるイベントを1つか2つ抜きだそう。七五三と卒業式等、でいいか。

理由は「機会に対して、B社の強みが活かせるから」と書きたいところなんだけど、与件文に書いてある言葉で具体的に書かないと点は獲得できない。機会は、イベントが毎月、行事が盛んな、だな。与件文から具体例を拾って丁寧に表現しよう。しまった! 丁寧に表現しすぎて活かすべき強みを書く文字数の余裕がなさそうだ。しかし、書き直す時間もないし、残り10文字で書けることを書こう。イベントや行事が盛ん、ということは、顧客を獲得できる機会が多い、ということだ。これがX市で子供がいる30~50代の女性を獲得する理由だ、と言い切ってしまおう。文字数が足りないため、本当はやりたくないけど「顧客獲得機会が多い為である。」を「顧客獲得機会多い」と書かざるを得なかった。文字数が足りない時に行う減点覚悟の満足化基準処理になってしまった。でもくじけたり直そうとして時間を使ってはいけない。残り時間で(設問2)を処理したほうが得点期待値は高まるはず。

(設問2)
設問文に「価格プロモーション以外の」とあるが、この記述がなかったとしても中小企業で経営資源に限りがあるB社は基本、価格プロモーション(価格競争)をすべきではない。過去問でも割引とかクーポンなどが解答の方向性だったことはない(予備校の演習とか模試だとたまにあるけど)はず。この制約は、出題者が設問の難易度を下げるための配慮だな。この記述がなかったら、価格プロモーションを書いてしまうライバルが増えたのになぁ。残念。

(設問1)の解答を書き終えて、(設問2)は解答骨子ができてない状態であと11分。間に合うかな? 間に合わせないと合格点には達しない。とにかく100字を埋めよう! 聞かれているのは「協業によりB社のサービスのトライアルは体験したけど、B社のサービスは受けたことがない顧客に対して、接客を通じて何をすべきか」の提案か。

施策の提案なので、B社の強み(B社固有の経営資源)を活かすのが鉄板。接客を通じて、と聞かれているから「接客力」や「提案力」は必須だろう。もはや与件文を読みにいく時間は残っていないが、開始40分までにピックアップして一覧化した経営資源の中に「季節感POP」「Yさん接客力」「提案力」があったので、これを活かそう。あと、サービス未体験の客に対して写真を見せる(無形性への対応として可視化)のが効果的だろう。また、同じ第3問の(設問1)と無関係な記述にするのはリスクかな、と思ったので、イベントの雰囲気にあわせた、とか、衣装や髪形にあわせた、とかも盛り込もう。

残り5分を切った。書かなければノーチャンス、不十分かもしれないが書くしかない。「①サンプル写真付きPOP掲出」? と書いた途端に心の中で「POPを掲出して提案する接客って無理がないか?」と自分にツッコミを入れるが、社長の「季節感を表現」「POP」の強みを活かすよい提案が浮かばないので、不自然でも仕方ない。与件文に忠実に無茶を承知でぶっこんだ。「写真」「提案力」「顧客要望にあわせた」も詰め込んだ。これらは第2問でも使ったが、重複して使って減点されることもないし、両方に投入するのが時間を節約して得点期待値を高くする有効な方法だと割り切って準備をしていたので、迷いはなかった。

無計画に解答要素を詰め込んだのでやはり残り1~2行で解答字数が足りなくなった。第2問では「Yさん」としたけど、ここでは「Y」と呼び捨てにしよう。まだまだ足りない。「接客力を活かし愛顧を高めて固定客化を図る」と書きたいが、字数が足りない。「接客力を活かし固定客化」と書くと、飛躍している感じがする。仕方ないので「接客力を活かし他社と差別化を図る」にするか。不十分だが、字数が足りないので仕方がない。ん、まだ字数が足りないぞ。やむなく助詞抜き(接客力「を」活かし、差別化「を」図る)を行う。まだ足りない。「他社と差別化を図る為である。」と書きたいのに「他社と差別化図る。」で制限文字数いっぱい。第3問(設問1)に続き、またしても減点覚悟の日本語表現にしてしまった。

書き終わって、時計を見ると20秒ほど時間が余っていた。なんとか間に合った、と思った。見直しの時間は確保できなかったが、全問埋めることができた。残り時間で解答用紙に誤字がないかをざっとチェックしていると、あっという間に試験終了の合図があった。

少しでも再現答案の再現度が高まるよう、筆記用具から手を放してからも、試験官に回収されるギリギリまで解答用紙に書いた字を読んでいた。あ、第3問(設問1)でターゲットの選定理由を書くことに一生懸命になりすぎて、美容院と連携する理由を書き忘れてしまった。でも考えていても仕方ないから、事例Ⅱのことは忘れて、次の事例Ⅲと事例Ⅳに向けて気持ちを切り替えよう。

 

<再現答案作成後の振り返り>

あらためて与件文を読むと、Yさんが勤めていた貸衣装チェーンが意味深で、何度も登場している。どうみても協業先はココだ。なんで試験中には気がつかなかったんだろう。そうすると、(設問1)で貸衣装チェーンの予約会に来る方々(高級住宅に住みデザイン重視の30~50代女性顧客で卒業式や結婚式など子供とのイベントで貸衣装を借りる人)とトライアルで接点をもって、後日B社店舗に誘導するのか。設問文で聞かれていた(貸衣装チェーンと)協業する理由は、「貸衣装チェーン店の顧客を獲得できるから」ってことだったのか。そうか。これが読み取れてなかったから、わけがわからなかったのか。と落ち込んだ。

(設問1)ではターゲットのサイコ要素として重要そうな、第1問のOでも書いていた「富裕層(高級住宅地に住む)」を書き忘れた。焦ってしまっていたからか。また、デザイン重視も書き忘れた。こちらは第2問の設問文に既存顧客の特性として記述してあったため、無意識的に避けてしまったのかもしれない。与件文の「オプションを追加する顧客は少なく」は、オプション追加を望むようなデザイン重視の富裕層を顧客として獲得せよ、というサインだったんだなぁ。

合格ライン(60点)に届かなかったのではないか。54点だった昨年と同じような感触の気がする。苦手意識があることもあり途中で頭が回らなくなって整理が不十分なまま開始40分を過ぎ、答案用紙が白紙のまま、という大ピンチに陥ってしまった。結果、あんなに訓練した、第1問で抽出したSWOTの要素を第2問以降の問題で活用を検討する、という作業を意識的にできなかった。心残りだ。訓練していたことを発揮できなかった。

 

<3部作のまとめ>

いかがでしたか? 取るべくして取った高得点でないことがよくお分かりいただけたと思います(笑)。ただ、60点は取るべくして取ったと思っています。それはなぜか。時間がなくて頭が働かない中でも「小規模であるB社が活かすべき機会と強み」 という視点を忘れることなく解答構成を検討できていたからです。本番でそれができたのは、意識的に訓練をしていたから、だと思います(後付けっぽい感じがすごくしますが、ちゃんと訓練の成果です、たぶん)。

前年(平成30年度)の事例Ⅱでは、小規模企業であるにもかかわらず、ターゲットを急増するインバウンドに絞らず、B社固有の強み「英語が堪能な従業員」を活かさない助言を書いたため、得点が伸び悩みました(しかも一度書いた「英語が堪能な従業員」を、インバウンド以外の顧客獲得に必須ではないと思い、消してしまっていました)。

余談ですが、この年は4事例の合計点が236点とあと4点で合格だったこともあり、どうしてもふと「事例Ⅱで『英語が堪能な従業員』を消していなかったら受かっていたかも」などと考えてしまいがちでした。ですが、「小規模であるB社が活かすべき機会と強み」を意識できるようになってからは、(悔しいけど)中小企業のあるべき姿がわかっていなかったので不合格になったんだろな、となんだか納得できるようになり、不毛な後悔に時間を費やすことが少なくなりました。(今はむしろ、不合格になってよかったとさえ思っています。理由は、追って触れたいと思います。人間万事塞翁が馬ですね)

経営資源に乏しい中小企業であるB社は、環境分析の結果を踏まえて、機会に対して、競合が模倣困難なB社固有の強みを生かす必要があります。前述の平成30年度2次本試験の大失敗を経て訓練を重ねた事で、令和元年度の2次本試験では無意識でも重要ポイントを押さえた解答を書けるようになり、合格ライン(60点)に達する答案を書けたのでは、と思います。

とりとめのない長い記事になってしまい恐縮です。なにか1つでも読者のみなさんの気づきにつながればうれしいです。本試験の対応力向上につながれば、とてもうれしいです。

さて、明日は、成長目指して奮闘中!ストレート合格ナビゲーターのとっくんです。お楽しみに!

 

 

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